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目を潰された後、かなり下まで降りてきたと思う。
かなりの数の魔物も吸収したし、片目の距離感にも慣れることができた。
まだまだ出ることは出来ていないが、今いる階は暗いが綺麗な建物の中のような内装をしている・・・少なくとも洞窟のような薄暗く汚い場所ではないのだ。
「洞窟自体がこの場所を守るための場所だったのかもしれないな。明らかに人工物だしなここ」
おかしな点としてはもう1つ、この場所にきてからは魔物が一切見当たらないのだ。
今まではかなりの頻度で戦っていたんだが、それが完全に0になった。
そして・・・扉の前まで来た。
「さて、ここが突き当りなんだが・・・この扉の向こうはヤバい気がする。だが行くしかないよな」
意を決して扉を開け放ち中に入ると、そこには・・・巨大な黒龍が立っていたのだった。
「・・・・帰りてぇがここで引くわけにはいかん!」
俺の事を見つけた黒龍はいきなりブレスを吐いてきた。
だがそれは難なく避けることができる。
「おっとご機嫌だな・・・やっぱ普通のナイフだと鱗に弾かれるか」
避けた時に投げたナイフは刺さることなく地面に落ちた。
「雷で強化したナイフならどうだ!」
切れ味と威力の上がった強力なのを3本投げた。
2本は尻尾で弾かれたが1本は胴体に突き刺さり、黒龍は雄叫びを上げる!
「よし、雷ならダメージを与えられるな」
黒龍の爪やブレスを避けながら仕留める準備を進めていく。
針の後ろに雷でエンチャントしたとある糸を付けて黒龍の横、左右当たらないように投げる・・・これを何度も繰り返す。
するとエンチャントされた糸だけが黒龍に絡まっていくって寸法よ。
黒龍は自分に何が起こってるかわからない様子で俺に攻撃を繰り返している、攻撃が当たってないのに自分の身体が雷でピリピリするからだろう。
「準備は整った。決めにいくぞ!」
雷のナイフを黒龍に投げ続ける。
ナイフが黒龍の鱗を引き裂き突き刺さる、刺さるたびにさっきとは比較にならない叫び声を上げていき、どんどん弱っていく。
「止めだ!」
弱り切った黒龍の頭に手斧を投げつけた。
見事に黒龍の頭をカチ割り、ここに黒龍は絶命した・・・
「この糸は有刺鉄線、気が付かないんじゃ硬い鱗も考え物だな」
黒龍にとって少しピリピリするくらいだと気にもとめないんだろう、有刺鉄線もたわんだ状態で絡みつくから余計にわからないんだ。
「さて、黒龍からは何がもらえるか楽しみだ」
黒龍を吸収し、確認すると・・・
新しく黒シリーズを使えるようになりました。
すべての武器に適用され、威力、強度が上がった武器となり、エンチャントが同時に2つ付けれるようになります。
「これは初めてだ。暗殺者になれそうだな俺・・・ふぅ、ここから俺はどうすればいいんだ?」
周囲を見渡していると、奥に扉があることに気付いたので、奥に進むことにした。
「ここは・・・棺?」
奥に何かが見える、薄暗いし近くによって確かめる。
「やはり棺だな。ならここは巨大な墓か?ピラミッドとか古墳みたいな感じの・・・さすがにここを漁るのはまずいけどどうやって地上に出れるんだ?」
と、ぼやきながら棺を触ったのがまずかった・・・棺が黒い光を放ち始めたのだ。
「なんだ!?何が起きる!?」
俺はナイフを片手に何が起きても大丈夫なように構える。
次第に光が収まり、棺が見え始めると・・・蓋が開いていた。
「誰が起こしたの・・・」
棺の中から声が聞こえる。
「聞こえぬか?誰が我を起こしたと問うておる」
綺麗な・・・女の声・・・・
「俺だ・・・」
俺はそのまま、いつでも投げれる状態で答えた。
「知らぬ顔だ、それに魔族とは思えぬ姿だな」
棺から出た女は・・・綺麗な、年齢で言うと俺と同じくらいだろうか・・・・思わず見とれてしまう美しさだった。
「俺は魔族ではない」
「やはり・・・お主は何故ここにきた」
「来たくて来たわけじゃない。俺はここに飛ばされる洞窟に飛ばされてきて、進んでるうちにここに来ただけだ。大体あんたはなんで棺の中にいたんだ?」
当然の疑問だ、普通の人間がこんなところに閉じ込められるわけがない。もしあったとしてもそいつは超極悪な犯罪者だろうよ。
「我は魔王、魔王ゼノン」