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ある子猫の回想  作者: 東風
5/24

0歳(秋の巻)

やっと引越しも終わり、穏やかな秋の日々です。

ようやく外に出るようになりました。

そんな子猫の目には、どんな物が映るのでしょうか?

 朝晩の空気が涼しくなって、虫の声が聞こえる秋真っ盛りとなるころ、新しい家への引越しが終わってマサさん達ばかりでなく僕達も新しい家での生活が始まりました。


 引っ越しは終わったと言っても、マサさん達はまだ、引越し荷物の片付けが終わらないようで、毎日箱に入れた荷物を少しずつ出して、押入れやたんす、棚等の中に片づけています。


「この本棚は此処で良いかしら?」


「まあ、此処なら邪魔にはならないだろうから良いんじゃないかな?」


「このサイドボードは此処にしたいんだけど。」


「そこに置くと隣の部屋に行けなくなるよ。横に移動して台所側の壁一杯に持ってこないと扉が開かないからね。」


「うーん。こっちに置きたかったんだけど。残念。」


 新しく揃えた家具は今まで見たこともないくらい大きな物ばかりだったし、前の家から捨てずに持ってきた家具もそれなりにありましたから、マサさんとトモさんは置き場所が決まるまで、何度も移動させています。

 荷物によってはせっかく家の中に運び込んだのに、また外に出したりと、仕事が終わって帰ってきてからの少しの時間を使ってこつこつと片づけていました。

 古くなった家具を捨てて、新しい家具と取り替えたと言っても、もともと前の家に有った荷物を同じ大きさの家に入れなおすだけなのに、なんでこんなに時間がかかるのか、とても不思議に思いました。


 その他、マサさんはいつも自分達が寝る部屋の天井に何か取り付けたり、壁にもいろいろ取り付けていきます。


「このカーテンで部屋を半分に区切れば、ユキも勉強しやすくなるな。」


「良くこんな長いカーテンがあったわね。厚みもだいぶあるし、重そう!」


「遮光が出来て、防音機能もそれなりにある物を買ったから、寝ているときもこちらの音でユキが起きたりしないと思うよ。ただ、重い分だけ取り付けに注意しないと落っこちてきそうだ。」


 だいぶ苦労して、取り付けたものが絶対に外れたりしないようにと、壁や天井に穴を開けて何かを埋め込んでいきますが、あれって後で外す事は出来ないのでしょうね。

 天井に付けたもの(レールと言っていました。)には床まで届くカーテンという長い布のような物が下げられて、部屋を二つに分けられるようにしました。

 奥のほうにマサさんとトモさんの布団や箪笥が置かれ、手前のほうにはユキくんの机や布団が置かれました。

 どうやら、手前の方がユキくんの部屋になるようです。


 真ん中の部屋を挟んで、マサさん達の部屋とは反対側の部屋に、前の家から持ってきたイッちゃんとノンちゃんのベッドに机や箪笥などが入れられてました。

 マサさん達の部屋と同じ大きさの部屋ですから、かなり狭くなっています。

 真ん中の部屋はマサさん達の部屋より少し大きい部屋です。

 此処には新しく買い込んだ大きな家具が置かれて、その中にテレビや色々なものが入れられたり、沢山の本が並べられました。

 部屋の真ん中にはご飯を食べるときに使うテーブルが置かれました。このテーブルは冬になると炬燵になるそうですが、今はまだただのテーブルです。


 真ん中の部屋の南側にある大きなガラス戸には、猫用の出入口が作られて、いつでも僕たちは出入りが出来るようになっています。

 僕達オス猫はこの真ん中の部屋を寝床にして、アヤお母さん達メス猫はイッちゃん達の部屋を寝床にすることになりました。

 でも、僕はマサさん達のところで寝ようと思っています。


 そうして、どうにか片付け作業が一段落ついた頃、僕はようやく外に遊びに出るようになっていました。

 始めの頃はネズミ叔父さんやハチ伯父さん達について外に出ていましたが、慣れてくるとだんだん一人で出て行くようになりました。

 まだ歩く範囲は家の近くだけですが、前から気になっていた猫集会がある公園や、近くの犬のいる家の場所などを伯父さん達に教えてもらいました。

 その他にも車が沢山走るところなんかも注意するように教えてもらいましたが、そっちには行くことがないように思いました。


 この頃になると、昼間でも暑い日はなくなって来て、外で走り回っても暑くて舌を出すようなこともありません。

 朝晩は少し寒いくらいで、空の色や、空に浮かんでいる雲も夏とは違う感じがします。


 外を歩くようになって気がつきましたが、近所の他の家には僕達のほかにも色々な猫の家族が住んでいます。

 とってもきれいな白いお姉さん猫が住んでいる家や、マックスお父さんのような立派な体つきの猫もいます。

 やさしい猫達とは友達になりましたが、中には乱暴ものの猫もいて、時々マックスお父さんたちと喧嘩になることもありました。


 そんな中で驚いたのは、アヤお母さんです。

 ある日、僕が散歩をしていて近くの家の前を通った時、その家にいる犬達に吠えられて驚いて動けなくなってしまった事がありました。

 2匹の犬に吠えられて、どうしたらいいか解らなくなっていたら、いつの間にかアヤお母さんがその家の塀の上に立っていて、吠えている犬を一睨みしたのです。

 なんと、その一睨みだけで犬達は黙ってしまい、尻尾を股の間に入れて庭の奥に引っ込んで隠れてしまったいました。

 その後、アヤお母さんは何でもないというような感じですぐに離れていってしまいましたが、この時のアヤお母さんの背中はマックスお父さんよりも大きく見えました。


 後で、この時のことをトマト伯父さん話すと、


「アヤお母さんは伯父さんが生まれた頃にはもう、この辺一帯のボスのような感じで、どこの家の犬や猫からも一目置かれていたんだよ。」


と教えてくれました。


 そう言えば、マサさんとトモさんが前に話しているのを聞いたことがありました。


「この前、買い物に出かけたとき、角の家にいる犬がうるさく吠えるので、家の人に文句を言おうと思ったら、塀の上にアヤが登ってきたのよ。そうしたら、今まで吠えていた犬が急に静かになって奥に引っ込んでしまったの。その後、アヤが犬が引っ込んだほうに入っていったけど、アヤって強いのかしら?」


「見た目お嬢様だけど、もしかしたらスケ番とか裏番?みたいな感じなのかな?俺も一度見たことがあったけど、この辺の犬達にとってアヤってかなり怖い存在みたいだよ。」


 はじめて知った事実でしたが、アヤお母さんて、どうやらものすごく強い猫だったようです。

また、緊急入院してしまいましたが、一週間で退院できました。

もっと早く更新したいと思うのですが、なかなか難しいものです。遅筆で申し訳ありません。

お読みいただき、ありがとうございます。

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