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0 禁忌術
「ちっくしょ!」
俺は走りながら、悔悟の言葉を口にする。
髪が後ろに靡き、風により目が乾燥しても、風のような速さで走る。
灰色の壁で挟まれた狭い路地裏は、生ごみや動物の死体の腐臭が蔓延していて、息を吸う度にその悪臭が鼻をつく。
「そこのガキ! 待て!」
後ろで一人の警官が喚く。俺の速さに着いて来てはいないが、別の警官に集まられても困る。早めに巻かなければ。
ふと空を見上げると、灰色の壁の隙間から、その青々とした空間が垣間見えていた。
ここぞとばかりに、俺は余裕の笑みを浮かべ、
「blast――NO.2――《wind feet》」
――翔ぶ。
中に浮かぶ――が、俺は落ちることもなく、まるで足場が空中にあるようにもう一度――跳んだ。
呆然とする警官の表情に悦を感じながら、灰色の壁の頂上まで登り切った。
街が一望できる高さだ。
そこら中に人が蔓延り、街を賑わせているように見える。
ここが、俺が警官に、国に、王に追われる理由を創った国――ウィーセンス。