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社交界の毒婦とよばれる私~素敵な辺境伯令息に腕を折られたので、責任とってもらいます~  作者: 来須みかん
【第二部】

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10 いいことを思いついた【ライラ視点】

 私は笑みを浮かべながら、お茶会に参加している女性達に挨拶をした。


 誰も彼も聖女である私の美しさと、お茶会の素晴らしさを褒めている。


 私に恥をかかせるようなことなんて誰も言わない。


 それなのに。


 チラリと元いたテーブルを見ると、セレナが澄ました顔でお茶を飲んでいた。私より目立ちたいようで、夜会のときとは雰囲気をガラリと変えている。


 化粧が濃ければいいってものじゃないでしょうが。性格の悪さが滲み出てるじゃない。他の招待客が引いているのがわからないの?


 それに、テーブルに飾っている花の種類がなんだっていうのよ!


 そんなこと、どうでもいいでしょう!


 お茶会の準備は、すべて王宮の侍女長に任せたんだから不手際はないわ!


 準備中の侍女長は私にあれこれ相談してきたけど、「そっちで全部決めて」と指示したから詳しいことは知らない。


 侍女長は王妃様のお茶会の準備もしているくらいなのだから、私より王宮の規則に詳しい。


 詳しい人に任せるのは当たり前。


 私が興味ないことは、他の人がすればいい。

 聖女であり、もうすぐ王太子妃になる私のために働きたい人なんて星の数ほどいるのだから。


 私に擦り寄ってくる令嬢達は、私の機嫌を取るのがうまい。いつも私の代わりにアイリーンを貶めて楽しませてくれる。でも、セレナにはそれができなかった。

 軽くかわされて、セレナに言い返すこともできない。それだけじゃない、セレナは私の気分を害したのに、謝ることすらしない。


 私はこの国の王子二人に愛を囁かれて、奪い合われた女なのよ?

 おバカなディークに少し口説かれたくらいで調子に乗って、本当に可哀相ね。


 バルゴア領とかいう、よくわからない田舎貴族の婚約者ごときがこの私に恥をかかせようとするなんて!

 王族ですらない女が、この私に!


「あっ、そっか……」


 どうしてやろうかと考えたとき、私はいいことを思いついた。


 ディークを取られたんだから、私もセレナの男を取ったらいいんだわ。

 もちろん、私の本命はカルロスで浮気をするつもりはない。


 でも、私に微笑みかけられ、特別に言葉をかけてあげたら、男なら誰でも私に心酔する。

 私とダンスを踊れることに感動して、涙を流した男すらいる。

 そうなると、その男のパートナーは、自分の婚約者が私をお姫様のように扱う姿を見せつけられることになる。

 惨めな女を見るのはとても楽しい。自分が選ばれた側の特別な人間だって思えるから。


 そんなことが、今までの夜会では何度も起こっていた。


 だから、セレナにも私のほうが上だと見せつけて、惨めな思いをさせてやる。


 セレナの婚約者は、確か、リオだったっけ?

 背が高かったのは覚えているけど、パッとしない顔だったので印象が薄い。


 それに比べてカルロスは、本当に美しい。ディークだって、顔だけはとてもいい。


 あの二人の前では、どんな男でもかすんでしまう。


 だから、リオなんて本当にどうでもいいけど、セレナを苦しめるために、少しだけいい夢を見せてあげるわ。


 セレナも、婚約者のディークにうとまれて放置されているアイリーンと同じような立場になればいい。


 ついでにセレナがどれだけ嫌な女か、リオに教えてあげるわ。


 もしかしたら、リオは私のことが忘れられなくなって、セレナを捨てるかもね。


 ああ、そうだ。セレナとディークが密会していたことも教えてあげないと。

 それを知ったら、リオは浮気を疑ってセレナを問い詰めるはず。


 あれだけ顔のいいディークに誘われたんだからセレナも悪い気はしていないでしょう。もしかして、急に化粧が濃くなったのは、ディークの気を引くため?


 そうだったら、笑えるわ。


 セレナの浮気で婚約破棄されて、リオから慰謝料を請求されたら最高ね。


 聖女である私の気分を害したのだから、人生を壊されても仕方ない。

 それがセレナへの罰。

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