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028 遭遇Ⅱ ⑤

 ノブレス・オーダーの登場人物は、一定以上の能力を持ち合わせている。剣の実力は勿論の事、現実世界では有り得ない魔法の能力に長けている者も少なくない。ルイズレッドも魔力欠乏症になる前は、火属性と氷属性の魔法を使用する事が出来たと記憶している。

 しかし、魔力欠乏症になってしまった今は魔力を感じる事は出来ても使用する事は不可能だ。そんなルイズレッドの目の前に現れた褐色肌の獣人は、名前を尋ねられて小首を傾げながらルイズレッドの顔を観察していた。


 「あの……何でしょうか?」


 訝しんだ視線が気になったルイズレッドは、目を細めて気付けば彼に問い掛けていた。初対面とはいえ、他人ひとの顔をジロジロと見るのは失礼に値する。例え気になる事があったとしても、あえて触れずに会話をするのが貴族社会では暗黙の了解として成り立っている物だ。

 いや、貴族社会でなくとも、他人の顔をジロジロと観察するのは受ける側はあまり気持ちの良い物ではないだろう。そう感じていたルイズレッドだったが、彼女の問いに彼は顎に触れていた姿勢から腕を組んで口を開いた。


 「他意は無い。ただ、少しばかり気になった事があってな」

 「気になった事、ですか」


 それは一体何なのか気になったルイズレッドだったが、そんな疑問を遮るようにして彼は言葉を続けた。


 「話を戻そう。あぁ、オレの名前だったか?オレはライル・グリフォードだ。見ての通り、獣人だが……オマエは普通の人間みてぇだな」

 「ライル・グリフォード……っ!?(何処かで聞いたような……あっ!)」


 ルイズレッドは彼の名前を聞いた瞬間、脳裏に生前の記憶が映像となって走り始めた。ノブレス・オーダーの登場人物であり、攻略対象の一人であるキャラクターの中に「ライル・グリフォード」という名前が存在している。

 その記憶を思い出したルイズレッドは、唖然とした表情を浮かべて硬直してしまった。文字通り、文字通り以上の意味で思考が停止したのである。


 「(ライル・グリフォード……獣人国の王子であり、容姿端麗で俺様系キャラクターとして注目を浴びていたキャラクターだわ!身体能力は勿論、魔法の基礎能力も高かったはず。え、でも……何でそんな人物が、こんな辺境の森に居るのかしら?)」

 「さて、オレは名乗ったぞ。次はオマエの番じゃねぇか?」

 「え、ですから私はルイズレッドと」

 「それはさっき聞いたがよ、家名はどうしたよ?人間は誰でも家名があるだろ?貴族なら尚更だろ」

 「あぁ、それはそうですが……家名は名乗りたくありません」

 「あ?どうしてだよ」


 ルイズレッドの言葉に疑問を浮かべた彼に対し、事を経緯を包み隠さずに説明し始めた。その説明をするルイズレッドだったが、次第にフラストレーションが溜まっていたのか。彼に臆面もなく愚痴を溢し始めたのであった。

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