プロローグ
パソコンに眠っていた小説です。
いくらか書いてるのがあったので、少しの間は頻繁に投稿できます。
このシリーズが続くかどうかは・・・
世界ってのは・・・俺たちが知ってる、生きている世界だけじゃないらしいぜ。
そのことを俺は不意に思い知らされることになったんだ・・・その時の事を俺は忘れることはないだろう。
―――――そのせいで生活が一変することになったのだから―――――
俺はしがない大学生、働くのが嫌だという理由から適当な大学に入学して働くまでの時間稼ぎをしているわけだ。
さして興味もない簡単な科目を取り、毎日を自堕落に過ごしているだけの人生・・・
だが俺と同じような奴は少なからず存在しているだろう事は断言しておく。
今日もつまらない講義を聞いて、家に帰って寝る。ただそれだけ・・・他にやる事はない。
「・・・つまらない毎日だ」
だが、今日は寝る前にふと目に入った物があった。
ある時を境に机の上で伏せて置いている一つの写真立て。
「寝よう・・・」
特に立てなおすこともせず俺は寝ることにした。
「ん?・・・なんだ?」
違和感に気が付き目を開けると、自室ではないどこか自分の知らない場所に俺は立っていた。
夢遊病?いや、それにしては知らない場所がすぎる。第一外って感じがしない、よくわからないが部屋の中にいる感じだ・・・
なら誘拐か?それこそ何のメリットもない。今の俺には1円の価値もないのだからな。
「おはよう!目が覚めたようだね、気分はどうだい?」
「!?誰だテメェ!」
不意に俺の背後から声をかけられる。振り向いて睨み付けると、そこには1人の少女の姿があった。
だが、数秒前まではそこに誰もいなかったはずなのにだ・・・
「お~怖い怖い、まぁ落ち着いて話をしようじゃないか。ここがどこか知りたいだろう?」
「その言い方だとテメェが俺をここに連れてきたみたいだな、早く元の場所に戻せ」
流石にまだ手荒な真似をするつもりはないが、返答によっては・・・
「だから落ち着きなって、将来を有望視されていた荒垣 雄二君。短気は損気だよ~」
心を読まれた!?いやそれよりもだ・・・
「私は君の事は何でも知ってるよ。荒垣 雄二君、20歳、A型、昔は成績優秀、運動神経抜群の文武両道という天から二物を渡された神童と言われた程の人物。だが、高校の時のある事件をきっかけに・・・っと怖いからこの後はやめておこうかな」
「俺の事は完全に調べ切ってるって事か、なら今の俺が何の役にも立たない役立たずだってわかるだろ。早く家に帰らせろ」
「せっかちだねぇ、とりあえず私の話を聞きなよ」
やれやれと、肩をすくめながら答える少女に俺のイライラは爆発しそうだったが、なんとか耐える。
「なら早く話せ、手早く手短にだ」
「仕方ないなぁもう・・・単刀直入に言うけど君、今の人生楽しくないでしょ?」
ぶちっ。
その瞬間、俺の中の何かが切れた音がした。
「喧嘩売ってんのかテメェぇ!!」
「やれやれだね、ちょっと大人しくしてようか“グラビティ”」
ズンっ!
「ぐぉぉ・・・!!」
少女につかみかかったはずなのに、俺の上に重りがのしかかったかのように重くなって一歩も動けねぇ!!
「おぉ~加減したとはいえ、膝をつかないのは大したもんだよ。まぁこれでようやく話ができるね」
「ぐぅぉぉ・・てめ、どかしやがれ・・・」
「話っていうのはね」
聞いちゃいねぇ・・・
「今の君の人生を私にくれないか?」
「・・・あ?」
こいつは何を言ってるんだ?意味がわからない。
「おや?理解できていないみたいだね、言い方が悪かったかな・・・・つまり地球での人生を私にくれれば、その対価に色々としてあげるよ。おっとそろそろ解いてあげよう」
言ってる意味はよくわからないが、重みはなくなった。
またやられるのも嫌だし、大人しく話をしよう。
「それは俺にお前のしもべになれという事か?」
「違う違う!君は地球で暮らすことは出来なくなるだけだよ」
「・・・死ねと?」
「そうじゃないよ!えっと、こことは違う世界にいってもらうんだよ。そこで生活してほしい。体も万全の状態に治してあげるからさ、悪くないでしょ?」
この腕の傷が治る・・・?それが本当なら願ってもないことだが。
「確かに体が万全な状態になるなら悪い話じゃないな。詳しい話を聞こうか」
「よし!君には異世界、こことは違う世界に行って欲しい。地球で言う剣と魔法の世界だから、魔物もいてるよ。自分の身は自分で守ってね。行ってくれるなら他の細かい事は頭に入ってくるから気にしなくて大丈夫だから」
ニコニコと話してくれる少女、胡散臭いが今の生活を続けるよりは楽しいかもしれないと思ってしまった。
「いいだろう、この体が治るならその異世界ってのに行こう」
「やった!そんな君にはこれをプレゼントだよ」
小さいポーチを渡された。
「それは右の腰辺り、右手で直ぐに取り出せるところに付けておくといいよ。その中には投擲物が生成されるから上手く使ってよ、君なら使いこなせるでしょ」
「それは無限に生成されるという事なのか?」
「そうだね、だけど強い物は制限かかったりしてるから気を付けて。ちなみに色んな条件をクリアすれば生成されるものは増えていくから頑張ってね。そろそろ転移するよ~」
便利な道具だな。
「俺の身体はどうなるんだ?」
「転移したと同時に古傷とか全部治るから安心してよ。それじゃぁ新たな生活を楽しんでね」
その言葉を聞くのと同時に、俺の視界は真っ白な光に包まれる・・・
そして、光が収まった所に荒垣 雄二の姿はなかったのだった。
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