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笑いの方程式 大漫才ロワイヤル  作者: くろすけ
第九章 失踪
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9-5話 トイレに刀いらんやろ

「カイちゃん……ドコ行くねん」


 作戦会議を終えた日の深夜すぎ。

 物音に目覚めた鉄太は寝言のように(つぶや)いた。


「……トイレや」


「トイレに刀いらんやろ」


 押し入れを開ける音、押し入れから何かを取り出す音、忍び足で出ていこうとする音、そして寝る前の状況。


 目を開かなくても開斗が何を考え何を行おうとしているのか察することができた。


「心配すな。収録一週間前には戻る」


「さよか……無茶しんようにな。カイちゃんはいっつもやりすぎるからな……」


 開斗は三年前も似たような感じで、手刀ツッコミのヒントを求め、居合(いあい)の修行に出て行った。


 正直、いやな予感しかしないのだが、どうせ止めてもムダである。


 鉄太は彼を静かに送り出した。



 それからの日々、鉄太はティッシュ配りに励んだ。〈大漫才ロワイヤル〉の決勝戦も『お題』に沿った漫才をやる以上、一つのネタを作り込む意味はない。


 多くの人と触れ合うのは小ネタ作りのヒントになるので重要である。


 ただ、舞台の場数は踏んでおいた方がいいと月田が言うので彼を相方に笑パブの出演は続けた。


 なんのかんの理由をつけたところで月田自身が鉄太と漫才をしたかっただけなのであろう。コンビ名は〈満開ボーイズ〉のままで活動した。


 ところで、月田のツッコミを受けている内に、鉄太の中でW=BT^2に対してある疑問が浮かんできた。T^2をツッコミの二乗と解釈するとして、果たしてそれはツッコミの威力(・・)を二乗することを意味しているのかということだ。


 それに、開斗との漫才が昔より面白くなくなったのは、自分がショルダーパッドに頼ったせいで〈笑壁〉の張りを甘くしていたからではないか。


 相談しようにも肝心の開斗はいない。

 そうこうしている内に一か月が経ち、収録一週間前。



 開斗は帰ってこなかった。

小説家になろうの評価の☆や感想を頂ければ、励みになりますのでよろしくお願いします。


今回はちょっと短いですが、区切らせてもらいました。

つづきは明日の7時に投稿します。


次回 十章『当日』 10-1話「何してんねん月田君」

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