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冬の終わりの雪の日に

作者: 秋葉竹



私の角は

人を刺し殺す獣の武器

のはずだが

裸の胸に

苛立ちと

ふかく暗い傷を刻み続けた

だけだった


鬼としての

こころが欲しい

なにひとつたにんを気にせずいられる

欲しいものは欲しいといえる

石のようなこころを

持ちたい


だから

弱っている

たにんを責めるみたいな

情けないことはしたくないんだ




悲しみだけを

失くしてしまったみたいに

雪がふるのなら


ふりつもる白い

雪の道が

美しいと思ってしまった


火傷をしそうな

狂おしい熱が

冷めきってゆく

そして雪か


なにかを棄ててしまった

黄色いたそがれ


なにもできない事実に

心臓をえぐりとられた獣は

二度と明日が来ないと思わせる

静寂の街を

歩いている


すべてを忘れさせる

夜になるまえに

ただ一匹の白い猫が歩いている

たそがれの雪の道を

歩いている












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