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天使とサイナス  作者: 七数
3章 【予】
54/58

49話 「リベンジ」

昨日の 48話 「最強の男の記憶④」 で誤字脱字などが多かったので訂正しました。

申し訳ありません。

「うぅ〜緊張しますね…みんな頑張って欲しいです」


闘技場の観客席 職員専用席でシラが心配そうにそう呟く。


「お怪我は大丈夫ですか?」


「はい!少し痛むところもありますが問題は無いです!」


「何か不便なことがあれば俺に言ってください。

できる限りサポートしますので」


「ありがとうございます!」


昨日、この怪我をするほど痛めつけたラインラットを

すぐに止めなかった俺にも非がある。

シラの覚悟を信じるよりも、身を按じるのがやはりいちばん重要だ。


「アビス先生…アイネスさんとマレランさん、勝てますよね?」


やはり1番そこが心配か…。

昨日、ラインラットをボコボコにした際にシラとの婚約は破棄と会場全体に聞こえるように言った。

だが、それだけでは本当に破棄されるなどと都合の良い展開には行かないだろう。

ならばどうするべきか。

答えは簡単。

契約通り、ノースアヌス学園がイースアヌス学園に勝てば良いだけだ。

アイネス、マレラン、ケイン、イリア、ネイサ。

この5人にはできる限りを叩き込んだ。

アイネスとマレランに至ってはルシニエと同じくらいの成長速度だ。

アイネスとマレランはユーランシーに来て欲しいくらいには強くなった。

だが、イースアヌス学園のアンナとジャックスの2人の生徒もまた強敵なのは事実。


「勝てますよ。あの5人なら」


これは安心させるために言った言葉なんかではなく、

本心からあの5人を信じているからだ。


昨日と同様、ロイが戦闘場に出てくる。


「皆さん!!お待たせいたしました!!

それでは只今より!剣術祭を開催しますっ!!」


昨日よりも気合いが入った開始の仕方。

当然だろう。

この広い闘技場の観客席がひとつの空き無く埋まっているのだから。

両親や各学園の生徒や教師、貴族階級やバルタ王が見に来ているだろう。

バルタ王には先程挨拶をしに行った。

昨日のことを叱られるかもと危惧したが、あれもまた1つの面白い展開として楽しんだらしい。

一応国で1番の剣術実力者を他国の者がボコボコにしたのだからもう少し危機感を持つべきなのだが。


剣術祭と同時に俺とキャスは天帝の存在を警戒していた。

昨日のキャスが言っていた特徴から闘技場内の観客席を見渡して探しているがそれらしき人物は見つからない。

また姿を変えた可能性があるため見つからなくとも警戒を緩めるつもりは無い。

いつ、攻撃を仕掛けてくるか…。

その点では奴らの方が有利ではある。


(警戒するのは良いが…キャスは試合を見なくて本当にいいのか…?

一応臨時で教師やっているんだろ…)


キャスは闘技場外にて天帝を警戒すると共に怪しい者がいないかを監視すると早朝の時点で言い出した。

確かにその方がより安全ではあるが…。


(キャスのことだ…何言っても聞かなかっただろう。)



「それではまず最初は個人戦!!

この種目は男女関係なく1対1の剣術対決をし、優勝した者はこの国の学園で1番の実力者!!

それに加えて騎士団入団推薦書を貰える景品付き!!

一体誰が優勝するのか!!」


最初は個人戦か…。

盛り上がりで考えたら確かに団体戦の方が盛り上がりそうだ。


(それにしても騎士団入団推薦書か…。

随分高待遇だ。

確かに優勝は手にしたいのは分かる。

アイネスとマレランなら優勝の可能性はあるが、2人は対戦表を見る限り当たるとしても決勝。

ジャックスはアイネスと、アンナはマレランと同じ山か。)


是非とも勝ってほしいものだが…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(クソがっ!昨日、やつにやられた傷がまだ痛む。

化け物めが…俺が何も出来なかった。

プライドを汚された。

ならばあいつも苦しむべきだ…そうでないと俺の汚されたプライドが治らない。)


「ジャックス!アンナ!」


「はい、なんでしょうか」


「俺たち、今から体を温めようと思ってたのですが」


「うるさい!すぐ終わるから聞け!

ノースアヌスのマレランとアイネスという生徒を出来る限り痛ぶって勝て。」


「…ですが」


「黙れ!これは命令だ!アンナ、お前は賢いからわかっていると思うがお前達の卒業は私次第ということを忘れるな!

ジャックスも分かったな?」


「…分かりました」


「アビス・コーエン…自分の教え子が痛ぶられる様をよく見ておくんだな」


「「…」」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「いやぁ、今日はいい天気だねぇ」


「何言ってるのよ、雨降って最悪よ。

気圧が高いとイライラするわ。」


「雨は良いじゃないか。何も残らずに全てを流してくれそうで。」


「気持ち悪いわね」


「ギャラリスに気持ち悪いと言われる時が来たか。

僕も歳かな」


「殺すわよ?」


「それよりもだ、どうやらセルシャとハインケルがそろそろ動きだしそうだよ」


「オロビアヌスねぇ…あの国オシャレなもの多いから壊さないで欲しいのだけれど」


「どうやらセルシャの目的が変わりつつあるっぽいよ」


「変わる?そもそも元々の目的すら知らないのだけれど?」


「バルタ王を殺すついでにオロビアヌス滅ぼそうとしてたらしいよ」


「ついでで滅ぼす規模ではないのだけれどね。

あの子本当に恐ろしいわ」


「でも、バルタ王を殺すのとプラスでもう1つの目的ができた。

今、オロビアヌスにはアビス・コーエンとナルバン・キャスが滞在している。

その2人のどちらかを殺すこと」


「ふーん。アビス・コーエンは言わずもがな、ナルバン・キャスはそこまで脅威になるのかしら?

意思も無ければアビス・コーエンのような体質もないのでしょう?」


「まぁね。でも、あの男は才能と努力を結びつけるのが上手でね。

正直フィジカルだけなら僕でも勝てるかは怪しい。

それに…あの男には あの剣 がある。」


「あの剣…?」


「それはまだお楽しみさ。まぁ、直接見ることが出来なそうなら僕の口から教えてあげるさ」


「何よ、焦らすわね。

ミュレイちゃんは順調かしら」


「あぁ、問題無いみたいだよ。

バレる様子もなさそうだし、マリオロで買い物を楽しんでいるみたいだよ」


「あら、羨ましいわ。

国を滅ぼしてしまうとオシャレなお洋服とかが手に入りずらくなるからあまり好まないのよねぇ」


「その気持ちは分かるよ」


「何言ってるのよ。あなたも一国滅ぼしてるじゃない。

カヌスも治安は悪いけど結構よい国だったのよ?

あなたが癇癪起こして滅ぼさなければ住んでいたかもしれないくらいなのに」


「あの国は存在している価値が無かったからね。

今更どうでもいいだろう。

それよりも僕はセルシャとアビス・コーエンとの対決が気になるよ」


「アビス・コーエンねぇ…確か、あなたが宿る前に事象の意思を宿っていた天帝…確か、ハーランド・ティナだったかしら?

何もさせずに殺したと聞いたことがあるけど本当?」


「本当さ。

君も知っての通り、意思の超越 は言わば覚醒。

意思 との会話を通して意思の本当の力を使うことが出来る。

僕はそれが既に起こっている。

その際に 事象の意思 の過去に宿った人物の記憶を見た。

ティナは相当な実力者だったよ。

昔とはいえ、アンジ・ディシィともう1人…剣韻の意思者を相手取って一度も攻撃を当てられることなく圧倒していた。

恐らく今の僕と戦ってもそれなりに良い勝負ができるくらいには強い子だったよ。

でも、アビス・コーエンはそれを上回る化け物だった。

記憶を見た僕ですら反応しきれないほどの速度でティナとの距離を詰めて、サイナスの発動を止めた。」


「!?サイナスを?サイナスの発動までの相場って

セルシャちゃんのを抜きにしたら大体0.3秒ほどよね。」


「そうだね。意思 の縛りとして サイナスや意志を発動する際は口に出す必要がある。

常時発動するもの以外はね。

そして、ティナはサイナスと言うと同時に能力を発動させようとしたがアビスはそれすらも反応してサイナスの発動を止めた。」


「ふーん。ランスロットは勝てるのかしら?」


「…どうだろうね。僕は人間相手ならほとんどの者に勝てるだろうけど人間の皮を被った化け物を相手した事なんてないからね。」


「面白そうね。戦ってみたい気持ちもあるわ」


「やめときな、死ぬよ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さすがは大国の剣術祭と言ったところだろうか。

盛り上がり方がユーランシーに比べて凄まじい。

アイネスもマレランも順調に勝ち進んではいる。

だが、当然のようにアンナとジャックスも圧倒的な実力を見せつけて勝ち進んでいる。


そして、次はマレランとアンナが対戦する。

マレランとアンナ…互いに器用で精密な攻撃を得意とする者同士…面白い戦いになりそうだ。


「それでは!!試合開始!!」


マレランとアンナは互いに剣を構える。


「あなたの先生…アビスさんと言ったかしら。

何者?」


「さぁな。ユーランシーから来たということだけしか俺も分からない。

あの人が何者かなんて俺も知らん。」


「ユーランシー…ユーランシーの化け物…そう。

まぁ、いいや。」


どうやら俺の話をしているみたいだな。

観客に聞こえないように話しているが当然俺には聞こえる。


(何者…か。人外か何かと思われてでもいるのか?)


そんなことを考えているとアンナが動き出す。

マレランの背後に回り込み、素早い振りでマレランの関節を的確に狙う。

しかしマレランは全てに余裕を持って反応し、アンナの膝を横から蹴る。


「っ!」


体勢を崩したアンナにマレランは首元目掛けて剣を振るう。

しかしアンナは剣の側面を手の甲で弾き、距離をとる。


「驚いた。1週間前とは別人のように強くなってる。

ジャックスに何もさせて貰えてなかったはずなのにね。」


「アビス先生が言ってたさ。」


『人は成長をやめない。

今が強いからといって保とうとする事…それは退化だ。

今で満足するな』


「ってな。」


「良い先生だ。…降参します。やりたいのは山々だけど、チーム戦の時にやり直そうよ。」


「…出来ないと思うぞ。俺の前にはアイネスがいる。」


「あの女の子ね。私に勝てるとは思えないけどね。

まぁ、チーム戦の時までの楽しみにしておくよ。

どうせあなたと真面目にやったところでその後のジャックスには勝てないし。」


アンナは本当に降参をした。

場内はざわめきながらもロイが切り替えて次の対戦の準備をするように言う。


次は…アイネスとジャックス。


「俺らもなにか話すか?」


「話すことなんて無い」


「まぁそうだな。

あんたは降参しなくていいのか?

俺どころかアンナにすら勝てなさそうだがな」


「…舐めるな。

降参なんて舐めたことは私はしない。」


「まぁ、確かになぁ、アンナは少し勝手がすぎるよなぁ。

まぁ、俺としては降参して欲しいんだが。」


「無駄話はここまででいいでしょ。さっさと始めよう」


「それではぁ!!試合開始!!」


「出来るだけ抵抗しないでくれよ。

ラインハット先生に言われたけどあまりそういうのは好きじゃねぇんだ」


ジャックスは真正面からバカ正直にアイネスに向かっていく。


(やっぱり早いっ…でも、反応できないほどじゃない!

アビス先生の方がもっと…早かった)


ジャックスはアイネスの首元目掛けて本気で剣を振るう。

だがアイネスは足を開き、体を下に動かして避けながらそのまま回転してジャックスの膝を2回高速で蹴りつける。


「やるじゃねぇか」


ジャックスは少しふらつく程度ですぐに立て直し、

低い態勢のアイネスの腹目掛けて拳を振り下ろす。

だが、アイネスは下半身、上半身の順に体を起こして

両手で支える形になると、体を持ち上げた遠心力のままジャックスの顔に両足をぶつける。

その勢いで両足を地面に着けたまま踏ん張りながら後方に動く。

アイネスはすぐに立ち上がりジャックスから距離をとる。


「なるほどなぁ…悪くはねぇな。だが、まだ足りない。

そんなんじゃ俺は倒せないぞ!!」


「っ!!」


ジャックスは一瞬のうちにアイネスの後ろをとる。

遅れながらも反応するが、完全に背後を取られる。

ジャックスは剣を今までよりもさらに早く振りつける。


「アイネスッ!!」


マレランが身を乗り出しながら叫ぶ。

アイネスは 死んだ と思い目を閉じる。

しかし痛みも何も無く、目を開ける。

すぐそこにはジャックスが立っており、ジャックスが持つ剣はアイネスの首元で寸止めされていた。


「言っただろ。痛めつける趣味はねぇって。

おい進行、俺の勝ちだろ?」


「え、あ、しょ、勝者、ジャックス!!」


ジャックスは剣をしまい、出口へと歩き出す。

アイネスも悔しそうにしながら出口へと歩き出す。

控え室に戻るとマレランがいた。


「マレラン…ごめんっ、」


「いや、よく頑張ったよ。お疲れ様。

チーム戦のために体を休ませておけ」


「うん…頑張ってね、マレラン」


「ああ、任せろ。」




「続きましては!いよいよ個人戦決勝!!

ジャックスvsマレラン!!!

互いのプライドと信念をかけた勝負!!

剣術祭前での親善試合でマレランはジャックスに何も出来ずに負けたという。

だが、こうしてまた決勝で戦うことが出来た2人!!結末はどうなるのか!!」



(…チッ。ラインラットか…こすい真似をしやがって。)


この親善試合の情報はロイには伝えてなく、伝えるつもりも無かった。

だが知っているということは間違いなくラインラットの仕業だろう。



「アンナとの戦い見たけどよぉ、少しはマシになったらしいじゃねぇか」


「少しかどうかは実際に確かめてみな」


「おもしれぇ。俺は女を痛めつける趣味はないけどよぉ、男はどうだっていいんだよ。」


「同意見だ。リベンジと行かせてもらう」


「それではぁぁ!!!開始ぃぃいいい!!」


合図とともに2人は衝突し合う。

互いの剣をぶつけ、押し付け合う。


「俺とお前の…圧倒的差ってもんを教えてやろうかぁ?

それはよぉ、才能ってもんだよ!!」


「くっ!」


ジャックスは力のみでマレランを押し返し、立て直す暇も与えずにどんどん距離を詰めて剣を振るう。

マレランは反応はしているもののワンテンポ遅れている。


(まずいな…相手のペースに飲まれている…。

どうしたんだ、マレラン。)


様子がおかしかった。

昨日の段階で既に仕上げていたはず。

だが、また動きに迷いが出ていた。


「アビス先生…マレランが、」


「ああ、克服したと思っていたが…」


マレランが何とかついて行っている攻防も終わりを迎えた。

ジャックスの猛攻にマレランは耐えられずに剣が抜けてしまう。

そして、ジャックスはマレランの顔スレスレに剣を突きつける。


「試合終了!!勝者 ジャックス!!」


会場全体が盛り上がりジャックスの圧倒さに歓喜する。


「とんだ拍子抜けだ。

アンナとの戦いを見て少しは期待したが…無駄な期待だった。

お前…いつまでも人を傷つけることを怖がってるんじゃねぇぞ」


「っ、、」



「少しの休憩の後、団体戦へと移りたいと思いますので皆様もう暫しお待ちください!」


マレランは控え室に戻るとアンナとすれ違う。


「マレラン…だっけ。どうやら過大評価しすぎたみたいね。

あんな戦いしてよく学園代表で来れたものね。」


マレランは何も言い返すことが出来なかった。

それは紛れもない事実でありアビスから教わったこと何一つとして活かせなかった。


「言い返す言葉もないなんて。呆れた。」


「随分言うじゃない。ビビって降参した分際で」


「は?」


アイネスがアンナの後ろから歩いてくる。


「ビビったって言った?」


「ええ、言ったわ。それよりもポーカーフェイスはどうしたのかしら?

もしかして ビビった って言われて 図星 で怒っちゃったかしら?」


「あんまり舐めた口聞くなよ。クソ女」


「あら、それはお互い様でしょう。」


「今ここでやり合っても良いのよ」


「まぁ、確かに、大勢の前でまたビビって降参するよりかはここでやった方がいいかもね」


「殺すっ、」


アンナがアイネスの顔目掛けて拳を向ける。

だがそれがアイネスに届くことはなかった。


「やめておけ。問題を起こしたら俺たちが罰せられるだけだ」


「ジャックス…」


「お前たちもだ。随分な大口だったな。

ならば次の団体戦で見せてみろ。

マレラン、もし次さっきみたいな戦いをしたらタダでは済まないからな。

行くぞ、ラインラット先生が呼んでいる、」


「チッ…」


アンナとジャックスは去っていきアイネスとマレランだけが残される。


「すまない…アイネス。俺のせいで」


「マレランは頑張ったよ!団体戦頑張ろ!」


「そう…だな。」


「マレラン」


「アビス先生…。すみません、俺…」


「こっち来い」


俺はマレランとアイネスを連れてトレーニング室に入る。


「怖いか?」


「え?」


「人を傷つけるのが怖いか?」


「…はい。怖いです。」


「過去に何があってトラウマになったのかは聞かない。

その代わり、1つ教えておく。

俺は人を殺したことがある」


「え、?」


「そいつはどうしようもないほどの悪人で俺の妻を殺そうとした。

だから、殺した。

頭の原型が無くなるまで地面に押さえつけて何度も何度も殴りつけた。

その時の俺は覚悟を決めたから何も怖くなかった。

人を殺したこの手で正しいことをしようなんて思いもしなかった。

いいか、マレラン。人を殺すのと傷つけるのは同じじゃない。

だが、人を傷つけるのが怖いのと人を傷つける覚悟をするのは同じことだ。

お前はなんのために戦う?なんのためにこの剣術祭という舞台に立つ?」


「…自分の力を証明、するためです」


「いいか?犠牲なくして強さなど手に入らない。

その犠牲の対象は傷つける相手なんかじゃない。

自分の気持ちだ。お前の場合ならば人を傷つけるのが怖いという感情を犠牲にして強くなる。」


「感情を犠牲に…?」


「お前は独りじゃない。もし、やりすぎてしまったとしても俺が一緒に背負ってやる。

だから、好きにやってこい」


「覚悟…人を傷つける覚悟…。」


(この人はすごいなぁ…。この人が一緒に背負ってやるって言うだけで安心感が違うや。

なんだか、馬鹿らしくなってきたな。)


「本当に傷つけて罰受けることになっても文句言わないでくださいね」


「構わんさ」


「アイネス、絶対勝とう!」


「っ!うんっ!!」


(憑き物が取れた…かな、)

読んで頂きありがとうございます!

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