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12 例えオークであろうと、浮気ダメ、ゼッタイ

 柄池は突然の乱入に傍観者でいるしかなかった。

 空気がそうさせていた、余計なことはするなとでも言うように。

 安易な横入れは妻が何を言うか分からない。

 妻の乱入に気まずそうな顔でフェストスが答える。


「よ、よく……ここが分かったな」


「そりゃそうだろ。どうせここで金を借りて、金を返せなくて捕まったって話だろ?」


「ま、大方正解だ……」


 女性が捕まった経緯を話すと、フェストスは視線をそらして肯定する。


 女性はオークの子供を背負いながら、お玉をもってフェストスを上から見ていた。

 どこから見ても主婦と言わんばかりの姿である。

 念のための確認と、柄池は恐る恐る近づく。

 確認はしておきたいために、下手に気を逆なでないように気を付けて。


「横からで申し訳ないんですが、フェストスさんの奥さんということであってますね?」


「ああ、そうだよ。まさか救済者様かい?」


「はい、そうです。救ってほしいという人から頼まれて、救いに来ました」


「こんな男を救うだなんて、人がいいもんだ。あたしが逆に謝りたくなるよ」


 確認をとった柄池はここに来た理由を話して、女性は申し訳ない顔で謝りたいと話す。

 大きいオークとドルトスは今は伸びているが、いつ起きるかも分からない。

 ならば、早くここは立ち去った方がいい。


「ああ、いえ。私も頼まれたので今回ここに。それはともかく、ここにもう一人親方と呼ばれるボスが来ますので、話は後回しにしましょう」


「そりゃいかんわ……あ、親方? そういえば、親方とか呼ばれていたオークがいたような」


「な!? それじゃあ、早く逃げた方が! どれくらいの強さかもわかりませんし!」


「ああ、そいつはあそこで伸びているよ。あのでかいオークだろ? 親方ってのは」


 柄池は伸びているオークへと視線を向けて、女性をもう一度見る。

 そして、再度伸びているオークへと視線を向けた。


「え゛っ? あの大きいオークを? あなたがですか?」


「ははっ! これでも腕っぷしはまだ衰えてないよ。あと、ホマトスと呼んでくれよ、私の名だ」


 柄池の驚きに肯定を付け加えて、女性自身からホマトスと名を名乗ってくれた。

 名乗りつつ、力こぶを見せようと腕を曲げる。


 たしかに腕っぷしは凄そうだ。

 あの穴を開けて豪快な乱入をしてきたのだから。


 が、それはそれでフェストスの方が不安になってきた。

 この後の展開だと、おそらくフェストスはろくな目に合わないことが見える。


「それなら、大丈夫ですかね。ちょっと仲間と今後のことを相談してきます」


 断りを入れて、柄池は愛川の元へと行く。

 彼女も今後の展開を理解しているらしく、戸惑いを見せている様子だ。


「ねえ? フェストスさんにはミスカさんがいたよね? これって……」


「これは良くないことになる気はするけど、どうしたものか」


「言っちゃってもいいんじゃない、ここで?」


 柄池はこの場での行動を悩んでいて、愛川はもう言ってもと話す。

 今回、ミスカとフェストスを助ける立場上、下手なことを言えばフェストスに悪い状況に行ってしまう。

 とここで、ロカリアの声が聞こえてきた。


「柄池さん、この部屋ですわね! このロカリアが加勢しに来ましたわ!」


 二つの剣をもってロカリアはこの部屋の入り口から姿を現す。

 その姿にはミスカもまた付いて来ていた。

 反応するはフェストスが先だ。


「あ、ミスカ……」


 フェストスからミスカの名前が口走られる。

 ホマトスは即座に反応した。

 険しい顔に変わって。


「なあ、あんた……あの女誰だい? 他の女性三人は助けられたと依頼されたで分かるけど?」


「えっと、ミスカって人も依頼されたんだよ……その」


「へえ、そうかい? ならあのミスカって人とは付き合ってないってことでいいんだね? あたしって妻がいるから、それはおかしいさね?」


 フェストスからの言い訳に、ホマトスが一歩踏み込んで確認のための疑問を投げる。

 ホマトスから強い確認の意味が言葉に込められていた。

 フェストスが反応がなかったが、代わりにロカリアから反応があった。


「あら? ミスカさんからの依頼でミスカさんとフェストスさんと付き合っていたのでは?」


 ロカリアの何気ない呟き。

 フェストスの危機回避ができるかもしれない状況。

 それはその呟きで壊される。


 柄池もこうなることは分かっていたが、すぐにこの瞬間が訪れた。

 ホマトスの声が怒りに染まる時が。


「という話だが、あんた……また、女作ってたのかい?」


「あ、あのな、母ちゃん……ま、まだ、ミスカから話を聞いてないだろ? なあ、ミスカ?」


 ホマトスの怒り顔にフェストスは苦しい弁論をして、ミスカに話を託す。

 柄池としてなぜその選択をしたか分からないほどの選択ミスを感じていた。


 そのミスカは恐ろしいほどの呆れと侮蔑の顔をしていた。

 顔に対する柄池の印象はこうだ。


(すごい……余りのひどさにオークに間違われそうなほどの呆れ顔を浮かべている、ミスカさん)


 柄池は美人がもったいないほどの顔という印象を浮かべた。

 あんな美人でもこんな顔が出来るのかと。

 この状況でロカリアは納得の表情を浮かべて、こう語る。


「ああ、理解しましたわ。柄池さん、オークの二人はほっといても大丈夫そうですわよ」


「そうそう、ほっといても大丈夫よ」


 ロカリアも状況を理解して、ほっとくとの決断を出し、愛川もまた同じ意見を出す。

 確かに今回はフェストスが悪いことだが、フェストスはこちらに助けを求める目で訴える。


「た、助けてくれ……救済者なんだろ? 俺を見捨てないでくれ! 美オークの写真で手を打つから!」


「うーん、こう言われると、助けないわけには……いくらフェストスさんに非があっても……」


 フェストスの言葉での訴えに柄池はほっておけない気分があった。

 美オークの事はどうでもいいが、助けてと言われた以上は助けないと。

 その気持ちが柄池の心に抵抗感を生む。


 しかし、そこに愛川が手を引っ張ってくる。


「はいはい。気にしなくてもいいですよ。むしろ気にしない方が二人のためよ」

「あいつには失望したです。自分にも失望してしまうくらいにです」


 愛川が気にするなと話して、まだオークフェイスをするミスカは失望したと嘆いた。

 フェストスが悪いこと、が、助けに対して見捨てられない気分も柄池にはある。


「あ、ああ……」


 申し訳なさを醸し出して、柄池はこの場を後にした。


「た、助けてくれよー!!」


 フェストスの叫びがむなしく響いた。


 柄池が戻る際中、あの部屋から轟音がしたことは言うまでもない。

*ドルトスのステータスを設定場所に公開します

ただ、ここでも少し公開します。


名前:ドルトス

種族分類:オーク

職業:密偵

性別:男


耐久力:800

魔法力:400



その他、称号など

称号:マヒ毒スキー

説明:マヒ毒が気に入って戦闘や日常でも使うまでになる。

そのためマヒ毒の知識も豊富。

ドルトスはジュースを飲むときに濃度を薄めたマヒ毒を入れて、しびれそのものも味わう飲み方が好きだと。

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