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7 柄池は力に恵まれないか

 エルラと柄池は続けて話をしていた。

 彼女からこの世界の現状についても話している状況だ。


「ただ柄池君にも一応言っておくけど、おとなしくしているのも現状は一時的だし、魔王の陰に隠れていた勢力も動く可能性はこれからあるわよ」


「世界改変の力を所持する勢力も、ですかね?」


「私もそうみているわ。他勢力を倒すという目的もついでにお願いしたいのだけど、いいかしらね?」


「ええ、任せてください。それも救済業の一環ならやります」


「ただ、他勢力の打倒よりも世界を改変した者を見つけることが重要だからね? 私の優先度は伝えておくわよ」


 柄池から任せてとの言葉を出して、エルラは優先度についてを話す。

 エルラの言葉の後に横から宮夜の言葉が響く。


「あ、エルラー。こっちは見たいの終わったけど。テレビのチャンネルはそのままがいいよね?」


「ええ、お願いー。ドラマの次の話、いいところなのー」


 宮夜の言葉にエルラからお願いの言葉で応じた。

 あちらの空間が考えているものとはかけ離れているようで、気になり始める。

 もしかすると、庶民的な空間なのだろうか。


 続けて、エルラから質問がくる。


「そういえば、柄池君は魔法が使える?」


「ああ、ダメでした。魔法そのものが魔力を拒絶しているって話で」


「ああ、最初にあったときにそんな気配があったから……やっぱり」


「魔法が必要だったら、その時は使える人に頼りますよ。気にしてはいません」


「そっか……落ち込んでないならいいけど。それでね、もう一つ不味いことがあって……」


 柄池は魔法のことは気にしていないと話し、エルラは告げたいことがあると話した。

 そのエルラの顔は申し訳ない表情である。


「おそらく、柄池君は戦闘職も現状無理と見ているわ。愛川ちゃんは大丈夫みたいだけど」


「そうきましたか……」


 エルラからの戦闘職も無理との話に、柄池は残念を言葉にする。

 もしかすると職も付けない可能性があると魔力の話が出たことで、身構えてはいたことだ。

 話を聞いて予想外の気持ちもあったが、続けて柄池は質問をする。


「もしかすると、魔力が原因でしょうか?」


「そうなのよ。柄池君の魔力が厄介者で、職を持ったとしても授かれることが全くない状態なのよ。」


「一応、職に就くこと自体は可能なのですね。その利点が全くないというだけで」


「その通りよ。もしも柄池君の魔力を抑えることが出来れば、恩恵や覚える技術も授かれるのだけど、それは私たち都神でも無理なようなの」


「……これは予想以上にずいぶんとでかい厄介者がいるんですね。俺の中に」


 エルラから職についての話を聞き、柄池は自分の中の厄介者についての印象を語る。

 魔法だけが使えないなら大丈夫かとも思ったが、ここまでくるとこの厄介者の負の部分をこれから何度も見る可能性も出てきた。


「そうね……本当だったら、救済者には特別な力も付ける予定で、他の救済者君にも付けていてね。ただ、私にはそこまでの力もなかったのよ」


「そうですか……戦闘に役立つ能力ですか? それは?」


「そうね。他の都神から力を授けるって言うのも出来なくて、現状そのまま戦ってもらうしかないのよ……」


 柄池が力について聞くと、エルラは肯定しつつ申し訳ない表情で語る。

 そして、エルラは頭を下げて次の言葉を話した。


「その……私の力不足で……本当にごめんなさい」


 エルラの謝罪の後に無言が流れた。

 確かにエルラの力不足で色々な不都合が起きたのかもしれない。

 それでも、責めることはしたくなかった。


「俺は大丈夫ですよ、エルラ様。愛川さんが職につけるというならば、それでなんとかフォローが効きます。あと、ロカリアさんもこの世界の人ですから、そっちも頼れますし」


 柄池は責めるつもりはないと気持ちを伝える。

 不都合のフォローもなんとか行けるからだ。

 この後に柄池は言葉を続けた。


「元の世界でも戦闘職に就く必要もないですからね。割と困っていないですから、俺の心配はいらないですので、もう頭を下げなくていいです」


 頭を上げて、謝罪の表情は必要ないと柄池は伝えた。

 その言葉にエルラはゆっくりと頭を上げる。


「柄池君……」


 エルラの呟きには感謝があふれていた。

 表情から気持ちも晴れたようで何よりだ。


 その時に


 エルラはふと険しい顔つきになった。

 何かに勘付いたように。

 先に言葉が出たのは宮夜だ。


「エルラ、気が付いた? この気配に」


「ええ、私でも気づくわ。水の都市であんな者が来ればね」


 宮夜からの言葉にエルラは水の都市に何か来たと話す。

 表情から予想が出来て、柄池はこう聞いた。


「何か? 敵ですか?」


「そう、敵よ。しかも、かなりの強大な力」


「カイゼルさんもいるけど、一応俺も行った方がいいかも」


 エルラからの敵襲の言葉に柄池は自分も行くと話した。


「行ってくれるの? なら、私がワープで連れて行くから。水の都市内なら出来るわよ」


「有難いです。よろしくお願いします」


「じゃあ、敵の近くまでワープさせるから。愛川ちゃんも一緒でいいわね?」


 柄池はワープを頼むと、エルラは愛川も一緒でいいかと尋ねた。

 愛川も頷く。


 それから愛川と柄池の足元から光があふれる。

 続けてエルラはこうも話した。


「もしかすると、今回の敵は世界改変をした張本人かも」


「それほどの敵……気を引き締める必要がありそうですね」


 エルラからの報告、柄池は重く頷いて理解を示した。

 今回の異世界の旅、それもこれで終わりかもしれない。


「それじゃあ、頼んだわよ」


「お任せを、行ってきます」


 エルラからの願いに、お任せをと柄池は返した。


 あふれた光に柄池と愛川の足は浮かされる。

 そして光に包まれた後、包んだ光は周囲に四散して、柄池と愛川はワープした。

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