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1 別れと出会い

 柄池達はトカリホの村から出て、移動していた。

 その移動にはミスカも一緒である。

 ただ、他の場所で用があるということで、柄池と別れることとなっている。

 そのミスカから声がかかる。


「では私はこの辺でお別れになりますです」


「ああ、短い時間だったけど、色々ありがとうね」


「いえいえ、こちらこそ助かったので、です」


 柄池からの礼にミスカも礼を返す。

 途中までは同じ道なので、こうして一時的に移動を共にしていた。

 スマホから連絡がつながっていたロカリアから声が出る。


「短い間でしたが、話が通じそうな相手で寂しいですわね」


「ロカリア王女ともですが、いずれ皆さんとまた逢えればと思うです」


「ええ、今度は男の筋トレについて語り合いましょう」


 ミスカから再会したいとの話を聞いて、ロカリアはスマホを通じてまた話そうと約束する。

 この二人は筋肉のことで移動中に話し合っていたので、特に名残惜しそうではあった。

 柄池はロカリアのフォローへと移る。


「まあ、連絡は取りあえるから、何かあったらその時は」


「あら、そうですか。では、私も連絡出来るようにしたいですわね」


「そっか。じゃあ、俺から後で連絡先を伝えておくから」


 ロカリアからミスカと連絡したいと声が出て、柄池もそれを了承した。

 腕輪に魔力を蓄えるためにミスカともスマホで連絡できるようにしてもらった。

 この世界にはスマホと似たような物での連絡手段もあって、番号さえわかれば連絡可能なのだ。


 ちなみに、ミスカからもらった腕輪の動作も実際にテスト済みである。


「また話自体は出来るので、それではまたです、柄池さん」


「それじゃあね、ミスカさん。旅の無事を祈るよ」


 ミスカからの別れの言葉と柄池の無事を祈る言葉。

 愛川も手を振って、ミスカは別れることとなった。


 そして、別れた後からいくらか移動をする。

 移動は馬になっためぬえもんに乗ってで、今回から柄池と愛川二人が乗っている。

 移動中にロカリアへミスカの連絡先も伝えて、ミスカと連絡できることも確認済みだ。


 ここで愛川は呟く。


「そういえば、今回は仲間になってくれるモンスターがいなかった……」


「そうだけどね。毎回仲間が増えるとは限らないから」


「でも、仲間になってくれた方が戦力としても心強いでしょ。数が増えて、少しづつでも戦力増えるといいじゃん」


 簡単に仲間は増えないとの柄池の意見に、愛川は戦力を増やしたいと意見を出す。

 連絡の確認はつい先ほど済ませて、柄池の手にスマホが握られてもいた。


「それも否定しないけど、快く協力してくれるモンスターがいてこそだからね。こういうのは」


 意見も肯定しつつ、柄池は前提としての話をする。

 確かにスマホはいくらでも上限なく契約できるため、召喚できるモンスターをどんどん増やしていくべき意見も分かる。

 このスマホの恩恵はかなり大き


「あ、しまっ……」


 いと思った矢先に、柄池の手から不意にスマホが滑り落ちる。

 慣れないめぬえもんでの移動に揺れが生じたために、スマホを滑らせてしまう。

 機械が衝撃に襲われる音が響く。

 すぐさま柄池は下りて、不安視する。


「ああ、これで壊れてないよね? これで壊れたら戻らなきゃ……」


 不安の声を柄池は出して、すぐさまスマホを拾う。

 直すのにアイゼを頼る必要が出るから不安なのだ。

 愛川もめぬえもんから下りる。


「大丈夫? 柄池君のスマホ、壊れてないよね?」


「大丈夫だと思いたいけど、どうなるか……? 動作確認しないと」


 今の様子は柄池が膝と手を地面につけて低姿勢、愛川がしゃがんでいる状態。

 更に愛川は脚でハの字を作るようなしゃがみ方。

 スカートの短い愛川がこうすれば。


(あー……、見ちゃだめだ……)


 スカートの中の愛川の下半身を覆う布、それが見えるだろうと柄池は心で咎めつつ、愛川から視線を逸らす。

 自分がそういうのを見れば、愛川に迷惑をかけるという思いで、すぐさま立ち上がった。

 気分変えとして柄池は言葉を続ける。


「とにかくだ、動作確認しなきゃ。見た目は特に変わってもいないから、大丈夫かも」


 すぐにスマホに手をかけて、柄池は動作を確認しようとする。


 その時にだ。

 柄池の横から強引に引っ張られる力が発生した。

 その後に風が巻き起こる。


「きゃあっ!」


 愛川はスカートを抑えつつ、声を出す。

 風も一瞬であったことは幸いでもある。


「愛川さん、ケガは……あ、俺のスマホがない!」


 ケガの確認中に柄池はスマホがないことに気づく。

 力が通り過ぎた先を見ると、上空に鳥の影が見える。

 更にその鳥は細長いものをくわえていた。


「なんか変な動きだね」


「俺のスマホを持っていかれた……けど、あの鳥、戻ってくるみたいだ」


 愛川も違和感のある動きを察知し、柄池が上空を見ながら話す。

 ライオロスはその様子に反応して、ビンから出てくる。


「エリアルスライサーですね。普段は人に危害を加えるあんなことはしないのですが……憑依しましょう」


 ライオロスの解説を聞きつつ、エリアルスライサーの動きを見る。


「いや、それよりもこっちの方がいいかもしれない。にゅるじに頼む方が」


「だってさ、にゅるじ。おいで」


 柄池の言葉に愛川は答えて、にゅるじが愛川の腕に乗る。

 その後ににゅるじは飛んで、柄池の手に収まる。


「相手が突っ込んでくるなら……捕まえるのが手っ取り早いさ」


 そう言って柄池はにゅるじを前に投げると、にゅるじが体を大きく広げる。

 それに対してエリアルスライサーは吸い込まれるかのようににゅるじに収まり、体が覆われてしまった。

 にゅるじに覆われたエリアルスライサーは緩く体を動かして抵抗を見せるも、次第に抵抗もしなくなる。


 違和感のある動きにライオロスはエリアルスライサーに近づく。


「ああ、やはり。この鳥は酔っています」


「だからこっちに向かってくるなんてことを……でも、なんでそんなことに?」


 酔っているとのライオロスの答えに柄池は疑問を浮かべる。

 エリアルスライサーの顔はのぼせたように赤くなっていた。


「酔っぱらうキノコを食べてしまったからですね。この鳥には割と珍しくないです」


「何とかならないか?」


「一日放置すれば酔いもさめます。それか酔い覚ましの薬草でもあればですが」


「その薬草、この辺に生えているかい?」


「あるとは思いますが、この時期ですと貴重なものですから、探すのに時間がかかります」


 柄池の疑問にライオロスは答えた。

 放置でもいいが、出来るだけ早く解決した方がこのエリアルスライサーのためにもなるだろう。


「なるほどね。酔い覚ましがキノコだったら怪しかったけど、草だったら何とかすぐに見つけられそうじゃない?」


「なんと、どうやって見つけるのでしょう?」


「それはお任せできそうなのが、ここにいるじゃないか」


 今度はライオロスからの疑問に柄池は任せたい者がいると話す。

 柄池は任せたい者へと視線を向けて、愛川もそれに反応した。


「あー、そっか! この子だったら見つけてくれそうだ!」


 愛川も気付いたようだ。。

 柄池がめぬえもんに視線を送って、期待をしていることに。

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