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(小鳥遊キリヲ)

(小鳥遊キリヲ)


 「さくら……こ、す、きだから。」

 自分の声で目を覚ました。


 どう見ても雑種の老犬を、怪我をしてまで助けてくれた子。

 自分がご飯を食べなくても犬にご飯を食べさせてあげた子。

 アイドルをやってるオレにも普通に接してくれる子。


 好きになるのはオレの中で当然だった。

 何があっても守りたいと思った。

 でも、桜子は危なっかしいくせに、弱いくせに、強くて。


 大量破壊兵器と言われてる大和君にも一歩も引かずに抗議できるぐらいの子で。

 いきなり「僕のこときらいになったかな!? 僕のことなんか殴りたいぐらいに嫌いになったかな!?」と意味不明なこともいわれてしまったけど。

 生まれて初めて誰にも渡したくないと思った。


 屋上でのたった二人のライブは一生の思い出だ。

 なのに、


 オレの好きな人は桃香さんなんだと決めてつけてくる。


 悔しいよりも悲しくて、細い手首をつかんだ。


 どうしてオレを信じてくれないんだ。生まれて初めて好きになった子なのに、こんな残酷なことなんてない。


 言葉が届かないなんて。


 屋上で歌った歌は、パッケージのモデルに桜子の後ろ姿に似たモデルを使ったCDの歌。

 桜子への、愛を歌った歌だった。切なくて、でも、楽しくて、何物にも代えがたくて……。


 好きばかりをたくさん詰めた曲。

 もう一度、あの歌を……。今度こそ、桜子に届くように……

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