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「・・・そうだね」
明かりの無い道を抜け、平屋の大きな家に軽トラックは止まった。
「お前の部屋は定期的に開けて風を通してるからそのまま使っても大丈夫だろ」
「うん、ありがとう」
靴を脱ぎ、襖と戸だけで仕切られている家の一番奥の部屋に入り重たい荷物を置く。
電気をつけようと部屋の中央にある紐を探す。
その瞬間何か足で踏んだ感触を感じる。
「!!」
パチパチッと電気を付ける。
六畳程しか無い部屋に5人ばかしの人影が落ちた。
飛鳥は驚く様子も無くそのもの達を見る。
「おかえりさない」
最初に声をかけたのは、暗い紺に深緑のウェーブがかかった髪の女。
顔の右側だけ髪で隠している。
その声は艶やかで色っぽい。
「今年は一番早かったんじゃない?おかえり」
次に声をかけたのは、白に近いクリーム色をした髪の青年。
つり目で、目の下には紅化粧が施されている。
年齢は見た目的に飛鳥と同じくらいだろうか。
「ただいま。お出迎えありがとう」
飛鳥が少し微笑んで礼を言う。
「くうちゃんが教えてくれたの〜」
そう言い放ったのは、栗色の癖が強いショートの女の子。
たれ目で目の下には大きなクマが出来ている。
「お前、その呼び方やめろって言ってんだろ」
そう怒ったのは、黒髪短髪の褐色肌の青年。
細身で筋肉質なのが見てわかる。
「黒ありがと。それから、風も長さんも孤羽も」
そう飛鳥が言うと後ろからぬっと黒い影が出てきた。
「!!?」
「その子新しい子だよ〜」
振り向くと小さい女の子が飛鳥を見上げていた。
そしてその手には死んだウサギが握られていた。
「・・・名前は?」
「自分、小玉鼠と申しますんです・・・。これ、お近づきの印です」
そう言い、ウサギを差し出してくる。
飛鳥はなるべく血が付いていない部分を掴み受け取った。
「あ、ありがとう・・。じゃ、こだまだね、よろしく」