登城
2人の男達が目的地に着いたのは、朝の挨拶を交わしてからそんなに時間はたっていなかった。金髪の長身イケメンは息を乱してはいなかったが黒髪の頭1つ分は背の低い男は何故か息が乱れていた。
「いけませんね。ライさん。ただ歩いただけで息が上がるなんて…。運動不足ですか?」
金髪のイケメンが微笑から苦笑に変えて黒髪の男にやれやれといった感じで言葉にする。
「…はぁ…はぁ…。違いますよ、ロイスさん。自分のペースで歩けないのは疲れるんですよ。…大体、何でココまで肩を組んだまま歩かせるんですか…まったく。」
ライは呼吸を整え、ロイスをジト目で見上げる。
「まぁ、良いじゃないですか。私達は仲良しなんですから。それより相手をお待たせさせてはいけません。さぁ参りましょう。」
「はいはい。わかりましたよ。…ただ、流石にここからは肩を組むの止めましょうよ。…門番の人がチラチラこちらを見てますので。」
ライは肩に回っているロイスの腕から逃れて服装を正してからチラ見している門番に声を掛ける為に近づいていく。
「…どんなに服装を正しても、今のライさんの格好はこの場所に相応しい格好からはかけ離れているんですけどね。」
ロイスは門番と言い争いのような訪問の挨拶をしているライを見てから視線を上げて呼び出した相手が待つ建物を視界に納める。
すると、訪問の挨拶をしていたハズのライに門番が衛兵を呼ぼうとしている情況になっていたので、足早に門番へと向かった。
どうにかこうにか、門番を納得させーロイスのイケメン具合と服装、呼び出した相手からの呼出状を見せたわけだがー王城へと入った2人は王城で働く人達から奇異の目を向けられながら相手の待つ部屋へと向かう。
「そんなに変な格好ですかね。…この街の大多数の人が着ている服とそんなに違わないんですけどね。…門番だって仕事が終わったり、休みの日なんかの服装と大して変わんないだろうに。」
不平や不満を口に出しながら歩くので余計に周囲の視線を集めるライに、
「ライさんの言っている事は至極真っ当だけれど、この場での格好には相応しくないですよ。…相手がそれなりの立場にありますからね。」
「はぁ…その理由は解りますけど…なら、なおさらこんなに朝早くから呼び出す事ないですよ。」
「…えてして立場のある人は相手の都合など考えないですよ。…産まれ落ちた瞬間から人の上に立っているのが当然のように育てられた人なら…特にね。」
ロイスもライにしか聞こえないように苦言を呈する。
王城の中を歩き、1つの部屋に到着すると部屋の前にいた守衛から
「間もなく、いらっしゃいますから中で少々お待ち下さい。」との事であった。
「…呼び出して結局待たせるなんて何なんですかね。」
「…立場を暗に伝える為でしょうね。…私達の方が下だと…」
2人の男を呼び出した相手がこの部屋に入って来たのは、それから小1時間が過ぎた後だった。
話は中々進みません