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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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056 ステータスオーバーの弊害


 恐ろしいほどのステータス値になりまして、わたし達はひとまずギルド長様と相談しようとラゴサへ向かっています。


「今後のことなんだけどさ、エミリアのステータス値がすごすぎる。絶対に何か困ることが出てくると思うんだ。その時のために決めておこう」

「何をでしょうか」

「エミリアは<敏捷、200万>だから、一瞬で別々になってしまうかもしれない。そうなってしまった時に焦らないように集合場所を決めておこうよ」

「かしこまりました。けれどそれは、ラゴサの冒険者ギルドではダメなのでしょうか」

「そうしよう。国内にいる時はラゴサの冒険者ギルドのチェリニさんの所、もしフスラン帝国なら魔術道具研究所に行こうか。可能であればシャミーさんもしくはミッチーさんの所に」

「かしこまりました」


 こうして集合場所を決めていますが、気をつけていれば普段通り生活できるのです。

 イザヤ様と別々になるなんて、と思っていました。


「……ここは、どこでしょう?」


 目の前は海。わたしの服は濡れ、背後には深い森があります。わたしは、なぜここに。

 えぇと、思い出しましょう。わたしに何があったのか。





 イザヤ様と、ラゴサへ向けて歩いていました。それは確実です。

 イザヤ様と歩いていて、普段通り歩こうとする意識が強すぎてわたしが転倒しそうになりました。

 そして、そのときにイザヤ様が抱き留めてくださり。


「……あのときの、ぶわっとした感覚は、何だったのでしょうか」


 不意に近づいたイザヤ様のお顔。その距離はお互いに息が届くような近さで。

 右腕の痛みに眉を寄せたイザヤ様に申し訳なく思って声を発しようとして、イザヤ様の呼吸を感じて。


 そして気がつけば、どこだかわからない場所へ来てしまいました。

 ここはどこで、アラバス王国はどちらの方向にあるのでしょうか。

 それがわからないと、闇雲に動けません。方角としては恐らく、わたしが最初に向いていた方だと思いますが。

 どんな動きをすればちょうど良い距離を移動できるのか、まだわかっていません。一か八かに賭けるのはまだ早いと思います。


<敏捷性、200万>で<体力、51>。それでいて<防御力、3200万>のため、ちぐはぐな感覚があります。

 尋常ではない速度での移動で体がばっきばきに壊されてしまったような気がするのに、外傷はなし。

 自分の感覚と体の状態が合っていないような気持ち悪さです。

 ふむ。この感じならば、<治癒>ができるでしょうか。


<治癒>をかけます。スーッと、言いようのない気持ち悪さがなくなりました。


「さて。ここはどこなのでしょうか。場所の特定をするよりも、食べ物の確保が先でしょうか」


 これまでイザヤ様に助けられてばかりいました。イザヤ様と一緒にいたいですが、一人でもどうにかしないといけません。


 ひとまず、周囲を探りながら食料を捜そうと思います。

 いえ、その前に濡れた靴とローブを乾かさないといけません。濡れているということは、わたしは海を渡ってしまったようです。

 幸いにも背後には深い森があります。森があれば、枝もあるでしょう。

 ぱぱっと火種にできるようなものを捜し、リュックから石を取り出して積み重ねていきます。砂浜の砂でローブが汚れないようにしましょう。


 ファラに<付与>をしてもらいまして、指輪に戻そうと思いました。ですがファラは、以前のようにわたしの頭の右へ止まります。まるで、わたしが一人でいることを心配してくれているかのようです。

 ファラの気遣いに感謝しつつ、焚き火の熱で服を乾かしている間に技能牧場の開拓をしましょう。


 まず確認しなくてはいけないのは、ルーガのスキルファームです。これは開拓が全て終わってしまいましたが、<治癒>は使えました。どんな変化があるのでしょうか。


「……なるほど。スキルは使えますが、ステータスの上昇には関わらなくなるのですね」


 ルーガのスキルファームを開いた瞬間、ぽんっと小さな画面が出てきました。そこに書かれていたので、まず間違いないでしょう。


<防御力、3200万>のわたしです。体調を崩したり怪我をしたりすることはないと思いますが、<治癒>できるとわかっているのはありがたいです。

 ここは見知らぬ土地。何があるかわかりませんからね。


 ルーガの技能牧場を確認し終えたので、次はファラの分を開きます。

 すると、ファラが<幸運Ⅰ>の右から二番目を指定しました。ファラが場所を指定するのはいつものことなので、その通りに開拓を進めます。

<幸運Ⅰ、+11>だったので、早速ステータス画面を確認しました。


「……?」


 いつもはすぐに反映されていたステータス画面に表示されている数値が、<幸運、200万>のまま変わりません。

 小さなファラが草を食べる演出が入ったのになぜ、と考えますが、すぐに思いいたります。


「なるほど。これはある意味、弊害でしょうか」


 わたしのステータスは、ルーガの技能牧場を全開拓したことにより、一見するとステータス画面が壊れてしまったかのような数値になっています。

<+%>がある項目は、全て200万を越えているのです。そこに<+11>というのは、端数扱いということなのでしょう。

 今後、もし今よりもステータス値を上昇させたい場合にはある程度まとめてやる方が良いようです。


 服が乾くまでもう少しあるようなので、ファラの技能牧場の画面を眺めます。

 ファラが開拓場所を指定するのは最初からですが、なぜそれを求めるのでしょうか。

 わからないことは聞いてみるのが一番です。


「ファラ。あなたは技能牧場で何をしようとしているのでしょうか」


 問いかけてみると、ファラからはわたしを絶対に守るという意思を感じられました。

 そして、ファラがやりたいことの答えに繋がるのでしょうか。開いたままの技能牧場の画面上を、何度も同じような動きで飛びます。

 その動きは、まるでサグランの鋏を示しているかのように見えました。

 まだピンときていないわたしにさらなる手がかりを示したいのか、ファラは先程よりも高速で技能牧場の上を飛び回ります。

 その動きは、うっすらと線を描いているように見えました。


「この形……どこで見たのでしょうか」


 ファラが示す形は、サグランの鋏に似ています。ですが、それは似ているだけで同じではありません。

 しかし、どこかで見たような記憶があるのです。どこだったかと考えていると、ファラが動きを変えました。


「あっ、なるほど!!」


 ファラは、技能牧場の左上にある、属性を示すマークの上に行きました。

 そこに描かれている「火」は、先程ファラが飛び回って表現していたものと同じです。

 ファラは、この火のマークと同じように開拓をしろと言っているのですね。ようやく理解できました。


 服も乾きましたので、これからこの場所を捜索しながら食料を捜します。






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