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029 攻略キャラ、そして……

 事を経緯いきさつを説明をしていたルイズレッドに対し、ライルは腕を組みながら経緯を語るルイズレッドの容姿を眺めていた。紅に染まった髪と瞳、貴族の家で育ったという話を聞いて話し方や仕草に微かな気品を持ち合わせている。

 まだ幼いが、森の中を一晩走り回っていた事にも驚いたようだ。魔物が出現する森の中を貴族の娘が生き残れるなんて想像出来ない。奴隷商人との契約で雇われていた傭兵にも追われた話を聞いたライルは、感心したような表情を浮かべて口角を上げた。


 「へぇ、まだオレより小せぇのに良く生き残ったモンだな。ともあれ、家からも追われているという事だが……これからどうするつもりだ?」

 「どう、とは……?」

 「とぼけるなよ。口振りから察するに、オマエはそこら辺に居る貴族の娘よりも賢いみてぇだけど、そろそろ一人で何かをするにも限界を感じてる頃じゃねぇのか?」

 「っ……」


 ライルの言葉通り、ルイズレッドは既に限界に達していた。肉体的疲労は勿論、精神的にも疲労感に押し潰されそうになっているのが現状だ。このまま走り続ける事も不可能だろう。そう自覚する程、ルイズレッドの足はもうボロボロだ。


 「その足じゃ、もう歩くのも辛いはずだ。それでもこの森を抜けるまで、どれくらい掛かるかも分からねぇと来た。んなの、今のオマエじゃいずれ死ぬっつーのも自覚してるんだろ?」

 「では私にどうしろと言うのですかっ?」

 「!」

 「家からも追放されて奴隷紋も押されてしまった以上、隠れて過ごす事は不可能に近いでしょう。他の街に行けたとしても、この姿では別の貴族に取り入ろうとしても無駄でしょう。そんな行き場も失った私に、これ以上何を……――耐えれば良いんですか?」


 我慢する事が出来なかった悲痛の叫び。既に限界を迎えていたルイズレッドは、ライルに言うべきではない言葉を投げてしまった。その言葉を聞いたライルは、このままルイズレッドを放置する事も出来ただろう。

 だがしかし、後ろ髪を掻いたライルは溜息混じりに口を開いたのである。


 「この娘を連れて行くぞ。丁重に扱えよ!オレの客人って立場にする、良いな?」

 「え?何を言って……っ!?(不意打ちされた、気を失う訳にはいかないのに)」

 「大人しく眠っていろ。今は身体を休ませる事だけを考えれば良い」

 「……」


 気絶するまでの短い間、辛うじて意識が残っている間に聞こえたライルの言葉。微かにその声色に優しさを感じながら、ルイズレッドの視界は真っ暗に染まったのである。

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