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ある子猫の回想  作者: 東風
3/24

0歳(夏の巻)

ずいぶん長い間隔が空いてしまいました。

申し訳ありません。

1/8:サブタイトルを変更しました。

 だんだん暑くなってくる頃、僕の体も少しずつ大きくなってくると、今度は、僕のことをマサさんは「ワンコ」、トモさんは「うさぎ」とか言い始めました。

 どうも、トモさんには、足としっぽが短くてお尻が大きいから、歩きかたが「うさぎ」というものに見えるらしいのです。


「これで、耳が長ければ完璧「うさぎ」なんだけど、残念ね。」


 と言われます。

 たしかに、僕は足が短いし、しっぽはミミお母さんやアヤお母さん達のような、長くてゆらゆら揺れる立派なしっぽではありません。

 根元からくるくる丸まった、スプリング(?)のようだとマサさんが言いますが、今のところ別に高いところに上がってバランスをとるつもりもないし、まして高いところから落ちるつもりもないので、困ることもないと思います。


 マサさんが「ワンコ」と言うのは、僕がいつも家の中でマサさんやトモさんの後ろをついて回って足下に纏わり付いたり、ご飯の時間にマサさんに「お座り!」と言われて、思わず「お座り」をしてしまった事から言われるようになりました。

 マサさんはご飯の時間になるといつも側にいる僕が、マサさんに言われる度に「お座り」をすると褒めてくれて、自分が食べているご飯を分けてくれます。

 それが嬉しくて、マサさん達がご飯を食べる時は、いつもマサさんの隣で「お座り」をするようになってしまったので、余計に「ワンコ」と言われるようになったわけです。

 少しすると、今度はマサさんから「お手!」と言われるようになりましたが、そこまでは僕もまだ出来ません。

 まだ、堅いキャットフードが食べられない僕に、マサさんは朝と晩の2回、パックに入った柔らかいキャットフードを食べさせてくれるようになりましたが、それだけではすぐにお腹がすいてしまうので、こうやってマサさんのご飯を分けて貰えるのはとても嬉しいことでした。



 マサさんには、トモさん達と違って、決まった飼い猫が居ません。


 一番最初からこの家にいるアヤお母さんは、産まれたのはどこか他の家で、ある日、トモさんとマサさんに貰われてこの家に来たそうです。

 産まれた家では沢山の兄弟が一緒に暮らしていたんだそうです。

 でも、その家の前にたまたまマサさん達が来たときに、その兄弟達を見たトモさんが、アヤお母さんの飼い主さんとお話をして、まだ子猫だったアヤお母さんが貰われることになったんだそうです。

 その時から、アヤお母さんはトモさんが飼い主になったけど、マサさんも大好きだったので、よくマサさんの膝の上に上がって甘えていたんだそうです。


 この家に来てからアヤお母さんは沢山の子供を産んで、その中にはマサさんの飼い猫になった子猫も居たらしいのですが、みんな事故や病気で居なくなってしまったそうです。

 それからは飼い猫を決めないことにしたんだってトマト伯父さんから聞きました。

 だから、今は僕が一番マサさんの傍にいる猫になります。



 暑い夏が来ると、僕はお兄さん猫やお姉さん猫たちと一緒に家の中で遊びまくりましたが、まだ、外には出たことはありません。

 窓から見ているだけでも外は暑くて、セミというもの達の声が大きく響いていますし、外は何だか怖かったから出ようとは思いませんでした。

 その代わり、家の中は棚の上から机の裏側まで、僕たちの入れない所はありません。

 少しでも隙間が有れば押し入れの中まで入ってかくれんぽです。


 隅から隅まで遊びまくり、走りまくり、時には勢い余って、マサさんの頭の上に落っこちたり、寝ているトモさんの上を走り抜けたりして怒られていました。

 ついでに、家の柱や床は僕たちの爪研ぎで削られ、畳までぼろぼろになってきました。

 爪研ぎはいくつも有ったのですが、何故か柱の方が気持ちが良かったりして、ついつい柱や畳で爪研ぎをしてしまうのです。

 マサさん達は、家主さんに見つかったら大変だと、削れた柱に板を張ったり、ぼろぼろになった畳や床に絨毯という物を新しく敷いたりして、頑張って隠していましたが、そんなことをしても僕たちが遊ぶのですぐに壊れてしまい、あまり上手に隠せているとは思えませんでした。



 そんな風に僕たちは思いっきり遊んで、暑かった夏も終わりに近づいた頃、家主さんから電話が来ました。

 その時家にいたトモさんが電話に出てお話をしたのですが、なにか引っ越してもらいたいとか言われたようです。

 トモさんは僕たちが壊した柱や畳のことが家主さんにばれて、追い出されるのではないかと心配していましたが、家主さんから詳しいことはマサさんと話したいと言われたらしく、その日、マサさんが帰ってきてからトモさんがマサさんに話して、すぐにマサさんは大家さんに電話をしました。

 しばらく話をして、やがて話が終わったのか、電話を置いたマサさんは、トモさんに言いました。


「僕たちが住んでいるこちらの一棟を取り壊して、駐車場を作るらしい。それで、僕たちに2棟南にリフォーム中の部屋が2部屋あるから、その内のどちらかに移って貰いたいんだって。」


「それじゃ、この部屋は取り壊されるの?」


「そういう事だね。ばれた訳ではなかったようだ。助かったよ。」


 どうやら、部屋が猫に傷つけられたことがばれる前に、取り壊しが決まったので、助かったらしいです。


「2棟南の部屋というと、確かに今リフォームをしていたわね。どんな部屋になるのか判らないけど、あまり間取りも変わらないのでしょう?」


「そうだろうね。間取りは変わらないだろうけど、部屋の向きは反対になるから、だいぶ感じは変わると思うよ。南側に2階建ての家が有るから日当たりも少し悪くなるんじゃないかな?」


「そうだ。せっかく新しい部屋に引っ越すのなら、この機会に家具も色々替えましょうよ。今ある家具はどれも痛みがひどいから、ひと思いに全部投げて、リサイクルショップを回って、良さそうな家具があったら買いましょう。」


「そうだね。それじゃあ、今度の休みにでもリサイクルショップを見てみようか?」


 そう言った訳で、それからしばらくの間、マサさんとトモさんはあちらこちらを回って、色々な家具を購入していったみたいです。

つぎは秋の分になります。

早めに投稿したいと思います。

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