14 ミスカの しょうげきの こくはく!
「おそらく……柄池さんは魔法が使えないです。すべての魔法が」
申し訳ない表情のミスカから来た言葉。
かなり悪い意味での言葉だろう。
疑問の反応が愛川から先にあった。
「え? あの反応から無属性が得意ってパターンじゃないの?」
「いえ、無属性が得意であれば、触れたあとに何も染まらないはずです。あの反応は柄池さんの魔力が魔法そのものが拒絶している感じです」
「となると、柄池君って魔法に嫌われているってこと?」
「ええ、そうです。ただ、魔力そのものの存在は確認が取れました上に、魔法を受けられないということはないです」
「そんな……」
ミスカからの解説に愛川は落胆の様子を見せる。
ここで柄池は言葉を出す。
「そっか、魔法が使えないのか」
「という訳で、柄池さんには教えられそうにないです」
「んー、そうだね。どうしよっか」
「えっと、柄池さんいいですか?」
柄池はどうするかとの疑問に困った様子でミスカは疑問を投げる。
その後、すぐさまミスカは言葉を続ける。
「もしかして、あんまり落ち込んでないです?」
「あ、うん。魔法が使えないってあんまり実感がない」
「この世界の生き物としてトップクラスに不利です」
「そうなんだ。でも、俺はこの世界でやるべきことが終われば帰るつもりだし、この世界に残るつもりはないんだ」
「うわ! すげー理論で不利から回避してやがるのですかです!!」
柄池が落ち込んでない理由にミスカは驚愕しながら話す。
魔法が使えないというのも、柄池にとっては変な物をいつの間にか持っていたんだという認識である。
トップクラスに不利というのも、特に不味い感情はない。
こんなの自分だけだろうから、将来的に使えるだろう愛川に頼れば不便も解決は出来るはずと。
それに傷については治癒魔法セットもあるから、大きな不安事はない。
「あと、元の世界では魔法に近いものはあるにはあるけど、魔法がなくても元の世界で問題なく生活はできるから」
「まあ、落ち込んでないならそれはそれで安心です。でも、別のお礼は考えているですよ」
「え、そりゃ助かるよ」
「私でも魔法を教えられなかった場合も考えているです。魔法が使えない人のための道具をお礼として渡しますです」
柄池は別のお礼はあるとの話に助かり、ミスカは話しつつポケットから腕輪を取り出す。
「その腕輪って何かな?」
「これは強化魔法が使える腕輪です。魔力さえ腕輪に溜まっていれば、腕輪の持ち主が念じるだけで強化魔法が使えるアイテムです。おそらく柄池さんでも使えるものです」
「おお、これも便利そうだね」
「あと、柄池さんの召喚したアイテムを通じて、私が魔力の補充をするです。私がいつでも補充できるわけではないので、朝に一回だけなら補充出来るです」
柄池が腕輪の便利さに感心すると、さらにミスカは魔力の補充もすると話した。
お礼としては破格のようにも見えてきた。
「そこまでしてくれるとは有り難いけど、本当にここまでしてくれていいの?」
「ええ、構いませんです。というか、柄池さんがこのままだと旅すらできないことに陥りそうで、これくらいはしないとものすごく不安なのです」
「まあ、そんな時が来ても何とかしていくしかないけどね」
「曲がりなりにも私を救済してくれた人たちですから、旅を断念されるのは私も心苦しいです。そのためにこのお礼は受け取ってくださいです」
「そこまで言うなら受け取るよ。ありがとう」
ミスカは受け取ってほしい意思を伝えると、柄池は礼を言いつつ受け取ることを伝える。
そう言って柄池は渡された腕輪を受け取った。
「あと、一応トカリホの村へ着いたら細かい使い方を教えて、魔法が働くか補充が出来るかも確認しますです」
「ありがとう、あの話を聞いた後だしね。確認は大事」
ミスカは確認をしたいと話すため、柄池は礼と共にそれを受け入れた。
魔法が使えないと言われれば、なお確認は重大である。
そこで愛川が話に入って来たいようで、小さく手をあげる。
「あ、私もいい? 魔法を使えるか確認したいんだけど?」
「そうだね。せっかくだし、愛川さんも確認した方がいいね」
「私だったら魔法も使えるかもしれないし、魔法を教えて!」
「あ、そうだね……一応、俺も指導のサポートに回ってみるよ」
愛川は魔法が使えればと話して、柄池も確かに魔法が使えた方がいいとは一応言う。
ただ、愛川は勉強ができなく、元の世界でも柄池から勉強を教えていたくらいだ。
愛川が使えればいいのも事実ではあるが、習得できるかは柄池から見て怪しいところである。
この後、愛川にも得意な魔法の調査をやってみたところ、風の魔法が得意だと分かった。
ただし、魔法の享受についてはミスカが柄池の補助を加えての指導しても理解してくれなかったため、魔法を覚えることはできなかった。
*補足
元の世界では魔法に近いもの = 退魔力
サキュ恋を読んでいてくれた人には分かるかもしれません
使う人によっては雷にも水にもなるので、あれも魔法に近いです




