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プロローグ

 「……ふわぁ、朝?」


 数回の瞬きの後に出た言葉は、我ながら間抜けた声で発せられていただろう。()()()()()()()伸びをして、()()()()()()()出掛ける準備をしようとベッドから出ようとする。しかし、ベッドから下りようとした時に違和感を覚えた。

 

 いつもと同じ時間に目が覚めて、いつものように着替えて……朝食を食べて、準備を整えて出掛ける。そんな毎日を繰り返していたはずなのだが、目の前にある景色を見て違和感しかなかった。いや、違和感どころの話ではないだろう。

 まるで自分が別の世界に来てしまったような感覚。だが見た事のある風景だと思いつつも、ベッドから下りて未だに眠気が拭い切れずに目を擦ろうとした。その時、やっと自分に感じていた違和感の正体を理解した。

 

 ――視点である。視点が随分と低いのだ。


 その違和感を自覚した時、自分の目を擦ろうとしていた手を見て戸惑いを隠せなかった。自分の記憶にある視点よりも低く、自分が記憶している手より小さい。そう、何もかもが小さくなっているのだ。まるで自分の体が子供になってしまったかのように。

 そんな事を考えていると、徐々に自分の置かれている状況に疑問が浮かび始めた。覚醒し始めた意識を確認するが如く、周囲の景色を再び確認する。薄暗い四角い部屋、日差しを通すには小さ過ぎる窓、肉眼で確認出来る程に宙を舞う埃。

 それらの景色と共に導き出された答えは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事だった。


 「あ、れ……?」


 それを自覚して立ち上がった途端、視界がグラリと大きくブレた。立ち眩み、目眩、頭痛、吐き気……様々な容態が一気に襲い掛かった。凄まじい苦しさの中、脳内を駆け巡った電流が意識をさらに覚醒させる。

 やがて自分がどうしてここに居るのか、自分の正体は何なのか、違和感の正体そのものが……溜息と共に口から発せられたのである。


 「わたし……奴隷落ちさせられたんだ」


 その呟きが現実である事に戸惑いながら、彼女――ルイズレッド・カーティスは自身の体を抱き締めた。

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