ある子猫の回想:(番外編2)
子猫が2歳になった記念の変わりに、この家の猫達について回想してみました。
この後、子猫の妹や弟が出来るかどうか?
アヤお母さんも年ですから、どうなるのでしょうか?
北の家族とともに暮らしている子猫も無事に2歳になりました。
体は他の雄猫達に比べてまだまだ小さいままですが、お腹からお尻にかけては丸々としてきて、本当にウサギのような体型になっています。
いつもマサさんやトモさんに言われるように、耳が長ければ間違いなくウサギになるでしょう。
他の猫達はみんな、それなりにスリムで猫の体型なのに、どうして子猫だけこんな大家になってしまったのか。
それはやっぱり生まれた時の環境のせいでしょうか?
生まれた時にミミお母さんに忘れられ、マサさんとトモさんに育てられた子猫ですが、それでもアヤお母さんがいなければ生きていく事は難しかったでしょう。
お母さんと言っていますが、アヤはミミお母さんのお母さんで、実はお婆ちゃんです。
全身灰色で、この家にいる猫達では子猫以外全部のお母さんです。
子猫はマサさんとトモさんにミルクを飲ませて貰って育ちましたが、その時に一緒に助けてくれたのが子供好きのアヤお婆ちゃんで、同じ時期に生まれた子達と一緒におっぱいを貰ったりしていたので、お母さんと呼んでいます。
トモさんがご主人になりますが、マサさんも大好きなので、子猫が生まれるまではいつも側にいたそうです。
子猫のお父さんはマックスです。
灰色系の虎縞で、体も大きくとても強いのでこの家の猫達のボスになります。
子猫はマックスお父さんにそっくりなので、体が少しずつ大きくなってくるとマックスお父さんと間違われる事が多くなりました。
体も大きく足も太くて、目つきのキリッとしたとっても頼りになる雄猫です。
ユキくんがご主人ですが、いつも他の猫とは離れて一匹でいます。
トマト伯父さんはマックスお父さんの弟で、アヤお母さんと同じ全身灰色の猫ですが、胸に白い星があります。
マックスお父さんと一緒に生まれた雄猫で、体の大きさはマックスお父さんと同じくらいですが、とても優しくて怒ったところを見た事がないくらい穏やかな猫です。
この家で生まれた猫達みんなのお父さんといった感じで、いじめられた猫にとって一番の避難場所になっています。
トモさんがご主人で、トモさんの具合が悪い時は心配して、いつも側で励ましていますが、普段は少し離れたところでみんなを見ています。
次に来るのは虎縞のハチ伯父さんと全身真っ黒のクロ伯父さんです。
体はマックスお父さん達より、二回りくらい小さいのですが、とてもすばしっこい伯父さん達です。
ハチ伯父さんはイッちゃんの猫で、クロ伯父さんはノンちゃんの猫です。
ハチ伯父さんは病気になって入院した後、すっかり猫が変わったようになって、とても乱暴者になりました。
どの猫に対しても喧嘩を仕掛けるようになって、時々マックスお父さんにも喧嘩を売って、逆に殴られています。
クロ伯父さんはいつも悪い事ばかりしていますが、怒られる時は素直に怒られるのであまり嫌われる事もなくノンちゃんは甘甘です。
ただし、ノンちゃんからは下僕指定されてもいます。
それから、トマト叔父さんにそっくりなネズミ叔父さん。ミミお母さんの弟で、ユキくんの猫です。
見た目はトマト伯父さんとそっくりなので、よく飼い主さん達に間違われていますが、気が弱くていつもハチ伯父さんやクロ伯父さんにいじめられます。
大抵トマト伯父さんの所に逃げ込んで守って貰いますが、我慢出来ずに今まで2回家出しています。
いつもいじめられているので体中怪我だらけになり、顔も情けなくなってしまいました。
普段は、棚の上など高いところに上がって隠れてねています。
ゲンキ叔母さんはミミお母さんの妹で、ノンちゃんの猫です。
ゲンキ叔母さんは名前の通りとても元気で、飼い主さん達に雄猫と間違われていたそうです。
あんまり元気すぎて、他の雄猫に喧嘩を仕掛けたりします。
マックスお父さんにまで猫パンチをしていましたから、すごいと思いました。
この他にも、子猫が生まれてから2年の間にアヤお母さんから10匹近くの猫が生まれましたが、みんな早くに死んでしまいました。
生まれた時は元気なのですが、少しすると具合が悪くなって、いきなり死んでしまうのです。
マサさんは血が近すぎるからだと言っていました。
マックスお父さんやトマト伯父さんの他は、みんなお母さんがアヤお母さんで、お父さんがマックスお父さんかトマト伯父さんになります。
ですから、ハチ伯父さんより後に生まれた猫はみんな兄弟で従兄弟や甥姪の関係になるのです。
ミミお母さんから生まれて生き残ったのは子猫だけですが、ミミお母さんもマックスお父さんもアヤお母さんの子供ですから、子猫は他の猫にとって甥になり、アヤお母さんにとっては孫になるわけです。
ややこしい関係ですが、家の中だけで子猫が増えるという事はこういう事なのです。
その為に血が濃くなり過ぎたという事ですね。
マサさんから聞いた獣医さんのお話では、血が濃すぎるので、外見は異常ないのに体の中に異常があって、ある程度大きくなると死んでしまうそうです。
ミミお母さんやゲンキ叔母さんが外に出て、他の家の雄猫に出会う事があれば変わってくるのでしょうが、最近さっぱり他の猫を見かけなくなったので、それも難しい事なのでしょう。
マサさん達はこれ以上子猫を増やさないように、雌猫と雄猫のいる部屋を分けて、行き来が出来ないように注意していますが、時々ミミお母さんやゲンキ叔母さんが脱走してくるので、なかなか制限出来ないようです。
子猫としては弟や妹がいたら面白そうだと思っていても、なかなかそんな未来は来そうにありません。
どちらかというと、年を取ってきたアヤお母さんの体の方が心配です。
今まで沢山子供を産んできた元気いっぱいのアヤお母さんですが、最近は食欲もなくなってきたようで、体が細くなってきています。
イッちゃん達の部屋でミミお母さん達が走り回っても、微笑んで見つめているだけの事が多くなって、前のように一緒に走り回る事がなくなってきました。
マックスお父さんもトマト伯父さんも心配しています。
この1年間は色々あって、大変な1年でしたから、これからの1年は穏やかに何事もなく過ぎて、アヤお母さんも元気に長生きしてくれる事を願う子猫です。
この家では、そんな願いが叶うかどうか判りませんが・・・・。