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私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?  作者: 花月夜れん
第一章・光の精霊の国

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39話・聖女カナとカトル王子

「どうかしたの?! まさか魔物がまた?」


 黒い蛇がカナちゃんに向かって行ったのを思い出した。


「それは大丈夫。あの魔物は跡形もなく消えたよ。ただ……」


 アリスが難しい顔をして言いよどんだ。

 ただ? いったい他に何が起こったんだろう。


「カナがね。誰にも会いたくないと、閉じ籠ってしまったんだ」

「えっ……」


 ーーー


 ここは、初めてライトに会った中庭だ。

 アリスに連れられて、私は魔法練習のあとに帰ってきた中庭にきている。

 中庭の大きな噴水のところに人がいた。あれは、カトル王子とルード?


「カナ。お願いだから、でてきてくれ!!」


 カトル王子が噴水の近くの壁を何度も何度も叩いていた。


「兄上、聖女は?」


 アリスが声をかけると、私を目にしたカトル王子はすごい勢いでこちらへとむかってきた。


「君のせいか!! 君が現れたせいでカナがおかしくなったのか!? 君がっ!!」


 怒り、疑念、色んな感情が混じった怒声が響き渡る。

 アリスが私の前に立ち、迫ってくるカトル王子から私を隠した。


「リサちゃんは、関係ないよ! ずっとボクと一緒にいたんだから!」


 フーフーと押さえられない感情をなんとかしようとカトル王子が拳を叩きつけた。

 少しして、何時もの冷静な顔に戻ったけれど、まだ少し怒りの感情は残っていそうだった。


「……すまない。取り乱した。リサも、怖がらせてすまなかった」


 敵意が消えたようだったので、アリスが続きを聞いた。


「それで、聖女の様子は?」


 カトル王子は噴水の縁に力なく腰を下ろした。


「変わらずだ。カナはあの扉の向こうに行ったまま。出てこない」


 扉? さっき叩いていた壁かしら?


「鍵穴に結界をはっている。手出しが出来ない」


 カトル王子が手の平にのった小さな鍵をぎゅっと握りしめる。

 ルードが、こちらにきて追加の説明をしてくれた。


「鍵を差し込むことが出来ないので扉が開かず、ここは神聖な場所なので、魔法で壊すことも出来ず、どうしたものか」


 二人とも憔悴している。


 なぜ、カナちゃんはあの中に閉じ籠ってしまったんだろう。


「あの、この中にはいったい何があるんですか?」


 恐る恐る聞くと、カトル王子はポツリポツリと教えてくれた。


「ここには、光の精霊と契約するための場があるんだ。この中に入れば、光の精霊を強く感じることができる魔法陣がある。だが、なぜここに入って閉じ籠っているのか。私にはわからないんだ」


 カトル王子が苦しげな顔をしているが、私が何か出来ることもなく、これ以上ここにいても進展がなさそうなので、私達は部屋に戻ることにした。

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