STORY:04
前略、外国でせっせと働いている母さん父さん。
私は今、人生最大の危機に陥っているかもしれません。
「ね?そしたら僕たちは住む家も確保できるでしょ?」
「えええええ」
奥さんちょっと話が飛びすぎてやいませんか!(落ち着け私ィィィ!)
第一なんでミヅキさんを許す条件がそれなんだよおお!
むしろ私はミヅキさんが許してもらわれなくっても関係ないんですけど!
「おいルイ!お前それはなんでも突飛すぎるだろー」
うわあレイン様ありがとう!と思ったところだがまずお前が話を振ったからこうなったんだろうが!
ちなみにクレイとミヅキさんは恐怖に凍り付いて全く役に立ってくれません。(あれ?私何気に酷いかな)
「でもね、君が僕たちを住まわせないとしたら僕たちは不法入国も同じなんだから、仲間だと思われて君も巻き込まれるかもしれないよ?
っていうか僕が絶対に巻き込んであげるよ、ふふっ」
「わ、わあー喜んで!ココに住んでいいですよっていうか住んでくださいィィィ!」
「うん、そう言うと思ってたよ
無駄な殺人をせずにすんで良かったなあ」
怖ェェェ!この人断ったら殺すつもりだったのか!ちょ、怖すぎるこの人ちょっともう怖すぎるってこの人!
「・・・ホントにいいのか!?」
話を聞いていたクレイは私に飛び掛らん勢いで肩を掴んで揺らしてきた。うわあ、初めての脳みそシェイク!!(どうした私ィ!)
「ううううん、だってほら、その、ね・・・・」
語尾を濁すと、私のルイへの恐怖感が伝わったのかシェイクするのをやめて、哀れむような視線を向けてきた。
この人も随分と苦労しているんだろうか、合掌。
「あああありがとうございます!あなたは私の命の恩人です!!
鏡弥さん、本当にありがとうございます!!」
今度はミヅキさんが私の両手をとって情けないことに号泣しながら言ってきた。
なにこの人触んないでよ、ちょ、この人の手でべたべた!!どんだけ怖かったんだよお前!
「別に良いですよ汗べたさん」
「汗べ・・・!うわあぁあぁん!!」
泣き出したよコイツ!どんだけお前泣き上戸なんだよこの汗べ泣き虫!!
うっわもう部屋の角でおいおい泣くなキモイから!
「あーそのーアイツいっつもあんなだから、気にすんなよ
それと、ありがとな」
「あ、いえ別に」
私も命が惜しいので、とは口に出さずに視線で訴えると「ははっ」とレインさんは苦笑した。
なんかこの人マイペースだなあ。
ていうかこの人妙に伸ばした喋り方するよなあ。
「とりあえず、よろしくね
あんまりうるさくしないでね、思わず僕、息の根止めちゃうかもよ?あははっ」
「笑い事じゃねええ!腹黒大魔王がァァァァ!!」
「うわあ、僕そこまで言われたの初めてだよ
鏡弥といると退屈しないかも。あぁでも君ちょっとうるさいよね」
ちょっと調子にのった自分を反省します、ごめんなさい。と謝るとルイは「ふぅん」とだけ呟いてもの凄く嫌味な感じの笑顔を浮かべた。
「えーあーまぁ、なにはともあれ、よろしくね。
私の家は親もいないからあんまり気にしなくてもいい・・・けど・・・くれぐれも逮捕されるようなことは、ないように」
私が主に腹黒大魔王に向けて言うと、当の本人は「ふふっ」と随分愉快そうに笑った。(うわあ凄い殴りたい!)
「とにかく、だ」
「私たちはこれから」
「ココに住まわせてもらうからー」
「・・・よろしくね」
「うん・・・よろしく」
奇妙な生活が、始まりそうです母さん父さん。(でも少しだけ楽しいかもしれない)