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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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116 頻発する次元の裂け目。


  ▲


(あいつは、どこに行ったんだ!?)


 公開処刑が行われた日。順調だったドニーの計画に狂いが生じた。

 公開処刑で処刑されるはずだった、ラゴサのギルド長。あの男が処刑されることによって精神的な傷を負ったイザヤを手中に収め、付随してエミリアも手に入れられるはずだった。


 エミリアとイザヤは別室に連れて行かれ、現場は消えた囚人を捜すために混乱している。

 その状況の中城から出たドニーは、その足でリンウッド辺境伯領のレタリアの元へ行った。

 風魔法を使えば、移動時間の短縮なんてお手の物。何日もかかる移動ですら、数時間で行ける。

 夕方にレタリアがいる屋敷に顔を出したドニーは、ギレルモとレタリアの関係性にほくそ笑んだ。


(大丈夫。こっちの方が、確率が高いんだ)


 レタリアにギレルモと恋人同士のようになれと指示を出してから、約十日。

 恋人になったかどうかはわからないが、レタリアはドニーが訪れた時にギレルモの背後へ体を隠すような対応をした。

 これはドニーの指示を実行している内に、レタリアの中でギレルモに対する気持ちが変わったと思われる。

 もう一押しと、ギレルモには藍色の服を着るように伝えた。拒否しようとしたから、指を弾くような仕事をすれば、すぐに従順になる。

 ギレルモは昔から、レタリア一筋だ。操作もたやすい。


(レタの方は、定期的に神獣を回収するだけで良いかな)


 レタリアとギレルモの関係性は、ドニーの計画の肝となりえる。

 一般公開もされている、ラエビア聖国を舞台にした物語。それは普通の人間が見れば、そういう「作られたもの」だと思うはずだ。

 しかしレタリアの能力を知っているドニーからすれば、それは創作物ではなく貴重な文献。過去にあったことを書いていると思わせた。


 力を宿し乙女が、大切な存在を失う時。藍色の瞳の力が、解き放たれる。


 各地で次元の裂け目を発生させる以上の、魔獣を野に放てるだろう。

 魔獣の数が多ければ、断末魔が上がる可能性も増える。そうすれば、自ずと結果がついてくるはずだ。


 ドニーは来たる計画実行の日に間に合うように、リンウッド辺境伯領から王都の竜舎へ戻った。

 そこでサラーゴに自分の魔力を注いで馴染ませる。サラーゴは、特に重要な存在だ。


(成竜にするまで、あとどれくらいの時間がかかるんだ……)


 各地の仕掛けを展開するため、ドニーの魔力全てをサラーゴには注げない。

 ましてや、今はエミリアの力もある。オルビでされた時のように魔力を検知されてしまっては、仕掛けた罠も解かれてしまう。


(エミリアとイザヤ君の行動に枷をつけれている間に、どうにかしないと)


 ドニーは計画実行のため、各地に展開している罠を見回りに行った。


  ▼





「プラチナ級の冒険者様方!! 至急、冒険者ギルドへ向かってください!! 次元の裂け目がまた発生したようです!!」


 お兄様の屋敷に駆け込んできた兵士の方から話を聞くなり、わたしとイザヤ様はすぐに冒険者ギルドへ向かいました。声量が大きすぎるような気はしましたが、それだけ緊急ということでしょう。

 イザヤ様に背負っていただき、時間の短縮のために屋根の上を通ります。その際に見えたのは、王都を囲む壁の奥に飛ぶ風属性の魔獣方。サラーゴは見えませんが、その他の鳥型魔獣(サペリカ)人型魔獣(サゴイル)蜜蜂型魔獣(サミエレ)がいるとわかります。何回か、その魔獣方に向けて攻撃をされている方々を見かけました。

 風属性の魔獣方があれだけいるのです。他の属性の魔獣方も集まっている可能性が高いでしょう。


 状況を把握するため、イザヤ様と共に冒険者ギルドへ行きます。

 そこでは併設されている食堂の机や椅子が片づけられ、寝かされている冒険者の方々がたくさんいらっしゃいました。水属性を持つ方々による治療が進んでいるようですが、怪我人が多すぎます。

 わたしはイザヤ様の背中から降り、床に手をつきました。イザヤ様は瞬時にわたしがやりたいことを把握してくださり、わたしの後ろへ立ってくださいます。


<治癒>をかけ、一階にいた方々を治します。

 そして間を置かず、ギルド長のハンネス様に言われて上の宿にも向かいました。

 一部屋ごとに怪我人が数人寝かされていると伺います。冒険者ギルドは、どの街でも造りは同じ。宿泊もしたことがありますので、構造は理解しています。

 廊下の端から、床に手を置いて<治癒>をかけました。その際ハンネス様にもその効果がかかってしまったように思いますが、今はそれを確認している時間はありません。


 わたし達が一階へ戻る前に駆け出したハンネス様は、大きめの机を動かし置いたその上に、アラバス王国すべてが描かれた地図を載せます。


「現在、王都の周囲に大量の魔獣が発生しています。随時冒険者に対応してもらっていますが、手が追いつきません」


 ハンネス様によれば、メタン湿地から大量の魔獣方が流れてきているようです。その話を聞いている最中に、冒険者証が震えました。

 ファラが対応しているはずですが、それを上回る魔獣方が発生しているようですね。


 さらに、発生し続ける魔獣を防ぐためのスカディの壁が壊れ、そこからもビリアやゴルハトに魔獣方が流れているとのこと。

 ゴルハトに加え、ルコやリャドリやララゴでも、次元の裂け目が発生している状態だそう。

 まだ推測の域を出ませんが、ドニー様が仕掛けた罠が同時に動き出したのかもしれません。


 王都周辺の魔獣方、スカディやメタン湿地のあふれる魔獣方、以前も発生していた四つの街の次元の裂け目。

 どこから手をつけるか悩みます。

 悩んでいたら、また大量に怪我人が運ばれてきました。冒険者様方が戦っているのでしょうが、王都の入口からは遠いです。ここまで運ばれてくる方は、軽傷ということでしょうか。

 わたしは再び<治癒>をかけます。


「漆黒の旋風様に遅れを取るな! 俺達も行くぞ!!」「「おおーー!!」」


 瞬時に治したわたしの力を見て、冒険者様方が血気盛んに冒険者ギルドを飛び出して行きました。

 わたし達もその動きに便乗するように、外へいきます。屋根伝いにここまで来たからわかりませんでしたが、王都には冒険者様方以外の怪我人もいるようです。


 入口を突破されたのでしょうか。そうなってしまうと、領空域も侵されてしまうのかもしれません。

 王都の上空に風属性の魔獣方が見えました。屋根から冒険者様方が飛び対応しているようですが、何体か討ち漏らしてしまっているようです。

 冒険者様方の攻撃から逃れた魔獣方が、王都の街に攻撃をしかけています。一般の方にもその被害が及び、各所に怪我人が見えました。

 ひとまず、見える限りの方々に<治癒>をかけます。そして魔獣方の攻撃により瓦礫が落下しそうだった建物を見つけ、即座に<修繕>を施しました。

 王都の外へ移動しながら、見つけた街路樹や各家の花飾りに向けて<発育>をかけていきます。

 急激に成長した植物方が天然の要塞を作ってくださいました。これで上空からの攻撃を防げるでしょう。






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