STORY:03
「・・・その話を私に信じろと?」
とりあえず私も自己紹介したあと、怪訝そうな目で四人を見やると、ルイを除く三人は気まずそうな顔をした。
ちなみにルイは仏頂面。この人は怒る時というか、腹黒い発言する時に素晴らしい笑顔になるらしい。
「・・・信じてほしいなー、と」
クレイは恐る恐るといった感じで言った。だから私は「お前は黙っとけ」というとショックを受けていた(だってコイツ反応が最高だ!)
コイツらの話によると、
自称魔王(正確には魔剣士・・・らしい)のミヅキさんが庭で拾ったという水晶玉のようなものを頭上に上げて「It is trip!」と叫んだ所、光に包まれて───今に至る、ということらしい。
彼らの推測によると、自分達は異世界から来たのではないかということだ。
でも話によるとその世界は地球となんら変わりなく、スーパーがあればテレビもあるらしい。
違うことといえば、魔法が使えること(使える人と使えない人がいるらしい)、
それと彼らが言ったように「剣士」とか「魔道士」とかそういうゲームでしか聞かないような職業があるらしいことだ。
「・・・証拠とかあるんだったら信じてやらんこともないよ」
さすがに私もそこまで鬼じゃないからね、と偉そうに続けると四人はもの凄く微妙な顔をした。ムカつく。
「あー証拠は・・・おいミヅキ」
「ははははい!
え、っと・・・これが水晶玉──あと、説明書です」
「説明書あるんだったら最初から出しなよバカだね」
クレイとか言う人に言われると、ミヅキって人はやけにどもりながら
どこからか水晶玉と説明書を取り出した。(これも魔法かな?)
そしてその後にルイって人に真っ黒な笑みを向けられるとガタガタと震えだした。
ていうかこの人本当に26歳なんだろうか、見た目も若いしなんていうか・・・へたれだ。
「んー・・・何々?」
水晶玉を一通り眺めた後、説明書を手にとって見ることにした。
「えっと・・・『これを頭上に掲げて「It is trip!」| (イッツ イズ トリップ)と叫ぶと』・・・・・」
変なところで区切ると、四人は不思議そうな顔をして「早く読め」と言いたそうな目でこっちを見てきた。
だってこれ・・・読み上げるとミヅキって人また怒られるんじゃ・・・とも思ったけどやっぱり自分の身が優先だ。
私は読み上げることにした(そこ!薄情とか言わない!)
「『叫ぶと』──『異世界に旅行できる』・・・って書いてあるけど・・・?」
私が言うと、やぱりミヅキさんは顔が青褪めて、クレイは明らかに怒った表情をして、ルイに至ってはこれまで見たことがないほどに真っ黒な笑みを浮かべていた。
レイン、って人はそんな二人を宥めているがそれは今の二人(主にルイ)には逆効果だ。
「お前・・・知ってたのか!?
知っててお前やったのか?だったら俺ホントお前のこと嫌いになりそうなんだけど!」
「ああああの、しし知らなかったんですよよよよ」
クレイは思ったよりも怒っていたらしく、ミヅキさんの肩をがしっと掴んで揺さぶっている。
脳みそシェイクだ脳みそシェイク!!
ていうかミヅキさんどもりすぎだろうが怯えすぎだろうが!
「へぇ、よく知りもしないのにそんなモノを僕たちに見せてくれたんだ
しっかりとお礼しないとダメみたいだね?」
「いやあぁああ!ちょ、ルイやめて下さい!!」
「イヤだなあ、遠慮しなくても良いんだよ
ちゃんと天国に連れて行ってあげるから、ね?」
うわあ、この人すっごい怒ってる!やっべえなコレ軽く殺人起こそうとしてるよこの人!
クレイもさすがにルイの怒りようにビビったのか、怒るのも忘れてガタガタブルブルと震えている。
「おいルイ、やめてやれって
ミヅキだって悪意があってのことじゃないだろうし、なあ?」
レインが可哀想に思ったのか、そう言ってミヅキさんを見ると、ミヅキはもの凄い勢いでこくこくと顔を上下に振った。脳みそシェイク!!(私よ黙れ)
「・・・だったら
だったら、この人が──鏡弥がここに住まわせてくれるっていうんなら、許してあげる」
「・・・何言ってんのォォォ!!」
思わず私はルイへの恐怖も忘れて叫んだ。っていうかツッこんだ。