44話・難題とソーイ
「そっか、そんなことを言われたんだ」
プライベートな話はリサちゃんが話したくないなら無理に聞かないよとアリスが言ってくれたので私は話したくないことと、カナちゃんのプライベートな話は、ぼやかして言うか、話さなかった。
「魔獣に卵。予言の魔物の本体。闇の精霊かぁ。難題がいっぱい提示されちゃったね」
「難しい?」
アリスは顎に手をあてて、続ける。
「難しいね。魔獣はボク達には見えないから対処しようがないし、卵だって見えないわけでしょ。予言の魔物の本体がどこにいるかもわからないし……」
ふぅと一度ため息をつく。
そんなに、難しいことなのかと心配になる。
「闇の精霊が守護する国は、姿を消しているんだ」
「姿を消してる?」
「うん、昔国交はあったんだけどね」
? が、頭に浮かぶ。
どういうこと?
私が首を捻っていると、かみ砕いて教えてくれた。
「今はこの世界に無い国なんだ。だから闇の精霊のいる場所もわからない」
ーーー
「今度は地図かよ……」
片眼鏡を指で押さえながら、嫌そうな顔で出迎えたソーイは、大量の本を抱え、ぶつぶつとつぶやいた。
「いくらオレが、本好きで速読できて記憶力もあるからって、執事業務もあるんだからな……」
え、もしかしてお友達にまかせるって、ソーイ一人に丸投げだったの!?
それにしても、ソーイはアリスと二人でしゃべってる時、本当に別人みたいな喋り方になるのね。こっちの喋り方の方がアリスはとても楽しそう。
「地図はこっちだ」
指を指しながら進んでいくソーイについていくと沢山の地図や海図と思われる資料棚の場所にたどり着いた。
「で、どういうヤツだ?」
「世界地図! わかりやすいのでよろしく」
ピクッと少し空気が張り詰めた。
何かを読み取ったかのように、ソーイはため息をつきながら地図を手に取り、パサリと机へ広げた。
「これでいいだろ」
「うん、さすがソーイ。いいチョイスだね。ありがとう」
「オレは向こうで続きをしてる」
そう言って、最初にいた場所へと戻っていった。
アリスは広げられた地図に近づいて、
「ここがね、ライトコール。今いる場所だよ」
すっと地図の左端を指差す。
大きな大陸の西に位置する場所だったんだ。
「そして、闇の精霊が加護する国」
ツツツツと今度は右端を指差す。大陸の横に小さな島が描かれていた。
「ここが獣人が多く住んでいた国、タカマガハラだよ」
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