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笑いの方程式 大漫才ロワイヤル  作者: くろすけ
第十一章 開演
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11--4話 ワンタンタンタンちゃんぽんメン

「ワイら、満開、ボーイズ~~~」


 本日2度目の自己紹介ギャクを行った鉄太と開斗。ポーズを行った時、客席から微妙な空気を感じ取った鉄太。


 客席を占めているのはほぼ同業者。ネタを楽しみにきているというよりも審査してやろうとの気分が強い厄介な連中ばかりである。


 いずれにせよ、このままネタに入るのはよろしくない。幸いにも今回は10分も持ち時間があるのでワンクッション挟むことにした。


「そう言えば、今の満開ポーズなんですけど、さっきのゴールデンパンチのポーズと似てるでしょ? 実は両方とも月田君っちゅうて、ゴールデンパンチの丸刈りの子が考えてくれたやつなんですわ」


 このような楽屋話は内輪ネタに入る部類で、三笑方の定理では御法度なのだが、今回に限っては客が同業者ばなりなので、ギリOKと判断した。


 そして、全くのアドリブで始めた話だが、一旦言葉を区切った後に間髪入れずに開斗が続けてくれる。


「満開ボーイズってのは、本当はワイと月田のコンビ名だったんやけど、コイツが月田追い出しまして」


「何言うてんねん! ちゃうやろ! カイちゃんが失踪してワテと月田君で満開ボーイズやってたんや。月田君追い出したんはカイちゃんやで」


「人聞きの悪いこと言うな。失踪ちゃう! 修行や修行!」


「追い出したんは否定せんのかい。ってか、行先も言わんと出て行ったんなら一緒や。あん時は漫才師辞めてラーメン屋でもやろかと思ったんやで」


 鉄太がラーメン屋になろうと思ったことなど一度もない。ただ〝タンタンメン〟というネタの糸口として、取って付けただけである。当然開斗は即座に察し、本ネタに入って行く。


「ラーメン屋て。無理やろ。テッたんアホなんやからメニュー覚えられへんわ」

「ラーメンなんて、塩、しょうゆ、みそ、とんこつ、ぐらいやろ。覚えられるわ」


「古い古い。今はもっと色々あんねん。例えばタンタンメンとか知ってるか?」

「知ってるよ。ひき肉が入った辛いラーメンやろ?」


「ほな、タンメンは?」


「タンメン? 半サイズのタンタンメンか?」

「ちゃうわ!野菜炒めが入ったラーメンや!」

「えぇ?」


「ほな、ワンタンメンは?」


「野菜炒めが1つだけ入ったラーメンか?」

喃照耶念(なんでやねん)! 水ギョーザ入りのラーメンや」


「ほな、ちゃんぽんメンは?」

「ちゃ、ちゃんぽんメン!? ちゃんぽんメンって何?」


「ざっくり言うたら、かまぼこ入りのタンメンや」

「ホンマか?」


「ホンマやホンマ。ほな次、応用編行くで。

 タン、タンタンメンは、ひき肉が入った辛いラーメンに野菜炒めのトッピング。

 タンタン、タンメンは、野菜炒め入りラーメンにひき肉と辛さのトッピング。

 ワンタン、タンメンは、野菜炒め入りラーメンに水ギョーザのトッピング。

 ワンタン、タンタンメンは、ひき肉入り辛いラーメンに水ギョーザのトッピング。

 ワンタン、タンタン、タンメンは、野菜炒め入りラーメンに水ギョーザと水ギョーザとひき肉と辛さをトッピング。

 ワンタン、タンタン、ちゃんぽんメンは、野菜炒めとかまぼこ入りラーメンに水ギョーザとひき肉と辛さをトッピングや。

 覚えたか?」

「覚えれられるか! タンタンタンタン、頭おかしなるわ!」


「注文の練習や。ほなイクで」

「覚えてへん言うてるやろ!!」


「ひき肉が入った辛いラーメンに野菜炒めのトッピングは?」

「ひき肉がタンタンで、野菜炒めがタンやから、タンタン、タンメンか?」


喃照耶念(なんでやねん)! 正解は、タン、タンタンメンでした」

「いやいやいや、言うてたよ。タンタン、タンメン言うてました」


「ちゃうちゃう。テッたんの言うてたタンタン、タンメンは、野菜炒め入りラーメンにひき肉と辛さのトッピングや。さっきの問題は、ひき肉が入った辛いラーメンに野菜炒めのトッピング。だから答えはタン、タンタンメンなんや」


「一緒やろ! コーヒーに牛乳混ぜても、牛乳にコーヒー混ぜてもコーヒー牛乳や! 牛乳コーヒーとは言わん!」


喃照耶念(なんでやねん)! ミクルコーヒーって言うやろ!」

「え?……ぇえ?……」


「じゃあ、次行で」

「待って待って待って。ちょっと待って。ワテはラーメン作らん。お客さんの注文聞く係や。だからお客さんの言うたこと繰り返すだけでええねん」


左様(さよ)か。ほな、ワイがラーメンの名前言うて注文するから、テッたんはワテの言うたこと繰り返してや」

「分かった」


「出来るか?」

「あたりまえや。なめんな」


「ワンタンメン」

「ワンタンメン」


「タンタンメン」

「タンタンメン」


「ワンタン、タンタン、ちゃんぽんメン」

「ワンタン、タンタン、ちゃんぽんメン」


「三・三・七拍子か! 注文言うてるやろ。客がタンタンメン言うたら、店員は『タンタンメン一丁!』って厨房に伝えるのが普通や」


「そんなん言うんやったら、カイちゃんだって『タンタンメン1つ』とか、もっとお客さんらしく言うてんか」


「分かった分かった。────店員さ~~ん。注文お願いします~~」

「らっしゃせ~~。お客様。何にいたしましょ?」


「じゃあ、この、タン、タンタンメンってヤツを1つもらおか」

「はい、タン、タンタンメン一丁!」


「こっちは、ワンタン、タンメンとワンタン、タンタン、タンメンを1つずつや」

「ワンタン、タンメン一丁!、タンタン、タンメン一丁!」


「ワイは、ワンタン、タンタン、ちゃんぽんメン単品で」

「メ、メンタンピン? 麻雀?」


「ちゃうわ。(めん)料理を1つという意味で麺単品や」

「ほな、三食麺だけ食うた時は、麺単品三食めんたんぴんさんしょくか?」


「ほんで、ビール頼んで一盃口(いーぺーこー)って、やかましいわ! お会計やお会計!」

麺単品三食一盃口めんたんぴんさんしょくいーぺーこーで、18000円になります」


喃照耶念(なんでやねん)! 麻雀か!」


『どうもありがとうございました』

小説家になろうの評価の☆や感想を頂ければ、励みになりますのでよろしくお願いします。


次回、11-5話 「阿吽の呼吸に感心を」

つづきは4月20日の日曜日にアップします。

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