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5 水の神殿は信仰不足が悩み

 図書館の用事が住んで、柄池と愛川は神殿へと移動する。

 結果的に帰る方法もここに来た目的も判明しなかったため、都神に直接聞こうとなった。


 そして、今柄池と愛川は神殿の前にいたのだ。

 着いてからの第一声は愛川である。


「着いたね。神殿」


「あの時会った女神と同じ像がある。確かに泡も像の周りにあるし、髪型も同じ感じだし」


 愛川は着いたと呟き、柄池は入口の像を見つつ話す。

 色はついてなかったが、像の前には柄池が初めて会った姿と全く同じ都神の像が置かれていた。


「あの像が水の都神、エルラ様なんだ」


 愛川が都神の名を呟く。

 水の都神エルラという名前は司書から聞いていた。


「じゃあ、行こうか。そして、この世界に来た理由とか、いろいろ聞こう」


「はーい」


 柄池は行くことを告げると、愛川も肯定する。

 女神に聞けば多くのことが分かる、そういう確信があった。


 入口に入ってから、武装した兵士二人が通路に塞がる。

 しかし、こちらが近づくにつれて、兵士二人は通路の通りを開けてくれた。


「えっと、入っちゃってもいいのかな? 奥へ」


「はい。お待ちしておりました。救済者様がこちらへ来ることは存じています」


「あ、そうなの? 俺、特に何も言っていないけど」


「この神殿の神官様からのお言葉で、神殿に来ること自体は分かっておりました」


「ああ、神官様が。お告げみたいなものか」


 兵士の説明に柄池は理解を言葉にする。

 それで柄池は気付いたことがあった。

 予定よりも遅れたことに。


 それを柄池は聞こうとする。


「そういえば、俺、寄り道しちゃったんだけど……実は無駄に待っていた期間があったりしない?」


 こういうことを聞いていいかと思いつつも、柄池は気になって聞いてみた。

 兵士はしばし無言でいた。


「いえ、特に問題はありませんので、奥へとどうぞ」


(あ、やっぱり待っていたんだ)


 兵士は問題ないと答えたことで、柄池は理解の言葉を心に押し留める。

 兵士に悩んだ期間があったかようだが、それはあえて話さず、柄池は別の話に変える。


「言っておくべき事も別にある気はするけど、本当にお疲れ様。それじゃあ、向かおうか」


「労いありがとうございます。この場の安全はお任せください」


 柄池は言葉に悩むもお疲れさまと労い、兵士は礼の言葉を出す。


 そうして、清潔感のある通路を進んでいくと、高台に立っていた神官らしき人を見かける。

 神官は柄池に声を向ける。


「お待ちしていました。柄池様、愛川様」


「えっと、なんというか待たせてすいません」


「いえ、一日くらいは問題ありません。些細なことですので、お気になさらず」


「そう言ってもらえると、助かります」


 神官から気にしなくてもとの言葉を聞き、柄池は礼を述べる。

 些細との言葉は助かる。

 表情からも大きな問題ではないも感じ取れた。


 よく見ると、神官は40代で青い髪の男性のようである。

 気になったことがあったのか、愛川から次に声が出る。


「あれ? というか、私たちの名前知っているんだね?」


「ええ、エルラ様からのお告げがありまして、それで知りました」


「おおー、すごい」


「それと、本当であればエルラ様から初対面の時に直接お話もする予定でしたが、本当に済みませんでした」


 愛川のすごいとの声の後に神官は頭を下げて謝る。

 本当であれば、初めて会った時に話を聞く予定だったのであろう。

 次に柄池から声をかける。


「そうだったね。結局踊るだけだったけど、とにかくここに着いてよかったよ」


「踊ったとは聞いておりませんが、実はエルラ様があの時話せなかった理由がありまして……」


「え、それって何か問題があってなのかい?」


「はい、実は水の都神は信仰が低いことから、四つの主要都市の中では力がない方でして、話す力もなく……」


 話せなかった理由を柄池から聞くと、神官から信仰を理由とした話が返ってくる。

 言葉が通じなかった理由は思ったよりも世知辛かった。


「ああ、そういう問題が……」


「私以外にも神官はおりまして、信仰を高めようと努力はしていますが、なかなか実を結ばない状態で……」


「頑張っているならいつかは実を結びますから、その、これからも頑張ってください」


「すみません。その言葉でかなり救われます」


 柄池はつらい神官にせめてもの言葉を送ると、神官は礼を言う。

 会話の中でも辛そうな感情が漏れている感じであった。

 感傷から目的を思い出したのか、続けて神官から言葉が出る。


「ああ、これ以上話すと長くなりそうですので、これ以降はエルラ様とお話ししてください」


「っと、そうだった。エルラ様との話のために来たんだよ」


「エルラ様の部屋へとお連れしますので、付いて来てください。あと、戦闘職についても身に付けるときは私が行いますので、その時はどうぞ」


 本来の目的を柄池は思い出し、神官は案内を始めた。

 柄池と愛川は新館の後をついて行く。


 部屋につくと、中央には水が静かに湧きあふれていた。

 部屋の中は白に近い水色の部屋で、エルラの像が正面の壁にかけられている。

 水が湧く音もなく、部屋自体は無音でもある。


「それでは、エルラ様とのお話をごゆっくりと」


「ご案内ありがとうございます」


「御光臨はもう少しすればしてくださりますので、しばしお待ちを」


 柄池から礼をすると、神官からお待ちをと言葉が贈られる。

 そう言って、神官は部屋から去った。


 部屋が無音であるため、柄池は湧いている水の方へと興味を持って近づく。


「それにしても都神の部屋だからかすごい静かだ、湧いている水から全く音もしないし」


「すごいね。癒される感じもするし、立ったまま寝ちゃいそう」


「話の途中に寝ちゃだめだよ」


「はーい」


 柄池は注意をして、愛川は肯定する。

 その後に、湧いている水の変化を感じた。


「あれ、水の湧き方が勢いづいてきたかな?」


 湧いている水を見つつ柄池は疑問を浮かべる。

 入った時よりも確かに湧いている水に高さが出てきている。

 すると、声が聞こえてきた、おそらく都神の。


「良くここまで来てくれました、救済者よ」


「はい、何とかここまで」


 都神の言葉に柄池は頭を下げて、言葉を返す。


「今回は様々な困難を乗り越えたあなた達は」


 その言葉の後に都神の姿が湧いている水から浮かび上がってくる。

 そして、勢いよくその姿がこちらに向かってきた。


「よくこんなほっつきまわったげくに、そんな面出来たな!」


 都神からの言葉と共に柄池は腹にドロップキックをもらう。

 そのドロップキックは都神からの蹴りだ。


 その突拍子のない出来事に柄池はただ困惑しかなかった。



*司書のステータスを設定場所に公開します

そこで、ここで少し公開します。


名前:ベゼント・サデルス

種族分類:人

職業:水の都市図書館司書

性別:女


耐久力:700

魔法力:2,000


その他、称号など

称号:サキュバス変化能力

説明:人に姿を変えられるサキュバスである



称号:図書館の喰らい女

説明:図書館で草食男子から生命力を頂いているために付いた称号。

実質、図書館は彼女の巣になっているが、彼女自身の知名度は低い。

食べられた男子があまり口にしないためである、草食男子だもの、話せないじゃない。



Q.柄池やばかった?

A.一人だったらアウトでした

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