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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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017 初めてのテイム


 イザヤ様の冒険者証がプラチナからゴールドになりました。

 その後、そのままイザヤ様とギルド長様に見守られながらテイマーのスキルを発動します。

 スキルは、冒険者証に触れると何をすべきかわかるそうです。


 早速触ってみようとすると、ずっとわたしの頭の右上が定位置だった相棒の青黒い蝶が、机の上に下りました。


「では、触ります」


 右手を左手首に添えます。

 その、瞬間。


「……え?」

「大丈夫? エミリア、危ないことはない?」

「エミー。何が見えているんだ?」


 心配をしてくださるイザヤ様と、好奇心を抑えられないというようなギルド長様。

 正反対のお二人が見守る中わたしの視界にあるのは、今まで一緒にいてくれた相棒の蝶の上に見える半透明の板のようなもの。

 そこには、<テイムしますか>と表示されています。


「……あの、お二方には蝶の上に何か見えていますか」

「いや? 何もないよ」

「エミーには何が見えているんだい?」

「<テイムしますか>と質問文が書かれているものがあります」

「ほう。それは面白い。冒険者のステータス画面のようなものかな」

「すてーたす画面?」


 首を傾げると、こういうものだよとイザヤ様が見せてくださるそうです。

 イザヤ様が冒険者証に触ります。


「ステータスオープン。開示、エミリア」

「ええー、ずるいー。ボクもイザヤのステータス見たいー」

「ギルド長様には見えないのでしょうか」

「ステータスは、冒険者の情報が載っている。指定した相手にも、ステータスも見られるようになっているんだ」

「え。わたしに見せてしまって良いのですか」

「エミリアだから良いんだよ」


 わたしだから良いとは?


 まだイザヤ様のことが全てわかるわけではありません。なのでひとまず疑問を忘れて、イザヤ様に見せていただいたステータス画面を見ます。

 体力、攻撃力、防御力、敏捷性、幸運、技能、器用の七項目がありました。イザヤ様の数値は、それぞれが四桁に近い三桁の数字になっています。


「ギルド長様。この数値はどれくらいのものがすごいのでしょうか」

「そうだねえ。ゴールド級の冒険者なら普通に三桁は行くかな。数値が五百を越えていたら『すごい』ってことになる」

「イザヤ様……やはり、すごいのですね!」

「ゴールド級になってから結構長いからね。これぐらいになっていても不思議はないかな」

「イザヤは頑張ったもんなー。守りたい子がいるからって」

「エミリアもステータス画面を確認してみて。おれに見せなくて良いから」

「は、はい」


 ギルド長様をわざと無視しているようなイザヤ様から言われ、わたしもステータス画面を開きます。すると先程まで出ていた<テイムしますか>の文字は見えなくなりました。

 イザヤ様のステータスと比べると貧相すぎます。体力以外の全てが一桁です。体力が48なのは、これまで努力してきた結果でしょうか。


「この数値は、どうやって上げるのでしょうか」

「魔獣を倒して経験値を貯めることが一番だけど……エミリアの場合はテイマーだから、倒すというよりかはテイムの数かな?」

「なるほど。では、早速テイムしてみます」


 ギルド長様がお部屋の隅で拗ねているような背中を見せています。声をかけようとしましたが、イザヤ様に止められてしまいました。

 先に、テイムをしてみようと提案されます。


 わたしはまた冒険者証を触りました。すると今度はステータス画面が消え、蝶の上に<テイムしますか>の文字が書かれた半透明の板が現れます。

 <はい><いいえ>の選択肢は表示されておらず、どうすればいいのかわかりません。

 目の前にある情報を処理していけば、きっと変化があるはず。

 そう思い、半透明の板に書かれた文字を触りまります。すると文の内容が変わりました。

<テイムを完了するには、名前をつけてください>

 そう書かれているので、わたしは十年も一緒にいてくれたこの子の名前を考えます。


 先程、冒険者証に登録される名前について学びました。

 やはり名前は一生ものだと思うのです。誰かに呼ばれて恥ずかしく思ってしまうような名前は、誇れません。

 ですが、困りました。わたしは常識が欠如している自覚があります。何が恥ずかしくて何が誇れるのか、検討もつきません。


 名前について考えていると、イザヤ様がギルド長様を慰めに行っている姿が視界に映りました。

 これからテイマーとして活動していく以上、まだまだお二人にはお世話になりそうです。


「……決めました。あなたの名前は、ファラです。サファッラの、ファラ」


 名前を呼んだ瞬間、<テイム完了しました>の文字と同時にファラが光り始めます。

 眩いその光は目を開けていることができず、思わず目を瞑ってしまいます。

 光が収まってきたと思い目を開けると、そこにはわたしの髪や瞳と同じ色の、オレンジみのある白色の蝶がいました。

 同時に、左の薬指に何か違和感が生じます。指輪のようなものがあると感じられますが、指輪自体は見えません。


「テイム、成功だね!」

「エミリア。ステータスを確認してみて」

「は、はい」


 正真正銘わたしの仲間になってくれたファラは、またいつもの定位置へ行きます。なんだかそれが、前から仲間でしたけど? とファラが言ってくれているような気がしました。


 ステータス画面を開くと、右上に白く点滅しているボタンのようなものがあります。

 触れてみると、ステータス画面の隣に、技能牧場(スキルファーム)と書かれた半透明の板がポンっと開きました。


「その様子だと、何か変化があったみたいだね」

「はい。技能牧場というものが出てきました」

「テイマー特有のものだね。それは、どんなことが書かれているんだい?」


 好奇心を隠さないギルド長様の隣に、同じようなお顔をされているイザヤ様もいます。

 お二人にもわかるよう、ギルド長様に紙と筆記具をお願いしました。




 本日、もう一つ更新します。

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