18話・書庫探検
「そ、それはどういう……?」
だらだらと汗をかく。誉めてもらえると思ってたのに、やっちゃ駄目なやつだったり?
泣きそう……。
「ふぇ……っ」
泣きそうになった私に気がついてアリスが謝ってきた。
「リサちゃんごめんね、怒ってるわけじゃないんだ。ただ、教えて? その魔法をルードが知ってるかどうか」
なぜ、それが聞きたいんだろう。
「えっと、ルードさんは知らないんです。いなくなったあとに出来るようになったから」
ふむ、とアリスは少し考え込んでから回りを見回して、何かを確認していた。
「リサちゃん、詳しい話はあとでしよう。とりあえず、その魔法使わないで」
なんで、せっかく出来るようになったのに使っちゃいけないんだろう。私が理由を聞きたそうな顔をしていたのか、アリスが小声で教えてくれた。
「その魔法の使い方は、聖女と同じなんだ」
あ……それは、たしかに地雷だね。
ーーー
「同じと言っても、ライトだけなんだけどね。ウォーターっていうのは聞いてないなぁ」
ここは、王宮内の書庫。昼御飯を食べてからここに移動してきた。私達が使うというので、人払いをしてもらっているので静かだ。それにしてもすごい数の本。周りをぐるりと見回す。本と本と本。これ全部探すの? いったい何年かかるのかしら。
「魔法関連の本だけなら、だいぶ減るよ。ここからあそこまで」
アリスがここからあちらの方向を指差しますが、多いです。じゅうぶん。
一冊、手にとってパラパラと捲ってみる。
「……読めない」
もう一冊、とってみる。……やはり読めない。
「駄目そう?」
ふるふると首を振る。
「話す言葉はわかるのにね。じゃあ、書物で探すのは難しいのか」
「聖女召喚の本は見せてもらえないの?」
「あれは、国宝なんだ。中を見ることが出来るのは国王のみ。召喚が終わっている今、また厳重に仕舞われているよ」
ふぅ、いきなり詰んだ。
「ここを探すのは、ボクのお友達に頼んでおくよ。それで、魔法のことなんだけど……」
アリスが書庫の何ヵ所かにある大きなテーブルの1つを指差すのでそこに行くと椅子をひいてくれたので座った。
アリスは私の横の席に座った。
「精霊の姿が見えるってホント?」
「たぶん、なんだけどね。魔法を使ってる時にね、このくらいの人の形をした子を見るの。魔法を手伝っているように見えるんだけど」
このくらいのと、手で大きさを伝える。
「そっか、精霊が色々なものに宿っていると言われてはいるけれど、今は精霊を見たって話は聞いたことがないな」
ふぅ、と息を吐いてアリスは続けた。
「それと、リサちゃんを部屋まで連れていってくれて、魔法の使い方を教えてくれたライトって人物だよね。はっきり言うと城内でそんな人物をボクは一度も見たことがない」




