19話・光の精霊さん?
「……見たことない」
ライトは不審者だったの?!
「違う」
え? なんかツッコミがきたんですけど。
「それでね、もしリサちゃんがまた見かけたらボクに教えてね」
アリスがスルーしてる。いまのツッコミが聞こえなかったの? かなり大きい声だったのに。
「リサちゃん?」
「あっ……」
横にいます。いま、そこにいます。腕を組んでドーンと立っていらっしゃいます。くいっくいっと、指で必死にライトを指差す。
「いるの?」
こくこくと頷く。
アリスは見回すが、ライトのところで視線がとまることはなかった。
「リサちゃんにしか見えないみたいだね。話せるの?」
試してみます。
「ライトさん、この前は送っていただいたのと、さっきはありがとうございます。魔法が使えるようになりました」
「……」
無言です!
「あの、貴方は光の精霊ですか?」
「……」
ふぃっと、むこうを向いて消えてしまいました。
「消えちゃった」
「そっか、ボクには見えないから確かめようがないね。ただ……」
言おうかどうか迷いながらも、アリスは告げてきた。
「聖女は光の精霊から特別な力を借りるのは言ったよね。借りるためには声が聞けないといけない。聖女の条件は精霊と話せることなんだ。聖なる力がないと、声が聞けないんだと、ボクは思ってた。声だけじゃなく姿が見えるっていうのが……わからないけど……。リサちゃんは、聖なる力は10だったんだよね?」
そうです。私の聖なる力は10です。
こくりと頷く。
「聖なる力があるから声が聞こえる可能性はたしかにあるけどね」
ちんぷんかんぷんです。
「もし、リサちゃんが見ているライトが光の精霊だとしたら、リサちゃんも聖女、つまり聖女が二人という可能性がでてくるね。その場合、バレたら帰ることができなくなっちゃうね」
おぅのぅ。まさかのピンチですか。
「普通の魔法なら使っても良かったんだけどね。その魔法の使い方だと、兄上達に色々聞かれたり調べられるかもしれないね。ボク以外の人に聖女の魔法を見せちゃ駄目だよ」
「あ、アリスがライトやウォーターで魔法は使えないの?」
使えるなら、問題なくなるよね! と、思うのだけど。
アリスが、ん? と、手をかざし唱えた。
試してくれるようだ。
「ライト!」
しーん。
「ウォーター!」
しーん。
ソウデスカ。何も起きませんね。やっぱり、聖女が使う特別な魔法、なのかな……?
「ね? だから注意するんだよ。特に父上、兄上、兄上の側近達には気をつけてね」
なんだか、フラグが立ちそうです! やめて、危険なセリフっ!




