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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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139 テイマーの育成


 わたしはアンシアに移住可能な建物ができたと報告するため、王都へ向かいます。

 イザヤ様は、ギルド長様を迎えに行くそうです。そして今後のため、ギルド長という立場は何をするのかを聞いてきてくださるそう。

 わたしはアンシアの長であり、この街のギルド長も務めようと思っています。

 イザヤ様と別々に行動しないといけないのは寂しいですが、これも今後のため。

 イザヤ様から、わたしの話が聞きたいと言われています。イザヤ様も、期待してくださっていると思っても良いのでしょうか。


「それじゃあ、エミリア。行ってくるね」

「はい、行ってらっしゃいませ。わたしも王都での用事を済ませ、すぐにアンシアへ戻ります」


 イザヤ様がアンシアを発つ際、ふわりと笑みをこぼしました。

 嬉しそうな、照れくさそうな、そんな感情を読み取りましたが、イザヤ様は何に喜んでくださったのでしょうか。

 疑問に思いつつ、わたしも王都へ行きます。


 王都ではアンシアでの受け入れ体勢が整ったこと、街道を整備したいことを伝えました。

 そして近々、エレノラと王太子ボルハ様の結婚式が開かれると伺います。なんでも、魔王様の脅威と人災が去ったため、その景気づけという意味もあるのだとか。

 元々準備は進めていて、今回のことがあってその日程を早めたようです。




 アンシアへ戻ろうとすると、王都の入口で見知った人物を見かけます。

 レタリア様とギレルモ様に駆け寄りました。レタリア様は今日も眉毛から鼻の頭まで黒い布で覆っています。


「どうされたのですか」

「レタ、勉強する!」

「えぇと?」

「エミリア様が、テイマーを育成すると聞きました。おれ達も、学ばせてもらおうと思って」

「……? っは! ギ、ギレルモ様! そういえば、話せるのでしたよね」


 滑らかに話に入ってきたお声が、初めて聞くお声でした。低すぎず高すぎず、ギレルモ様にふさわしいお声だと思います。

 ですが、ギレルモ様はリンウッド辺境伯領ではあえて話していなかったはず。

 わたしが戸惑いの目を向けていたのでしょうか。ギレルモ様が話してくださいました。


 曰く、ギレルモ様は元々リンウッド辺境伯の本邸で庭師の息子として働いていたのだそう。

 幼い頃、レタリア様も本邸にいて年が同じだったため仲良くなったらしいです。そのためリンウッド辺境伯がレタリア様の将来の護衛として、鍛えさせたとのこと。

 ギレルモ様は黒い髪と瞳。地属性に適応しており、体術のみならず魔法でもレタリア様を守れるようになったそうです。

 ですが今度は逆に、レタリア様が懐きすぎてしまった。


 ここからは不愉快なお話です。

 リンウッド辺境伯は、王家からの監視人であり絶大な魔力を持つドニー様に頼んだそうです。レタリア様の命を人質に、ギレルモ様に話させない契約を結ばせたと。

 その話を聞くに、恐らくリンウッド辺境伯は王家との関係もずぶずぶだったのではないでしょうかか。監視を許す代わりに、何か見返りを求めていたのでは。

 そんなふうに思ってしまいます。


 昔は、王家の威信のために爵位を与えて監視していたのでしょう。

 ですが今は、怯えた力の存在が忘れられつつあった。だから、関係性が変化してしまったのでしょう。


 ギレルモ様からお話を聞く。それはギレルモ様がわたしの方へ体を向けるということ。それすなわち、ギレルモ様がわたしに関心を持っているような体勢になってしまいます。

 その状態が嫌だったのか、レタリア様がわたしの腕をポカッと殴って歩き始めました。


「レタ! エミリア様に謝るんだ」

「謝らない! エミリア、早く行く!!」

「エミリア様。すみません」

「いいえ。ギレルモ様とレタリア様は、仲がよろしいですね」

「ああ、えっと」

「っ! もしかして、お二人は恋人同士に?」

「……はい。当主様にはまだ、認められていませんが」

「わぁっ。おめでとうございます」


 ギレルモ様と話していると、戻ってきたレタリア様にまたポカッと殴られてしまいます。

 レタリア様はギレルモ様に叱られていますが、構ってもらっているからでしょうか。見える口元はなんだか嬉しそうです。


 待たせてしまっていたので、レタリア様に謝罪してからアンシアへ向かいました。





 それから。

 テイマーの育成を始めてから、一ヶ月ほど経ちました。


 ギルド長様を迎えに行ったイザヤ様から手紙が届き、ギルド長様の提案でウォルフォードのギルド長を務めることになったと報告を受けます。

 ステータス値はほぼ四桁。冒険者としての知識もその他の知識もありますし、何より英雄です。イザヤ様が適任でしょう。


 ウォルフォードからは救国の英雄となったわたしに取り次げだとか、冒険者ギルドを建てさせてやるから利権を寄越せなどと言われたそうです。言い方からして、長兄のセインお兄様ではなくお父様でしょうか。

 まったく相手にしなかったと、イザヤ様からの手紙に書いてありました。


 冒険者ギルドとするのは、あの魔の森にあった建物だそうです。あれを修復し、活用していくとのこと。

 冒険者ギルドはどの街でも煉瓦造りですが、ウォルフォードは今まで冒険者を蔑視していましたからね。造りが違うのは仕方なし、です。




 アンシアに来た頃は、まさかイザヤ様と一ヶ月以上も離れて暮らすなんて考えもしませんでした。

 イザヤ様は冒険者蔑視が残るウォルフォードで、冒険者ギルドの長として。

 わたしはアンシアでテイマーを育成して。

 フスラン帝国にいるシャミー様ともやりとりをして、希望する人がいればアロイカフスも卸してくださるそうです。

 それぞれが忙しく、わたしとイザヤ様は手紙でのやりとりも現状を報告するばかりでした。




 それからさらに一ヶ月が経ち、一人目のテイマーとして独立できる方が誕生しました。

 ギレルモ様です。

 テイマーは各々が持つ属性に左右されるようで、ギレルモ様は地属性の友獣四種をテイムしています。

 左右の耳に一つずつアロイカフスをつけたギレルモ様が一人目となったのは、他の方々よりもテイマーとして生きていく上での心構えが良かったからです。

 これまでの常識で考えると段違いのステータスの上がり方にも溺れず、友獣方を道具ではなく友として扱ってくれています。

 そのため、免許皆伝……と言ったら大げさかもしれませんが、一人目の独立者として選定しました。


 残念ながら、わたしと同じ祖の血を引くレタリア様はテイマーとして道が開かなかったようです。

 藍色と紫の瞳を持っていますが、明るい茶色の髪。魔力なしという判定になるようでした。


 一人目の独立者として、リンウッド辺境伯令嬢のレタリア様を同伴するとして、わたしはギレルモ様達と王都へ向かいます。

 そしてギレルモ様をリンウッド辺境伯領の冒険者ギルドの長に推薦しました。


 ギレルモ様達と別れた、その帰り。

 エレノラとボルハ様の結婚式の日取りが決まったと教えていただきました。招待状を出してくださるとのことで、アンシアに戻ってその手紙を待ちます。




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