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アルフォンソとエドモン

第95章

 レオナルドが宝剣の話をジュリエットにしていてふと思いだしたある人物は、エドモンのことでした。


 ここで時を戻しましょう。

 まだ、エレノアがフランソワとの問題を抱えていたときのことです。若きフィリップが秘書館長の下で補佐して働きつつも、エドモンと協力し、母エレノアを助けようとしていた頃でした。


 そうした思惑のなかで、コンクラーベで新法王が選出され、同時にエドモンが教会軍総司令官就任が発表されてすぐの頃、あるきっかけでアルフォンソ神父とエドモンはすぐ意気投合し、年齢は少し離れていましたが、個人的にも仲良くなったのです。それ以来、エドモンはよくアルフォンソ神父の自室にやってきて、プライベートな話もするようになりました。アルフォンソ神父がエドモンに宝剣を見せて、その価値や手入れの方法を聞いたことがあり、その様子を見た若きレオナルドは博識なエドモンに強い印象を受け、深い敬愛の情を抱いたのでした。


 アルフォンソ神父とエドモンの二人が仲良くなったきっかけとは、ローマのアルチザン地区のパーリオの馬上レースでのことでした。職人ギルドごとにチームとなり、優勝を競い合う大会で4年に1回開催していましたが、エドモンが教会軍総司令官となった年、試合結果への言いがかりから、小競り合いの乱闘騒ぎがおこってしまったのです。それを迅速に対処し、事態収拾したのがエドモンでした。そしてそのとき負傷者の怪我の治療の陣頭指揮をとったのがアルフォンソ神父だったのです。

 まだ若いレオナルドも、このときアルフォンソ神父を手伝い、エドモンとも知り合ったのですが、エドモンの冷静沈着な物腰、怪我人への優しい態度、理知的な言動に、若いレオナルドは「武人でもこのような方がいるのだ」と強い印象を受けたのでした。


 ところで、このパーリオでの乱闘騒ぎの治療のとき、アルフォンソは治療してあげた石工職人の老親方に「宝物庫の奥には隠し部屋があって、その部屋には別の外側からの入り口がある」という秘密の情報を聞いていたのです。

 この昔話に興味を引かれたアルフォンソは、ちょっとした気晴らしの探検のつもりで、ある日エドモンを誘って、夜中に親方の情報をもとに探索してみたのです。すると果たしてその部屋が見つかりました。ただ、外からの入り口は発見できたものの、内部から宝物庫へとつながる通路は発見出来ず、改めて調べてから秘書館長に報告しようと二人で約束しました。


 ただ、その直後、エドモンは出陣要請が出て、ヴァティアンから離れ、その後戦闘中に重傷となってしまったため、その後二人で探索する機会は失われてしまいました。アルフォンソ神父も、この隠し部屋については、特に重要でも緊急の問題でもないと考えていたため、そのままにして時間が過ぎていきました。ヴァティカン内では、そんなことよりも、政治的に緊迫した状態にあったからです。


 このときのヴァティカン内はさまざまな出身の枢機卿の派閥に割れていました。エドモンを教会軍総司令官に任命したカルカッソンヌ出身の法王エマニュエルは、コンクラーベ対策で多額の金を使っていたため、メディチ家に大きな借金をしていました。法王選出の見返りにフィレンツェ派閥の聖職者を複数名、枢機卿に任命していましたが、トゥールーズ大司教とは同郷ながら若い頃からライバルだったので、もともと犬猿の仲であったため、自分の法王就任時に、新枢機卿としてトゥールーズ大司教を任命しませんでした。これが、大きな禍根を残したのです。


 その上、法王エマニュエルは、神聖ローマ帝国の勢力拡大に大きな脅威を感じていました。特に交通の要衝でもあるフランソワの領土国家が皇帝派として帝国に接近していることをとても懸念していたのですが、法王宮内のエドモンやフィリップという遠縁にあたる、わずかな味方を敵に回すことはできず、教会軍で脅して服従させうような命令は控えていたのです。かといって、この法王はヴェネツィアとはソリが合わず、共闘することも借りを作ることもしたくなかったのでした。


 そのような状況が続いたまま、ヴァティカン内はしばらくの間は不思議な均衡が保たれていました。

 しかし、エレノアはもちろん、フィリップやエドモン、フランソワ、カルロス、リッカルドさえ預かり知らぬところで、ある事態が動き出し始めていたのです。


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