呼び出し
思いつきで書き始めました。
「あぁ…ダルい…。何でこんな朝っぱらから呼び出すかねぇ…。」
そう言いながら、男はズボンのポケットに右手を突っ込みながらトボトボと身体を丸くして街道を歩いている。右手には数珠のような装飾品を付けている。
男は中背細身の黒髪であり、爽やかな青空で地上を照らしている太陽を恨めしそうな眼で見上げて…すぐに眼を伏せた。…眩しいからだ。
その瞬間にドンッと背中に衝撃がきて、思わず前のめりに倒れそうになるのをグッと堪えて後ろを見るとー
「いけませんね。こんなに素晴らしい朝なのに、そのようにヤル気の見えない歩き方をするなんて。…端から見れば不審者ですよ。…あぁ、おはようございます。ライさん。」
イケメンがイケメンらしい笑顔で忠告と挨拶を同時にしてきた。
「……おはようございます、ロイスさん。……そんな眩しい笑顔を見せないでください。寝起きにはキツイです。…あと、背中が痛いんですが…。」
黒髪の男ーライーが後ろを振り返り、皮肉を混ぜた挨拶を返す。…叩かれた背中を擦ろうと手を回そうとするが届かないので諦めている。
「この程度で痛いなどと…。ライさん。…最近、鍛えてませんね。身体は資本ですよ。…ココでも。」
ロイスと呼ばれたイケメンは金髪碧眼で艶のある金髪を肩ぐらいまで伸ばしている眼鏡イケメンだ。そんなイケメンは青を主調とした僧侶のような法衣というかローブを纏っている。実際にロイスは僧侶であり首元にはロザリオを掛けている。しかもロイスは長身で細身であるため、絶妙に似合うのと、ライよりも背が高いために必然的に見上げなければならないのが朝からの呼び出しと併せて余計に腹立たしい。
「まぁ、もう師匠はいないですし…昔と比べて日銭を稼ぐ分には楽ですしね。」
ライはこめかみ辺りをコリコリ掻きながら苦笑する。
「ところで、ロイスさんもどうしたんです?こんな朝早くに。」
「ああ。私も呼び出されたんですよ。恐らくライさんを呼び出した同じ相手に。」
そう言ってロイスはライが歩き進んでいた方角を指差して答える。
「では、目的地も同じですし同行致しましょう。」
ロイスは微笑みを絶やさずにライの肩に手を回して歩き始める。
「はぁ…。やっぱり朝からの呼び出しなんて面倒くさい…。」
ライは諦めの境地に至ったように嘆息して忙しなく足を動かして歩き、
「…私達2人を一緒に呼び出すんですから…昼夜関係なく面倒くさい案件ですよ。…おや、ライさん。ヤル気出てきました?先程より歩くスピードが早くなってきてますよ?」
「…違います。ロイスさんの方が脚が長いから付いていくには足を動かすしかないんです。」
だらだら続きます。