2 酔っ払いと宴会芸
「この辺ならあるって話だね」
柄池は近くにあった草木の生えた森へと場所を移していた。
その場所に案内してくれたのが、めぬえもんなのだ。
ある一つの考え、草食で草に詳しいめぬえもんなら、薬草を探せるとの考えがあってだ。
傍ら、エリアルスライサーは今めぬえもんの背中でにゅるじに体を覆われて横になっていた。
実際に近くで見ると、羽の骨格部分は固い鉄で覆われてもいて、体長も意外と大きいことに驚きもする。
「めぬえもん、さっすがー」
「草のレビューをしてるって聞いたから、もしかしてと思ったんだよ」
ここに連れてきためぬえもんに流石との言葉を愛川は送り、柄池は期待した理由を話す。
めぬえもんが草のレビューをしているということで、価値のある草も詳しいと思ったからだ。
草の知識があるめぬえもんと共に価値のある草を回収して、それでお金に換金して稼ぐ手段とも考えていたのだ。
そのめぬえもんはさっそく草を口にくわえて、お探しの薬草との意思を示す。
「この薬草が酔い覚ましになるめ、だって」
「おお、早速見つかるとは。じゃあ、これを食べさせればいいのかな?」
めぬえもんの意思を愛川が伝え、柄池から疑問が出てくる。
それはビンから出たライオロスが答えた。
「そのまま食べさせれば効果はあるはずですが、出来れば潰して流体状にすれば確実です」
ライオロスの答え、しかし答えの前に愛川は行動に出ていた。
「よし、食べさせよう!」
「え? もう突っ込ませているんですか? 流体状でないとどうなるか……」
愛川が言葉よりも先に行動していて、ライオロスは驚く。
エリアルスライサーはある程度口に入れると、薬草を吐き出した。
「あれれ……? おいしそうな顔していたから、私も食べようかと思ったのに……」
「私は注意したのですが……」
疑問を愛川は浮かべ、ライオロスも注意したと話す。
エリアルスライサーは気絶から立ち直り、顔を左右に振っていた。
ただ気絶から目覚めただけかと思ったが、酔いもさめているようで赤くなった顔は元に戻っていた。
「おお、回復したみたいだね!」
「この鳥はどんな思いだったのでしょうか……」
愛川は回復に喜び、ライオロスはエリアルスライサーの思いに同情を寄せている。
回復したようであれば、一応は良しか。
ライオロスの言葉に柄池もまた同感であった。
話をしたいと柄池は意思疎通を試みる。
「君は酔っていたから、俺達が薬草で酔いを覚ましたんだ。といっても、言葉が通じるか……?」
「あなたたちが助けてくれて感謝するスラ、って言ってるよ」
「こっちの言葉通じるの?」
「通じるし、救済者様だってこともお見通しスラ、だって」
柄池は言葉が通じるかとの疑問に、エリアルスライサーは愛川を通じて答える。
救済者との判断も出来て、知力もかなり高いようだ。
「おお、そりゃ話しやすい」
「あとね、お礼はしたいスラだって。柄池君、契約しよう!」
「出来るかは分からないけど、話だけはしてみるか」
愛川から契約の話が早速出て、柄池は契約の話が先とこちらを進めた。
それから、柄池は仲間になるための話をする。
契約をすれば、召喚に応じる必要があることと、召喚はすると事前に連絡は入れることをなるべくするとを。
愛川は話の傍らで目を期待の色で輝かせてもいた。
「必要な時だけ出て、それ以外が自由って言うなら契約OKスラって言っているよ」
「そりゃよかった。でも、何か自由でいたい理由はあるのかい?」
「ふんふん。物を運んで人間たちから餌を貰っているんだスラって話」
「そうか、仕事みたいなことをしている身なんだ。なら、できるだけケガはさせたくないな」
愛川を通じてのエリアルスライサーの話に、なら柄池がケガはさせたくはないと話す。
モンスターとの共存関係が社会として成り立っているところもあると密かに感心していた。
「それじゃあ、さっそく契約しよ、ね。あと、あなたはカットリンって名前で呼ぶよ」
「そうだね。っと、その前になんで酔っぱらっちゃったか、聞いておきたいんだけど?」
契約を催促する愛川の後で、柄池は酔った原因について聞いてみた。
すると、少しの前を開けてからエリアルスライサーは愛川との距離を開け始めた。
愛川はすぐに足へとを延ばす
「あ、何逃げようとしてるの! ふんふん。そーゆうことねー」
「ん? 何かまずいこと?」
「なんでもきのこを口にくわえて踊る芸があるんだけど、それをやっていたら誤って飲み込んでしまったって」
「ああ、そんな事か」
「ちなみに宴会の一発芸のために練習してたようだよ」
「一発芸……しかも宴会なんて君たちにはイベントがあるんだね」
エリアルスライサーの足を捕まえて愛川は話すと、柄池は感心していた。
まるで、元の世界の社会人だと驚きと関心が柄池の中にはあった。
それから、柄池はエリアルスライサーと契約を済ませて、ついでと酔い覚ましの薬草も少し取っていった。
お金になるかもしれないと考えてだ。




