9 三分間の間
「俺様は三分間攻撃をしない。その間でどうしようもないと判断すれば、白旗を挙げることを許してやる」
「なんですと?」
テイガの提案にロカリアは驚きの表情で聞き返していた。
柄池もこの提案には驚いていた。
「三分間攻撃しないと言ったのだ。なんなら、回避もせずに動かなくてもいいのだぞ」
「……ご厚意と受け取りますわ」
テイガの動かない宣言にロカリアは言葉を返す。
返した直後に彼女は駆けて行った。
「そのご厚意は敗北を持て、後悔しなさい」
駆けたロカリアは呟きつつ、剣で突きを放つ。
双剣の片方がテイガに向かってく。
彼はその攻撃をかわそうともしなかった。
「後悔か、王女がしないように選択を誤るなよ」
「な……!」
涼しい気のテイガの声に、ロカリアからの驚きの声。
彼はかわす必要もないと、何もせずに鎧だけで剣の突きを受け止めたのだ。
「では、今から三分間のカウントだ」
テイガはここから動かないと語る。
「噂に違わぬ鎧ですわね。ではこれで行きましょう」
そう言って、剣の連続攻撃をロカリアは両腕で仕掛ける。
それでもテイガは動かずに、攻撃を鎧で受け止めた。
彼女の顔に苦みが出るとともに、言葉も出る。
「これだけやっても手ごたえを感じないですわ……だったら、これで」
言葉と共にロカリアは手を光らせて、そこから電気を発生させる。
電気は瞬時に剣に渦巻くようにまとわりつく。
「ほう魔法の類かな?」
「その余裕、ここまでですわよ」
テイガの余裕の言葉に、ロカリアが口を出す。
共に彼女は、下からばつの字を書くよう剣で切る。
それでも、鎧の前には切り抜けることなく塞がれてしまった。
「さて、余裕を続けて一分が経過。そろそろ、決断すべきだぞ」
「これでもですか……!」
テイガは決断を促すと、ロカリアは言葉を返した。
彼女の表情は焦りがあった。
「ですが、まだこちらにも時間の余裕がありますわ!」
まだまだとロカリアは話す。
それから彼女が下がると、今度は下の砂を切り飛ばして、テイガに砂を飛ばした。
その砂も彼は避けることはなく、さらには後から仕掛けられた彼女の双剣での挟み込みも受けていた。
一方的な様子を見ていて、愛川が口を開く。
「本当に効いてないよ……」
「なんというか、どこか遠くに受け流されている感じだ」
愛川の呟きに、柄池は鎧の反応を分析した。
分析にエルラは言葉で反応する。
「あの鎧は闇の彼方に攻撃を受け流しているのよ」
「闇の彼方に? 道理で電撃も効いている様子がないと」
「これは不味いわね。電撃も効かないとなれば、他の魔法も効かないし、物理もこの通り」
柄池の驚きに、エルラは状況を分析する。
一方で、ロカリアはテイガを双剣で挟み込んで、上に掲げていた。
その後に彼女の手が光る中、柄池が声を出した
「それじゃあ、本当に成すすべがないということか……?」
「きっと、柄池君とロカリア王女が二人でも余裕で倒せる気持ちね。あの暗黒騎士の余裕が裏付けになるわね」
成すすべのないとの柄池の言葉に、エルラは否定もせず語っていた。
エルラの顔が見えるのであれば、残念の色に染まっているだろう。
この話を聞く傍らで、ロカリアは上空からテイガに向けて雷を落とすも、それも効く様子がない。
さらにと彼女は飛び上がって、彼を下へ叩き落す。
「悪いな。こう投げ飛ばされようとも、俺様には何の変りもないんだ」
「これでも……なんて……」
「それと、二分を切った。そろそろ答えを聞こう」
落胆の色に染まった声をロカリアは出すと、テイガは答えを催促する。
寝てから起きたかのような彼の起き上がりを見て、彼女は視線を下げていた。
「分かりましたわ。答えを伝えます」
「聞かせろ。ロカリア王女の気高き敗北宣言を!」
そうロカリアの告げを聞き、テイガはさらに催促をする。
「私、ロカリア王女は……」
敗北宣言を出す
かと思われた。
力を込めてロカリアは剣を握る。
同時に助走をつけて、上に飛び上がる。
「まだ、諦めておりませんわよ。出来ることはまだあります!」
戦闘続行を告げて、ロカリアは縦に回転していく。
回転数を上げて、剣の遠心力を高めていった。
さらにとロカリアは手を光らせて、剣に電気をまとわせた。
「雷獣圧撃!」
言葉と共にロカリアは双剣を振り下ろした。
回転での遠心力と電気をまとった双剣の斬撃を放つ。
しかし
「時間だ」
時間だと告げて、テイガは剣の持ち手を握る。
瞬時にロカリアの双剣を横薙ぎで弾いた。
「あっ……」
あっさりとさばかれる攻撃にロカリアは声が無意識から出たようだった。
同時に、柄池は違和感を覚える。
剣を飛ばされたロカリアはただ落下して着地するしかなかった。
落下に力もなく、無力さえも感じてしまう。
「では、これより俺様からの有り難い攻撃を授ける。感謝しろ」
剣を上に掲げてテイガは攻撃宣言をする。
すると、彼の上空は黒い雲が覆い始めて、周りを暗くした。
離れていた柄池もあの黒い雲から何かが落ちてくるのは分かる。
しかし、それでもロカリアは逃げることなく、拳を握って彼へと放った。
テイガから続けて攻撃を宣告される。
「落ちよ。暗黒の雷よ」
テイガは拳を避けずに、黒い雲から黒い稲妻を真下へ落とす。
その先には避けなかったロカリア。
もう、当たる未来が柄池には見えていた。
「ロカリアさんー!!」
柄池の大きな声は稲妻が落ちた轟音で消された。
暗黒の雷よ。艦これの雷でもかみなりでもないわ。そこんとこ、よろしくね




