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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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020 テイムリング


 ウォルフォード領へ向かうにあたり、ファラをあまり見せない方が良いというお話になりました。

 アラバス王国で魔獣は討伐対象。友獣になって明確に色が違うものの、間違って討伐されないようにということです。


「エミーは目立つ髪と瞳の色をしているでしょ? 顔はフードで隠せても友獣は隠しづらい。テイマーだし、何かない?」

「あ、それでしたら、左の薬指のところに違和感があります」

「違和感?」

「はい。指輪のような、硬質な感覚のものがあると思うのです」


 そうなんだ、と言いながら、ギルド長様は好奇心を抑えられなかったようです。わたしの手を取り、よく見えるようにしようとしました。

 ですが、イザヤ様が驚くほど素早くギルド長様の手を叩き落としてしまいます。

 あまりにも鮮やかな手刀で、且つ、わたしには一切当たっていないのは称賛するしかありません。


 お二方の仲の良さを見ていたい気持ちもありましたが、わたしは右手を左の薬指付近に当てました。


「「あっ」」


 イザヤ様とギルド長様の声が揃います。

 同時に、わたしの左の薬指に赤い指輪が見えるようになりました。


「どういう仕組み!? 友獣がいなくなったよ!!」

「少し、触ってみますね」


 興奮気味に前のめりになったギルド長様を、イザヤ様が止めています。

 ファラがわたしの頭の上からいなくなり、赤い指輪が現れた。それはつまり、この指輪にファラが入った、ということでしょうか。


 赤い指輪に触れてみます。

 しかし、触れるだけでは何も反応がありません。

 今度は、赤い指輪に触れながら名前を呼びます。


「ファラ、おいで」


 するとそれに呼応したファラが、光に反射するキラキラとしたベールを纏って出てきました。

 わたしも、イザヤ様も、ギルド長様も、ファラの登場に魅入ってしまいます。

 思わず言葉を忘れてしまうほど、綺麗でした。


 最初に我に返ったのは、イザヤ様です。


「ファラが指輪から出入りするのはわかった。でも毎回こうだと、いざって時に不便かもしれないね」

「確かに。ファラを見て行動が遅くなってしまってはダメですね」


 演出は綺麗でも、実用的ではない。どうすればいいかと考えていると、ファラから思念のようなものが送られてきました。

 それに従い、一度ファラを指輪に戻します。そしてすぐに、ファラの言うとおりに素早く二回指輪を触りました。

 すると、先程のような演出がなくパッと目の前に現れます。


「これなら良いんじゃない?」

「名前を呼ばずとも、二回素早く触れば良いとファラが教えてくれました」

「すごいねえ、エミーとその子の絆は。伊達に十年も一緒にいないね」


 これでファラを外に出さないで移動できるようになりました。


 わたしとイザヤ様はギルド長様の部屋を出て、ウォルフォードへ向かいます。

 ラゴサからウォルフォードへは、途中で一泊しないといけません。

 今夜の野営地を探しながら、イザヤ様から提案されます。


「ファラが友獣になったし、野営の時に試してみたいことがあるんだけど良いかな」

「何をされますか」

「夜に魔獣から襲撃されないように結界石を置くんだけど、友獣なら問題ないかどうか」

「なるほど。それは確かに重要な問題ですね。今後行動を共にするにあたり、イザヤ様も睡眠を取れるようになりますね」

「……寝られるかどうかはわからないけど……」

「申し訳ありません、今なんとおっしゃいましたか」

「いやっ、気にしなくて良いよ!」

「そうですか?」


 首が取れてしまうのではないかと思えるほどイザヤ様が頷かれるので、この話は終了となりました。


 街道を進んでいましたが、野営をするために外れます。

 そのすぐ後、煌びやかな装飾が施され、白馬が引く馬車が通り過ぎていきました。


「派手な馬車だね」

「恐らく、王族のどなたかが乗っていられると思いますが……」

「ウォルフォードに行く道だよね? もしかしたらエミリアのお姉さん?」

「そうかもしれません。しかし、今は妃教育で忙しい時期のはずですが……」

「急に家族と別れたんだし、もしかしたら休養で里帰りするのかもね」

「エレノラは郷愁を覚えるような性格ではないと思います。何か、問題が起きていなければいいのですが……」


 王太子妃として大々的に発表されています。万が一、それが反故にされるようなことがあれば、お母様が荒れそうです。

 いえ、それだけならまだ良いかもしれません。他責的になり、どこかへケンカを売るようなことをされる可能性もあります。


「心配かもしれないけど、とりあえず野営の準備をしようか。徒歩じゃ、どうしたって歩き続けられないし」

「そうですね」


 わたしがまだ街道を見つめてしまっている間に、イザヤ様がパパッと天幕を張ってしまいました。

 イザヤ様が斜めがけの鞄から、平たい石に星の模様のようなものが描かれた結界石を取り出します。

 それを見たわたしは赤い指輪を二度叩き、ファラを出しました。


「それじゃあ、近づけてみるね」

「お願いします」


 イザヤ様が、結界石をファラに近づけました。

 ファラは嫌がる様子はなく、逆に興味津々というように結界石の周囲を飛び回ります。


「大丈夫そうだね」

「はい。ファラからは特に何も感じません」


 イザヤ様が結界石を天幕の四隅に置いたとお声がかかりました。

 天幕の中に入ってみましたが、ファラは元気に飛び回っています。

 問題はなさそうで良かったです。


 その日の夕食は、干し肉をいただきました。器用さが上がったからか、最初のときのように苦戦せずに食べられたことが嬉しかったです。


 天幕で寝るとき、わたしは奧へ行きます。そしてイザヤ様はまた二人の間に愛剣を置き、寝返りを打っても気づけるようにしたからと力説されました。

 イザヤ様は寝相が悪いのでしょうか。前に宿で寝たときにも気づけませんでした。

 わたしは大丈夫だと自負していますが、念には念を、ですね。

 ゴロゴロッと転がってしまわないように、体の上で両手を組んで寝ることにしました。




 本日、もう一つ更新します。


 テイムリング装着状況:左薬指、赤い指輪inファラ

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