15 救済者は何をしているか
柄池達はトカリホの村へ帰ってきてから、オルトスへと報告をしていた。
報告はオルトスの家にてだ。
「で、お前たちは見事に助けたわけだな」
「えっと、まあ、そうなりますね」
「あ? どうした? なんかあったのか?」
柄池の一応の肯定にオルトスは疑問を浮かべた。
その後、ミスカがオルトスへ耳打ちをする。
少し間があったが、オルトスから言葉が続く。
「……まあ、助けたのは分かったし、お前たちを救済者の資格がある人間と認めることにする」
オルトスの割り切りへの印象はこうだ。
フェストスのことは記憶を消した感じと。
村長という立場から、こうするしかないのも分かる。
一瞬、間を開けてだが、彼が認めてくれたのは良かった。
柄池に至ってはフェストスを切り捨てるしかないと判断もしていた。
正直言えば、まだ見捨てたことに悪い気もしていたのだが。
また、この状況でロカリアもスマホから参加していたため、声がスマホから響く。
「うーん。納得はいかないですわね」
ロカリアは納得いかないとスマホから話す。
最後まで認めるか確認したいので、彼女はこちらの光景を見れるようにしているのだ。
その後、オルトスからの声が出てくる。
「あと、今回のお前たちの扱いは悪かったことは認めるから、出来ればもてなしはしたいんだが、構わないか?」
「ああ、ありがたいです。夜も近いですし、ここで泊めてくれると嬉しいです」
「うし。ならば、泊めるところも用意するし、村のみんなでもてなすから、期待してくれよな」
柄池は泊めてくれるところもあればとの話をすると、オルトスからそれも含めてもてなすと話が来た。
ミスカの腕輪の動作も確認がまだなので、ここで泊めてもらえるとありがたかった。
柄池が魔法を使えない以上確認は大事だ。
「あと、ついでに一つ、うかがいたいのですが、いいでしょうか?
「おう、なんだ?」
「オルトスさんの会った救済者についてですが、良ければ名前など教えてくれませんか?」
オルトスが疑問を受け入れると話して、柄池は救済者について聞きたいと話す。
会った救済者についての情報はここで聞きたかったことだ。
「ああ、あの救済者様は男女の組でな、男女ともに茶色の髪だったな。男性の方はマントも身に付けていて、気品があった格好だ」
「あっちも男女の組ですか。後、名前について教えてくれますか?」
「ああ、名前か……それが、助けてくれた時に名乗るほどでもないって言われて、素晴らしかったものでな。名前は聞くことが出来なかったんだよ。すまねえ」
「そうですか。ですが、これだけ聞ければ対面しても分かると思いますから、ありがとうございます」
オルトスからの救済者情報に柄池は礼を言った。
名前は聞けなかったが、おそらくはこの情報だけで分かるだろう。
柄池の礼の後にロカリアからスマホを通じて話が出る。
「直接会えば、ひっ捕らえることもできますわね。捕まえた際には雷の都市で身柄を確保しますわよ」
「そっか。でも、まずは話し合ってだね。争わずに解決が一番いいし、なぜこんなことをやったかもまだ不明慮だから」
「まあ、柄池さんがそうおっしゃるなら、その件はお任せしますわよ」
まずは話し合いと柄池から説明があって、ロカリアはそれを受け入れた。
ひっ捕らえるかどうかは話を聞いても遅くはない、その理由があって柄池はロカリアにそう意思を伝えた。
そしてもう一つ聞きたいことがあったために、柄池はオルトスに話を向ける。
「そういえば、救済者が複数いるとも聞いていますが、もう少し詳しく話を聞かせてくれますか?」
「ああ、複数の救済者も間違いなくいる。救済者は大きく期間を開ければ再び呼ぶことが出来るんだ」
「そうなのですか。なら、その人の可能性もあるのでは、今回オルトスさんがあった人は」
オルトスが救済者のシステムについて話すと柄池は今回聞きたかったことを話に出す。
柄池が聞きたかったことはオルトスが会った人が他の救済者という可能性だ。
「いや、それは絶対にない。他の救済者なんて、ましてやニイムラなんて絶対にありやしない」
「なら、その他の救済者について話を聞きたいんですが……」
「悪いな、俺から話すと気分が悪くなるんで、勘弁してもらいたい。特にニイムラの奴は勘弁してくれ」
「んー……なら、無理は言えないですか、分かりました」
オルトスは他の救済者の情報について目を閉じて話さない意思を伝えると、柄池はその意志をくみ取る。
他の救済者についても聞きたかったが、オルトスがそう言うのであれば無理には聞かないことにした。
ただ、ニイムラという救済者の名前が聞けたのは収穫ではあった。
「まあ、勘弁してくれ。代わりに村長自作の特性ジュースをおごるから」
「聞ければよしと思って聞いたことので、そこまで責めないでください」
「あんたたちに悪いことはしたからな、もてなしのこととは別にこれくらいは受け取ってくれよ。な?」
「じゃ、分かりました。気持ちの整理ということならば」
オルトスがどうしてもしたいと話すと柄池はそこまでならば受け入れると話す。
ここで、愛川から話が出た。
「あ、私一つ気づいたことがあった……」
「愛川さん、何か?」
「うん、今回のことで」
柄池が何かと聞くと、頷きつつ愛川から今回のことで気づいたと話した。
もしかすると、ニイムラという人のことでか。
「え? もしかして、ニイムラって人と何か関わりがあるの? 愛川さん?」
「いや、そういうことじゃないの」
「じゃあ、何? まさか今回あった人の中で……」
愛川はニイムラのことではないと話して、柄池はならばウツミの方かとも思って再度聞く。
「ホマトスさんを仲間として契約出来れば、きっとこれからの旅もうまくいくと思う!」
「……」
愛川からホマトスを仲間にしようと話が来て、思わず柄池は黙ってしまう。
期待していたのだが、こう話が来るとは思わなかった。
「だって、主婦みたいだし、強いし。柄池君もそうは思わない?」
「あー……確かにそうだけど、主婦だからこそこっちのことまでは忙しくて手が回らないと思う」
「あ! それもそうだ」
柄池はダメな理由を話して、愛川はその話に納得したようだ。
ホマトスが強いことには柄池も同意できるが、さすがに仲間になってくれるかどうかは怪しい。
「ホマトスを仲間に引き込むのは俺から止めないが、おそらくは無駄だと思うぞ。後は、俺からの話もないんで、村からの歓迎を受けてくれ」
オルトスからも後は話がないようで、その後柄池は村からの歓迎を受けたのであった。
また、ロカリアやライオロス、にゅるじやめぬえもんにも他の救済者について後ほど聞いてみたが、それでも分からなかった。
他の救済者も何かしら目的があって動いていることは聞けたが、その目的も分からずじまいである。
*ホマトスのステータスを設定場所に公開します
そこで、ここでも少し公開します
名前:ホマトス
種族分類:オーク
職業:主婦
性別:女
攻撃力:4,000
防御力:4,000
戦闘経験力:2,000
その他、称号など
称号:鬼殺しのホマトス
説明:かつてオークの村に来た鬼を返り討ちにした、その時に名付けられた称号。
鬼との一騎打ちの結果であり、トカリホの村外のオークからも知られている。
ちなみに村長とは戦友である。




