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5 デュラハンの城、その名前は特に考えていない

 町から出て、柄池はゴブリンの石垣と一旦別れた。

 ポーションを他のゴブリンに渡すためだ。

 その間にこちらは町の様子を見るという話になっている。


 柄池は人の通りはあるが、先ほどよりもにぎやかでない道を移動する。

 移動もしつつ自身は愛川に声をかける。


「あとさ、愛川さん。服のことで話があってね」


「ん? 何々ー?」


 移動しつつ、柄池は話を持ち掛けて愛川は受け入れる様子を見せる。


「スカートが短いから動きに気を付けてね?」


「そうだね、足とか傷つかないように気を付けないとね」


「まあ、そうなんだけど……そうなんだけど……」


 やんわりとした注意を愛川は受け入れるもの、柄池は解釈の違いに困る。

 かと言って、直接言えば彼女にも迷惑がかかると予想される。

 スカートの中が見えると言えば、酒場の時に柄池が見たと勘違いされかねない。


「はーい、動きには気を付けまーす」


「もっと具体的に言った方がいいのか……? ん? あっちで何かあるのかな?」


 手を挙げて愛川は話して、受け止め方に柄池は困った表情をした。

 その後に柄池は人だかりを見る。

 武装した人が集まっている人だかりで、声も聞こえた。


「では、この町の警備も念入りに。あの騎士が現れたと噂までているからな」


 金髪で鎧をまとった男性騎士から他の兵に指示を出す。

 その様子を柄池は見て、声を出そうとする。


「ん? なんか危ない人でも出てきたってとこか?」


「おや、その腕輪は……もしや、救済者様でしょうか?」


 柄池の声に金髪の騎士が目を合わせてこちらへ問う。


「はい、そうですが?」


「私の名は水の都市の騎士団長、カイゼル。救済者様と見込んで、一つ頼みごとがあるのですが……」


 柄池の肯定の後にカイゼルと名乗る金髪の騎士が頼みごとを出す。

 救済者は人も救うと聞く、ならばこの依頼は受けた方がいい。


「早速の依頼か。よし、話を聞きます」


「救済者様に首なし騎士、デュラハンの調査を頼みたいのですが、よろしいでしょうか?」


「デュラハン?」


「最近、近くにある主のいない城に住み着いたと言われて、不気味がられています。その調査をして頂ければと」


 デュラハンとの柄池の疑問に、カイゼルはその内容を話す。

 調査だけであれば、今の柄池でもこなせそうだ。


「分かりました。でも、調査だけでいいのですか?」


「出来れば、私自ら行きたいところですが、警戒しなければいけない相手がいて、今は手が離せない状況です」


「そういうことなら受けます」


「もしもいるならば、出来れば救済してほしいです。お願いいたします」


 依頼の内容に柄池は受けると答えて、カイゼルからお願いするとの言葉が出た。


「了解しました。ただ、俺もこの世界に来たばかりで、分からないことだらけなんです。だから、これが終わったら色々聞かせてほしいことがあります。よろしいでしょうか?」


「承知です。こちらの要件を先で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」


 柄池はこの世界の説明を約束を取り付けて、カイゼルもそれでいいと話した。

 彼は頭を下げて、柄池は心の中で言葉を出す。


(倒すとか追い払うなら分かるけど、救済……ね)


 カイゼルの使った言葉に柄池は引っ掛かりを心の中で呟いた。

 救済者に頼むための言葉というなら理由は分かる。

 だが、倒す意味を含んでないのかもと疑問はやはりぬぐえなかった。


 そして、その考えのもとに近くの城へと向かう。




 柄池が近くの城へ向かうと、石垣も合流した。

 今は柄池、愛川、にゅるじ、石垣のメンバーで城内を移動している。


 余談だが、城の入り口には中年の女性がいて、デュラハンの城だと話してくれたので、間違いない。

 ちなみに中年の女性は城の入り口を掃除していたとか。


「ここが城だね。デュラハンが出るという」


 柄池は城内を見渡して呟いた。

 その城は中も外も西洋の城と言っても過言ではない。


 柄池の言葉に反応したのは石垣だ。


「持ち主はいねえようだけど、もってえねえってことで、掃除している人はいるってきいたんだ」


「そうなんだ、道理で綺麗だと」


「しかし、救済者様はでえじょうぶか? 自分のやりたいこともあるんでしょうよ?」


 柄池の城の感想に石垣は疑問を投げる。


「ああ、今は分からないことだらけだから。とにかく、目の前のやるべきことをやってからにしているんだ。色々はっきりさせたいことはあるけど、それは後でね」


 女神についてやこの世界の事情について、分からないことはまだ多い。

 が、それも騎士団長という地位のカイゼルから話を聞けば、分かることも出てくるだろう。


 その考えがあって、まずは騎士団長であるカイゼルと信頼関係を持つことが大事だと考えていた。

 考えている中、愛川から言葉が出ようとする。


「ともかく、今のところモンスターも出てないようで安心ね。こういうところって他にも出そうな感じだけど」


「そうだね。人が掃除もできるって環境のようだし、今はまだいいね」


「今は?」


 柄池の説明に愛川は言葉を抜き出して疑問を持つ。


「この状況を放置すれば、もっとモンスターが出てくるだろうね。おそらく、カイゼルさんが今要請したのもそれを食い止めたいからじゃないかな?」


「なるほどー」


 疑問への説明を柄池がすると、愛川は理解の言葉を出した。

 この城内は年季が入っているかもしれないが、不潔という印象はなかった。

 窓も歩く道も、さらには壁や世隅も綺麗になっていたためだ。

 先ほどの中年の女性以外にも掃除している人はいそうだ。


 その後に愛川は何かを見つけたような視線を言葉と共に送った。


「あれ、あそこにあるのって……」


 愛川の視線の先には騎士の使う鎧が置いてあった。

 それは兜がない状態の。

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