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【感謝!8万pv!】双子の出涸らしの方と言われたわたしが、技能牧場(スキルファーム)を使って最強のテイマーになるまで。  作者: いとう縁凛


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100 残り一日


 昨夜は、とてもよく眠れました。

 やはり、ベッドで眠るのは体に良いようです。

 目覚めてしまったので内容を忘れてしまいましたが、夢見も良かったような気がしました。


 ちらり、と横を見れば、イザヤ様がいらっしゃいます。

 いつもは、わたしが目覚めるよりも早く鍛錬をしていました。


 ……もしかして、今ならイザヤ様の寝顔を拝見できるのでは。


 そんな不埒な思いから、わたしはベッドを抜け出そうとゆっくり体を動かします。

 しかし、それが逆にベッドが軋む音を長くてしまいました。ギシッッッと、予想よりも大きな音が出ています。


「……エミリア? おはよう」

「お、おはようございます……」


 お兄様が来るまで、縄を解いてはいけないと厳命されています。わたしは早く起きてしまいましたが、イザヤ様は十分な睡眠が取れたでしょうか。


「イザヤ様。恐らく、まだお兄様はいらっしゃいません。まだ寝ていても大丈夫だと思いますよ」

「んー……まぁ、どのみちあまり寝れないから」

「え、それはいけません。睡眠は大事ですよ? 寝られるときに寝ておかなければ」


 やはり、全身を縄でぐるぐる巻きにされていては、安眠なんてできませんよね。

 わたしはイザヤ様の睡眠時間を確保するため、縄を解こうと手を伸ばします。ですがイザヤ様はそれを察知したのか、ゴロゴロと転がってベッドから落ちました。

 ゴンッと、大きな衝撃音に驚きます。


「イザヤ様!? 大丈夫ですか!?」


 素早くベッドを降り、ベッドとイザヤ様を挟むような形でイザヤ様のお顔を窺います。

 その際、お顔を見やすくするためにわたしの膝の上にイザヤ様の頭を乗せました。


「っ、エミリア!?」

「わたしの膝は地面よりも柔らかいかもしれませんが、ベッドよりは硬いと思います。いつもの野営時と同じようにとはいきませんが、どうぞ寝てください」

「いや、無理だよね!?」

「意識が覚醒してしまいましたか。確かにそれでは、眠ることは難しいですね」

「いや、エミリア!?」


 わたしはイザヤ様が寝られるように、目元を手で覆います。

 その、瞬間。

 扉が叩かれました。


「エミリア。朝早いが、起きているか」

「はい」

「エミリア!?」


 お兄様の声に反応すると、イザヤ様が慌てたようにわたしの膝の上からどこうとされました。

 イザヤ様は全身ぐるぐる巻きの状態です。ですが鍛えられた筋力により、わたしから高速で離れようとされました。

 わたしはイザヤ様を守るため、その速度について行きます。

 ぐるぐる巻きのイザヤ様をわたしが壁際に追い込んでしまっているような状態になったとき、お兄様がお部屋に入ってきました。


「……エミリア。とりあえず、イザヤくんの縄を解いてあげなさい」

「か、かしこまりました」


 お兄様は少々、呆れたようなお顔をされています。お兄様には前にも、わたしがイザヤ様に迫っているかのような場面を目撃されてしまいました。

 イザヤ様の縄を解きながら、もし逆だったらどうだったかを考えます。


 わたしが、イザヤ様に押し倒されるような状態だったら。


 イザヤ様は冤罪なのに、お兄様に何かされてしまっていたかもしれません。そうならなかったのは、<幸運、100万>の効果でしょうか。

 つくづく、高いステータス値に守られているような気がしました。





 何か考えている様子のお兄様の後に続き、また執務室へ行きました。

 長椅子に座ってからも、お兄様は何か考えているようです。


「お兄様? ギルド長様とお話はできそうでしょうか」

「あ、ああ。その件は時間があったら、という状態だ」

「時間? 今日ならば、問題ないですよね?」

「それが、そうでもないんだ」


 お兄様曰く、わたしとイザヤ様がプラチナ級の等級となってしまったことで、身上書が大量に届いているそうです。

 昨日の今日で、一体どこから情報が漏れたのでしょうか。

 やはり、わたし達の昇級はドニー様の計画の一部なのかもしれません。


 イザヤ様は一般人。わたしも一般人ですが、勘当されているとはいえ、元ウォルフォードの人間です。

 イザヤ様よりもわたし宛てに、より多くの身上書がある状態だそう。


「……エミリアがウォルフォードのままであれば、全ての身上書を破棄できるんだが」

「ウォルフォードは辺境伯ですからね。貴族の中であれば身分は高いです」

「でも、もしあのままだったらエミリアが苦しんでいたよ」

「えぇ、ウォルフォードの籍を抜けたことは後悔していません」


 わたしは、お兄様の机の上に置かれている身上書の山を見ます。

 わたしが二十ほど、イザヤ様が十ほどぐらいでしょうか。

 貴族であれば手紙一つで断れたでしょう。ですがわたしは、一般人。数の多さから必ずどこかは断ることになりますが、それは各家に訪問しなければいけないでしょう。

 そんなことをしていたら、ギルド長様とお話ができません。

 ましてや、わたしとイザヤ様は離れられない状態です。合算して三十もの家を訪れていたら、今日中には終わらないでしょう。


 ドニー様は、やはり策士ですね。

 こうなることも、予測していたのではないでしょうか。


「……今日は行かず、明日以降に訪問するというのは」

「難しいな。階級が下の貴族はまだ、遅れても良いだろう。上がいるからな。しかし王族とリンウッド辺境伯ぐらいは、今日中に何かしらの連絡をしないと」

「ちなみに、イザヤ様の方で一番身分の高い方は」

「困ったことに、王族が一人いるんだよな」


 一の姫のソフィア様が、勇者様と結婚されています。イザヤ様のお相手となると、二の姫様でしょうか。

 他国との関係性を考えると、三の姫様か四の姫様の可能性もあります。


「おれは今、結婚するつもりはありません。どうにか断れないでしょうか」

「まあ、そうだろうな。しかし、相手が悪い」

「お兄様。エレノラがボルハ様と婚約していますよね? わたしも王族の方とということであれば、権力が偏ってしまうのではないでしょうか」

「それが、困ったことにエミリアはウォルフォードの籍を抜かれているからな」

「なんと言うことでしょう。まさか、ここにきて籍を抜いたことが(あだ)となるなんて」


 朝早くから相談していましたが、結果は出ず。

 ひとまず朝食を取ってからまた考えようということになりました。

 三人で移動し、朝食を取ります。その間、お兄様が何か考えこむようにわたしとイザヤ様を見ていましたが、何かお考えがあるのでしょうか。

 朝食後に再び執務室へ戻り、お兄様から告げられた内容には、思わず言葉を失ってしまいました。






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