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15 勝負の結末

 テイガは鎧が砕け、砂の地面に仰向けで倒れる。

 柄池はよろめきながらもなんとか着地をしたのだ。

 ライオロスのサポートがなければ間違いなく同じように倒れていただろう。


「それと、お前の敗北台詞だが……」


 着地の後に敗北台詞について語った。


「俺の無敵がこんなにも薄いとは、で決まりだな」


 剣をテイガに向けて、柄池は告げた。

 彼は無敵という文字が書かれた白Tシャツを真上に見せて、反応せずだ。

 勝利の瞬間に愛川から気絶したロカリアをはねのけて歓声が出る。


「やったー!」


「すごい……すごいわ……」


 愛川が飛んで歓声を出すと、エルラも感嘆で震えた声が出た。


「みんなも頑張ったよ! すごい!」


 愛川は頑張った皆へと感謝をする。

 柄池もその様子を笑いつつ見ていた。。


「本当だね、みんなに感謝しなきゃ……だ……」


 喜び様を見て、柄池も肯定するが、直後に前のめりに倒れたのだ。

 愛川がすぐにこちらへと行く。


「柄池君! 大丈夫!?」


「もう、剣を握る力もないけど、なんとか……それより、ロカリアさんは?」


「もう大丈夫。傷も治ったし、雑に扱っても問題ないラインよ」


「雑に扱うのは、ダメだって、ははは……」


 ロカリアの状態を愛川が語り、柄池は力なく笑いつつ話す。


 そこで、ある男性が柄池と愛川の元へと行く。

 その男性は剣を持っていた。

 そして、黒い兜も


 男性は先程まで倒れていた暗黒騎士、テイガだった。


「こんなことは初めてだ……だが、俺様が戦えないと思うなよ」


 テイガからそう告げると、愛川は柄池を自身で覆ってかばう。

 その様子を見て彼は言葉を続ける。


「弱小救済者はもう戦えないようだが、この俺様はこうだ。この勝負はもう見えたな」


 剣を振って、テイガは戦闘可能と言葉でもアピールする。

 確かに戦闘でやったことは鎧の破壊だけ、テイガの肉体にはそれほどダメージがなかったのだろう。


「果たして、そうかな?」


 その突如、男性からの言葉。

 柄池はその声の方向へと向く。


 その男性は倒されて傷も負っていたカイゼルであった。


「私は鎧に手を出せずだったが、その鎧がなければ私にも部はあるだろう。テイガよ」


「カイゼル! 貴様……」


「私もただ寝ているだけでは申し分がないからな。休んだからにはここで働かないと」


 テイガの言葉にカイゼルは歩きつつ言葉を返す。

 カイゼルの言葉の後にテイガから金属音が響く。

 その後に彼の持った剣は飛ばされてしまった。


「しまった……貴様には遠くでも届く斬撃があったか」


「その通り、先ほどの戦いで見ていただろう。鎧の前に無力で忘れてたと言わないでほしいものだな」


 テイガは失態を呟き、カイゼルもいつの間にか剣を構えていた。

 自慢であった鎧も剣ももう手元にない。

 彼の次の戦闘も先が見えていた。


「俺様の……負けだ……」


 テイガは片膝を崩して、視線を落として地面に膝を付けた。

 その様子を見て、柄池は緊迫の気分を一息で体内から出す。


「終わった……んだな……」


「はい。救済者様のおかげで、私もあの暗黒騎士を捕らえられそうです。本当にありがとうございます」


 柄池の言葉にカイゼルは深く頭を下げて礼を言う。


「俺こそ助かりました。カイゼルさんが締めてくれなければ、俺も危なかったですから」


「いえ、救済者様の功績はあまりにもデカすぎて、比較すると私の功績がかすむくらいです。感謝は私からだけにしてもらいたいほどに」


「そっか。正直しんどいんで、もうそれでいいや」


 今回はカイゼルだけが感謝したいと自身で話すと、柄池は根から折れた言葉を話す。

 柄池は疲労と痛みからもう折れていたのだ。

 カイゼルは再度頭を下げると、彼の元へと行く。

 そして、テイガに錠を付けるのであった。


 その様子の傍ら、光る球体のエルラが柄池に近づく。


「その、助かったわ。柄池君」


「ははは、救済者ですから、俺は。これくらいはしないと」


「そのこれくらいが大きなことだからね。私からも礼はしたいわ」


 笑いつつの柄池の言葉に、エルラも礼をしたいと話す。

 彼女は球体のまま下降上昇のセットをして、礼をする。

 そのまま、エルラは話を続ける。


「正直言うと、柄池君には申し訳ないことをしたと思っているわ。何もサポートが出来ずにこの異世界に連れてきてしまって」


 エルラは震える気持ちが言葉から染みていた。

 更にエルラは続ける。


「でも、私、あなたを救済者に選んで、今までの選択の中で、一番良かったと思っているの。こんなことして恵まれているなんて言ってくれるものだから、その凄くうれしくて……、本当に、本当にありがとう」


 エルラの心からの感謝を聞く。

 今度は柄池の番と口を開く。


「気持ちは受け取っておきます。この世界もまた俺にとって恵まれている世界だとも思っていますので」


 柄池は思う気持ちをそのまま言葉にする。

 その言葉にエルラは球体を震わせた。


「ありがとう! ドラマ見れなかったけど、今ドラマ以上に私は感動しているわ! ドラマなんて見る必要なかったわ!!」


 エルラは言葉を聞いて礼を言いつつ、柄池の周囲を凄い速度で飛び回った。

 飛び回りながらエルラは追加で話す。


「あ、あとね! 神殿に来てね! この状態じゃだめだけど、私は傷を治すくらいはできるから!」


「あ、分かりました。ありがとうございます」


 エルラの申し出に柄池は礼を言う。


 こうして、暗黒騎士テイガとの戦闘は決着したのだ。

 その後、カイゼルはある物を彼から押収して柄池に渡す、四角い箱を。

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