表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

【第一章】その4

「〝エロエロスライム〟?」

「〝エロイムエ、スライム〟です。石に化けては止まった虫を体の粘着液で捕まえて食べるモンスターです。人体を傷つけることは出来ないのですが、その粘着液が着ている衣服だけを溶かすという厄介な性質が有るが為に、うっかり触れてしまうと裸に…?!ミョ?ミョ?な、何するんですか???ミョョョョッッッーーー!!」

私はナヴィの背中を後ろから突き押しながら進んで、スライムに触れさせようとしたが、触れる寸前でナビィは真上に飛んで回避してしまった。

チッ!おしい!

「何をするんですか!!危うくアタシ、裸になるとこじゃないですか!!」

「いや~本当に服だけ溶けるのかな~て…」

「自分で試して下さいよ!!その代わり裸で街中を歩き回ることになりますけどね!!」

「ウ~ン…仮初めの体とはいえ、流石にこんだけリアル感有ると、裸で徘徊は恥ずかしいな…」

まぁ、とりあえず定番とはいえ待望のエロ要素が有ることが解ってホッとした。

このゲームにうっすら希望が見えてきたぞ。

ここは絶対サービスタイムだな。今から街の娘が通ろうとして餌食になり……

「ミョ?何をニヤニヤしてるんですか?それよりどうします?〝エロイムエ、スライム〟は素手では倒せません。武器が無いと…」

「仕方ない。無理な闘いは避けて、触れないように通り抜けるか…あれ?」

異変が起こっていた。

さっきまで道幅の半分くらいしか無かったスライムが、道幅いっぱいまで大きく成っている。

外観も細かな斑点は消えて、黒っぽくなっていた。しかも何か〝グチュグチュ〟言ってるし…

「なぁ、アイツ大きく成ってない?道塞いでいるぞ。色も黒く成ってるし…」

「まずいです!呪文を唱えて求め訴えたみたいです!〝更にエロイムエ、スライム〟に進化しました!!」

「何?!更にエロ要素が増えるのか?」

「〝更にエロイムエ、スライム〟に進化してしまうと服だけじゃなく、皮膚も溶かしてしまいます。触れると理科室の人体模型みたいに成っちゃいますよ」

「エロ要素はどこ行った!おい!近づいて来てるぞ!逃げるにしてもここ一本道だから、後退してもスタート地点に戻るだけだよな…」

「逃げますか?では、お任せ下さい」

そういうとナヴィは杖を振り回し、道横に咲き誇るヘザーの草原側に杖の先を向けた。

逃げ道(エスケープ・ロード)!!」

黄色と青の光を放ち、ヘザーの草原がドンドンかき分けられる。

新たな道が出来て行くが、今居る道よりは一回り細い。

「急ぎましょう。スピードを上げてきました」

ナヴィの後を着いて行き、新たに出来た道に入る。

スライムは目前まで迫って来ていた。思ったより早い。

ぴょんぴょん軽快に逃げていくナヴィを俺は必死で追いかけた。

「ナヴィ!アイツ結構早いぞ!追い付かれないか?」

「心配無用です。後ろを見て下さい」

「えっ?」

言われて後ろを振り返ると……あれ?無い?!

私が通って来た道が無い!消えている。

前方には道が有るが、後方の道はすっかり無くなり、一面紫のヘザーの草原に戻っていた。

枝道(ブランチ・ロード)!!」

そういうとナヴィは杖から紫と橙の光を放射して、今度は前方の道を(えだ)分かれさせた。

ナヴィは分かれた右側の道に進み、私に〝おいでおいで〟をしてくる。

逃げ道(エスケープ・ロード)は逃げ切る為に、通ってしまうと消えて行きます。道が必要な敵は追って来れませんから安心して下さい」

「今作った道は?」

「今、逃げる為に街に向かう本道から逸れてしまいました。ですが、枝道(ブランチ・ロード)は本道とは別ルートの目的地に向かう道を作ってくれます」

「なるほど…とりあえず一安心か。しかし走って喉渇いたわ。偽りの体なのに、腹も減るし喉も渇くんだな。どっかに湧き水ないかな?」

河道(リバー・ロード)!!!」

「あっ!」

ナヴィの杖が今度は青、紫、緑の三色の光を放つと、道の脇に小川が流れ始めた。川の道か?

スゲー、ただの道を作るだけの能力だと侮ってたが、多才じゃないか。

まてよ…

「ナヴィ!お前の道を作る術、いったい幾つ有る?」

「そうですね…沢山とだけ答えて置きましょうか。ミョミョミョ」

「なるほど、それも冒険のお楽しみって訳か。因みにこの川の道を出す難易度は?」

「これは中技で光は三つです」

「光?」

「赤、青、黄、緑、橙、紫、白のそれぞれ単色の光の道(レイ・ロード)が基本で、光を混ぜる事によって色々な道が出来ます。光の組み合わせ数が多いほど難易度が上がります」

「中技って言ったけど技の強さの内訳は?」

「光ニつが小技、光三つが中技、光四つが大技、光五つが超大技、光六つが神技、その上が超神技です。因みに超神技は光七つの入道(オープニング・ロード)と漆黒の出道(エンディング・ロード)しか有りません」

そうか、思い出した。

パソコン画面に〝roading〟の点滅する文字に七色の光。

あれが入道(オープニング・ロード)だったんだ。

魂をゲームの世界に(いざな)う超神技か…

「ナヴィ、つまりお前は只の案内係じゃなくて魔法使いの立ち位置なんだな。このゲーム内のキーマンと考えていいな」

「ハイ。ナヴィが居ないと、このゲームはクリア出来ません。これから集まる仲間達と違って、ナヴィが死んでもゲームオーバーになり、スタート地点に戻ります。但しあくまでもナヴィはサポートの立場なので闘い方や進み方は、主人公のあいさんが考えて下さい」

「術を使った時のナヴィのリスクは?」

「ナヴィのHPが減ります。HPが無くなるとゲームオーバーです。これはあいさんも同じです」

「難易度が高いほどHPが沢山減るのか?」

「ハイ。特に光五つ以上の超大技や神技はHPが大量に減りますし、一度しか使えないとか、自分も危険な目に遭うとかリスクが高いですから、使うときは慎重に相談しましょう」

「だいたいこのゲームの進行が解ってきた。私はこれから金貨を稼ぎながら修行して剣の腕前を磨き、ナヴィの道を作る術との合わせ技でモンスター達を倒していって、最後は魔王を倒す。こういう流れで良いんだな」

「ハイ。他にもショッピングやグルメ、そして大恋愛をして幸せな家庭を持つ。そんなシミュレーションも盛り沢山です。いっぱい楽しんでいって下さい」

……いや、最短で魔王倒してとっとと出て行きます。

何か、別れ際に玉手箱プレゼントされそうで怖くなってきたわ。

「じゃ、この水飲んで少しHP回復したら街に急ごうか」

「ミョッ!駄目です!!」

「ん?!この水飲んだら駄目だったの?」

「違います。そこ、座ってはいけません」

「えっ?!」

「それ、石じゃ有りません……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ