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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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030 二体目のサタルパ

 かなり長めの文量です。


 森へ進む道すがら、わたしは気づいてしまいました。

 ファラ、ルパ、ルーガは懐いてくれていたので問題なくテイムできています。しかし新しく出会う魔獣と親しくなれる時間はあるでしょうか。


「イザヤ様。サタルパとは、本来どのような戦い方をされるのでしょうか」

「サタルパは、穴を掘って足を止めさせるとか、落とし穴を作るとかかな」

「なるほど。ルパがイザヤ様にしていたようなことですね」

「そう。だからテイムじゃなくて、討伐するなら簡単なんだよ。サタルパが土から出てきたところを攻撃しちゃえば良いから」

「テイムの条件は、懐いている以外にはどうすれば良いのでしょう?」

「ごめん。テイマーのことはよくわからないや。ステータス画面に情報が載ってない?」


 言われ、わたしは冒険者証を触ってステータス画面を開きます。

 LV.1、エミー、テイマーと表示されている、「テイマー」を触りました。

 すると、イザヤ様がおっしゃっていたようにテイマーのことが書かれています。


 テイムの条件は、瀕死もしくは状態異常でテイム可能とあります。

 あれ、おかしいですね。これまでの三体は懐いてくれていたからテイムできたと思ったのですが。

 不思議に思いつつ説明を読み進めると、食材系はテイムできず、と書かれています。


「イザヤ様。食材系の魔獣とはどなたのことでしょう?」


 質問すると、答えてくださいました。


 食材系とは、基本的に四属性には含まれていない魔獣のことだそうです。

 動物系魔獣が四種類。その内、サぺという水属性魔獣の暴走時にもいた魚型の魔獣だけ水属性ということらしいです。

 そして、野菜系魔獣が五種類。ウォルフォード領内でルパと戦っていたキャベツ、ジャガイモ、トマト、タマネギともう一つ。茸の魔獣がいるようです。


 ついでに、ということで教わったのは、各属性の魔獣について。各属性で四種類いるようで、それらについては実戦で詳しく教えていただけるとのこと。


「なるほど。たくさんの魔獣がおられるのですね」

「って言っても、滅多に見ない魔獣も多いけどね。おれですら知識しかなくて、二年前の戦いで初めて見た魔獣もいたし」

「その節はどうもありがとうございました」

「いえいえ」


 そんな風にイザヤ様とやりとりをして、少し気が緩みました。

 移動するため、ステータス画面を閉じます。

 そして。

 いざ、二体目のサタルパをテイム、です。





 わたし達はサタルパが出没しやすい森の中へ入っていきます。


「サタルパのテイムだけど……エミリアが今テイムできている友獣は、ファラ、ルパ、ルーガだよね。テイムの時に活躍できそうなのはどの子?」

「そうですね……」


 ステータス画面を開きながら赤い指輪を触ります。技能牧場に書かれた名前に触れると、攻撃方法がわかります。

 ファラの攻撃方法は、火の粉を散らすこと。

 これは使い方次第でしょうか。森だと、万が一火災を起こしてしまう可能性があります。

 ファラはスキルを開拓できていないので、戦うとしたら火の粉をどう扱うかですね。


 続いて、黒い指輪を触ります。ルパは穴を掘り、攻撃というよりかは足止めですかね。

 そして開拓できているスキルは<宝検知>。これは戦いというより、日常の中の補助のようなものでしょうか。


 最後に、青い指輪を触ります。

 なるほど、ルーガは攻撃というよりかは防御に徹するようですね。

 あれ、ではルーガと出会ったときにイザヤ様が距離を取っていたのはなぜなのでしょう。

 ここには防御に徹すると書いてありますが、攻撃を受けたことがあるのでしょうか。

 ルーガのスキルは<治癒>、<擬態>、<水中呼吸>。こちらのスキルも、戦い向きではないように思います。


「……確認しましたが、ファラの火の粉で火傷を負わせ状態異常にするか、もしくはルパに穴を掘ってもらって足止めの最中にわたしが攻撃、でしょうか」

「エミリアって、今、攻撃力三桁だよね?」

「はい、そうです」

「だとすると、エミリアの攻撃はかなり加減しないといけないかもしれない。サタルパ自体の体力って、そんなに高くないんだ。三桁だと、せいぜい指で小突くぐらいかな?」

「えっ……そんなに、弱い子なのですか」

「地属性では最弱かなあ?」


 かつて双子の出涸らしの方と言われたわたし。ルパとは何度も共に戦っていましたが、思わぬ所で親近感を持ちました。


 しかも、イザヤ様曰く。

 わたしがテイムしているファラことサファッラ、ルーガことサタルーガ。火属性と水属性ですが、それぞれ属性の中で最弱とのことです。

 何という偶然。三体とも友獣にできて良かったです。


 方針は決まりました。

 一番可能性がありそうな、ファラで火傷を負わせる方向でテイムしようと思います。もしそれだけで足りなければ、指で小突いてみましょう。



 さぁやるぞ、と思ったからでしょうか。

 それとも<幸運、326>の効果でしょうか。

 足下の周囲をボコボコッと土が盛り上がりました。


「エミリア! 右に跳んで」

「はい!」


 イザヤ様のご指示の通り動きます。するとわたしがいた場所に、ポコッと小さな穴が開きました。


「なるべくサポートするけど、エミリアが頑張って!」

「かしこまりました!」


 赤い指輪を二度触り、ファラを出します。


「ファラ、サタルパに火の粉の渦を出してください!」


 わたしの言葉を聞いたファラが、地中を動き回るサタルパを追いかけます。

 しかし土の中はサタルパの独壇場。なかなか追いつけないようです。


 わたしは<敏捷性、396>の数値を信じ、サタルパの進行方向に移動しました。

 すると、わたしの感覚としては一歩進んだだけのように思えましたが、サタルパを待てるほどの余裕があります。

 わたしの足に当たったサタルパは、目を回しているように見えました。


「ファラ、今です!」


 火の粉の渦が、サタルパを襲います。そしてそれはサタルパの毛を焼きました。まるで「アチチチ」と言っているかのように、サタルパがバタバタと暴れています。

 すかさず、冒険者証を触りました。


「! テイムします!」


 お馴染みになった質問文。宣言と同時に、<テイムを完了するためには名前をつけてください>と出ました。

 燃やされたままでは可哀想です。早く、名前をつけてあげましょう。


「あなたは、パルタです」


<テイム完了しました>の文字と同時に、パルタが光に包まれます。そして小指に黒い指輪が装着されました。

 その指輪を二度叩き、パルタを出してみます。


「パルタ。もう体は熱くありませんか」

<是>


 質問すると、ルパとは少し違う声質の低い声で返事がありました。

 サタルパは、どの子も簡潔的な話し方をするようです。


「イザヤ様! パルタをテイムできました」

「おめでとう、エミリア。実戦もできそうだね。早速パルタの技能牧場を開いてみて」


 サタルパを二体目。ということで、検証も兼ねて最下段<スキルⅠ>の、ルパと同じ場所の右から六番目を開拓します。


<スキルⅠ、92>となりました。

 選択してから思いましたが、これでは<スキルⅠ>の数を増やすだけですね。

 サタルパによってスキルが変わるのかどうか確認するなら、<スキルⅠ>を先に触れば良かったです。

 改めて<スキルⅠ>を触ると、<宝検知>と出ました。どうやら、サタルパが増えてもスキルが増えるわけではないようです。

 そのことをイザヤ様に伝えました。


「なるほどね。あとできる検証は、同じ属性の違う魔獣がどんなスキルを持っているか、かな」

「そうですね……あの、イザヤ様。ファラが自分の技能牧場も見てと伝えてきます」

「テイマーのエミリアと一緒に戦ったからね。何かしら変化があるのかも」


 パルタが入る黒い指輪を触って戻し、ついでとルパが入っている黒い指輪を触りながら技能牧場を開きます。

 下が土だからか、ルパが弧を描くように出てきました。土から顔を出したルパは、<スキルⅡ>ではなく<スキルⅠ>のときに「是」と言います。

 なので、左側の<+6>の草を開拓しました。

 ファラのときもそうでしたが、特別懐いていると思われる二体は技能牧場の開拓する順番にこだわりがあるように思います。


 ルパの黒い指輪がある中指に触れて戻してから、今度はファラの技能牧場です。

 ファラの名前が、白く点滅していました。きっとこれを触れということですね。


「なるほど……」

「どうだった?」

「パルタをテイムするために、ファラと共同で戦ったという判定になるようです。その判定のときだけ、技能牧場の開拓が少し変わります」

「どんな風に?」

「通常は隣接する場所しかダメなのですが、<Ⅰ>の項目のどれかであれば開拓済みの場所と隣接していなくても開拓できるようです」

「柔軟にできるんだね」


 ファラの技能牧場を開拓しようとすると、ファラが場所を指定します。

 その通りに、<スキルⅠ>の右から四番目を開拓しました。すると<+9>と出ます。

 そこで満足したのかファラがわたしの頭の右上に止まったので、赤い指輪を触ってファラを指輪に戻しました。


 そして、<スキルⅠ>を触ってみます。


「なるほど……。イザヤ様。ファラの<スキルⅠ>は、わたしが持つものに火を付与するようです。これで火起こしができるようになりますね!」

「火を付与……それは、すごいね」

「今後、火起こしはわたしに任せてください!」

「それはもちろん、お願いするけど……火を付与できるってことは、火属性の武器を持てるってことでしょ?」

「……はっ! なるほど!!」


 イザヤ様の剣は何かの属性を纏っていません。それでもお強い。

 そんなイザヤ様の隣でわたしが武器を持って、一緒に戦えるかもしれません。

 これは、今後ますます攻撃力を上げていかないといけませんね。


 テイマーは、やはり最強の職業ではないでしょうか。




 明日は金曜日です。

 朝、更新しますのでブックマーク登録をしてお待ちいただけると幸いです。


テイムリング装着状況:

・左薬指、赤い指輪inファラ

・左中指、黒い指輪inルパ

・左人差し指、青い指輪inルーガ

・左小指、黒い指輪inパルタ

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