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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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118 メタン沼の汚染源


 メタン湿地に着いてからすぐ、周囲の魔獣方を風圧で一掃しました。

 そして、メタン湿地に手を置いて<修復>を使います。

 わたしが手を置いた所から見渡せる範囲まで、青々とした緑の葉と紫のお花が特徴的な植物がぶわっと生えました。

 これを繰り返せば、メタン湿地は普通の湿地として景勝地になるのでは。


 未来のメタン湿地を思い描きながら、境目になっている箇所へ移動します。しかしその途中、沼があると思われる方向から沼気が復活してしまったようです。

<修復>したばかりの植物達が萎れ、腐り、青黒く変色していきます。

 この状態では、<修復>をかけたとて、一周する前に最初の部分が戻ってしまうことでしょう。


「エミリアっ。難しそうっ?」

「えぇっ。ですがっ、思いつきましたっ。一つの力で足りないのならば、人海戦術ですっ。イザヤ様っ、サメシュペルはわたしの方へっ、お願いしますっ」

「了解っ」


 水属性の友獣方が入るアロイカフスには、まだ余裕があります。

 とはいえ戦闘中でありますから、すべては流れ作業になってしまうでしょう。

 わたしは左耳の上から五番目のアロイカフスを触り、犬型友獣(カッチャ)を出します。


<ご主人! 何する!?>

「カッチャ、わたしが指を向けた魔獣方を状態異常にさせてくださいっ!」

<わかった!>


 カッチャと話している最中も襲ってくる魔獣方を討伐しつつ、サメシュペルが来たときに指を向けます。

 カッチャはすぐにサメシュペルの体を駆け上り、足跡を残すように火傷させました。

 わたしはすかさず、追加の一体目のサメシュペルをテイムします。名前は、ペル。


 二体目、三体目とテイムを続けます。シュペとシュルもアロイカフスへ入りました。


「カッチャ! イザヤ様っ! ひとまず、必要数をテイムできたと思います! 残りの討伐をお願いしますっ」

「了解っ」

<わかった!>


 イザヤ様とカッチャに周辺の討伐をお願いし、その間にわたしは最低限の技能牧場開拓を進めます。

 今テイムしたばかりの、ペル、シュペ、シュルの<スキルⅠ>の一番右端を開拓しました。

 これにより、わたしとメシュを含めた五馬力ぶんの<修復>が利用可能となります。

 すぐに右耳のアロイカフスを触りました。急いでいたため、うっかり蟹型友獣(グラン)も出してしまいます。


「グラン! 一緒に戦ってください!」

<わかったン>


 グランは巨大ということもあり、発生する魔獣方の注目を集めているようです。周囲に集まった魔獣方を、その大きな鋏で切ったり挟み潰したりして、戦ってくれているようでした。


 戦闘はグランとカッチャとイザヤ様に任せ、わたしはメシュ達に告げます。


「わたしから等間隔になるような位置に立ち、それぞれが<修復>を湿地に使用してください」

<<<<了解だ>>>>


 わたしの指示を受けたメシュ達が、それぞれメタン湿地の周囲に散っていきます。

 先程<修復>した湿地は、すでに青黒く戻ってしまっていました。わたしはすぐに、足下の湿地へ手を置きました。


「<修復>!」


 わたしの視界に入る限りの光景が、青々とした緑の葉と紫のお花が特徴的な植物になりました。

 少し待っても青黒くならなかったので、メシュ達も<修復>に成功したようです。


「イザヤ様! 今のうちに中央へ!」

「了解!」

「カッチャとグランはは、このまま周囲を警戒してください!」

<わかった!>

<わかったン>


 イザヤ様の背中を借り、急いでメタン湿地の中央へ向かいます。

 ここまでは<修復>の力も及ばなかったようで、青黒く染まったままの沼がありました。これでは汚染源がわからなかったため、この場所で改めて<修復>を行います。


「イザヤ様! もしかして、あれが?」

「かも、しれないね」


 サーッという表現がしっくりくるような速さで、沼から色が抜けました。

 青く透明な湖の底に、水草と全然色が違う、青黒いものが見えます。人の手のような形に見えるのは気のせいでしょうか。それは未だに、青黒い靄のようなものを発生させているように見えました。

 やがて靄は湖面を覆い、また湖を沼に変えようとしています。


 せっかくの<修復>が無駄にならないよう、わたしは湖に手を入れ、<発育>を発動させました。

 湖は大分深いのか、水草が成長するまで少し時間がかかるようです。

 靄の浸出が湖の半分ほどになる頃ようやく<発育>が機能しました。

 水草は湖面の青黒い物体を覆い、靄を抑えます。そして、ぎゅっ、ぎゅっと圧縮して青黒い物体を潰してしまいました。


 湖底にあった青黒い物体から紫の液体が出たかと思うと、それは渦を描くように上昇してきます。

 そして、湖面から空気中へ出たかと思うと、メタン湿地から見て東の方へ霧散しました。


「……これで、解決でしょうか」

「どうだろう……」


 メタン湿地は、長い間魔獣方を生み出していました。そのため、これで解決できたのかどうかわかりません。


<ご主人! お疲れ!>

<お疲れン>


 カッチャとグランが近くまでやってきました。

 声をかけられたことにより、ようやく終わったかもしれないと実感が湧いてきます。


 少し呆けてしまいましたが、イザヤ様が周囲を警戒し始めました。

 何事かと思っていると、メタン湿地で活動していた冒険者様方が一堂に会しております。興奮しているように見えますので、皆様方もメタン湿地の景勝地化に喜んでおられるのでしょう。

 その余韻に浸っていたいところでしたが、まだ解決すべき場所が残っています。


「皆様方! 一応、メタン湿地の問題は解決しました。ですが、まだ近くのリャドリや他の街でも魔獣方に悩まされています! どうか、皆様方のお力をそれぞれの場所で活かしてください!」


 わたしがお願いすると、冒険者様方はそれぞれ散り散りになってくださいました。

 わたしは水属性の友獣方とカッチャを、それぞれのアロイカフスへ戻します。

 それから、ずっと忠実にわたしの指示を聞いてくれていた、ファラの元へ行きました。

 ファラには引き続き警戒のためこの場で待機してもらうようにお願いします。


 わたしとイザヤ様は、次の目的地を魔都スカディと決めました。




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