7 王女の強さは相当なる努力の結果です
柄池と別れた一方、ロカリアの方はミスカと共に戦闘をしていた。
オーク六人に対しロカリアとミスカの二人での戦い。
「オーク六人ではこれほどしか耐えられないとは、トレーニング不足ですわよ」
その戦いはロカリアが呟く通り、短時間でロカリア側の勝利に持ち込んだのであった。
ミスカも援護として役目を果たしたので、自分だけが勝ち取った勝利ではない。
「ほんとがっかりするです。己のでかい図体に謝るべきです」
「ええ。鍛えられない男の体はそれだけで宝の持ち腐れ、筋肉を光らせてから出直してきてほしいですわ」
ミスカはため息と言葉を混ぜて吐き出し、ロカリアも賛同する。
こちらはハンデとして倒したオークの体を頭に乗せて最後一人と戦っていたのだが、それでも相手にならなかったのだ。
今現在もロカリアはオークの体を乗せて会話をしている。
ここで、茂みから一体のオークが現れた。
そのオークは武器は特にないが、他のオークよりも大きな腹をして、手足と胴に防具を身に付けていた。
「遅刻してきたから近道してきたんだが、こりゃタイムオーバーってやつか……」
「あら? もう一人いたとは、驚きですわ」
オークは周りの状況を把握して、ロカリアは敵の出現に驚く。
「しかも、救済者がいねえと来てるわ、ロカリア王女が目の前にいるわ、仲間も全滅だわ……ああ、やべえ」
「私は全然問題ないのですが」
「親方になんと言い訳すればいいんだよ、ああ、どうすっか……」
「そんなこと矮小ですわ。私を倒して手土産にすれば、親方も言い訳もせずに済むでしょうに」
「おお、そうだよ! それで行こう。それで」
ロカリアはうろたえるオークに解決手段を言葉で提示して、あちらはその手段に乗った。
あちらのうろたえはロカリアの言葉で消滅したようだ
が、ミスカは呆れている表情である。
「って、ロカリア王女! 何、敵に助言なんてしているですか? 放置した方が楽だろです!」
その様子にミスカはすぐさま突っ込みを入れた。
突っ込みにロカリアはこう返す。
「それもそうですわね。ただ、私はまだまだ戦いに物足りなさを感じていますわ。だから、落ち込んだままの敵を倒して、物足りなさだけが残ることはご遠慮ですわ」
「そんな余裕を言って負けても知らないです……」
ロカリアはそのまま戦っても物足りないと話して、ミスカはそっぽを向きつつ話す。
彼女の突っ込みは確かなものだが、あのままうろたえたまま戦ってもつまらないのも事実であった。
「それでも私は勝つつもりでいますわよ。あと、頭のこれは返しますわよ」
勝利を宣言したロカリアは頭のオークを上半身をつかって、立っているオークへ向けて投げる。
「おい! ちょっとはオークを丁重に使いな!」
オークはそう言って跳躍の姿勢をとると、軽く一飛びをして投げられたオークを受け止める。
その後に飛ばされたオークを抱いて着地した。
「あら? 丁重に扱いしましたわよ。戦闘のハンデとして、丁重に」
「全く……こんなハンデとしてのオークの扱いなんて、俺は初めて見たよ」
ロカリアの言葉にオークは言葉を返しつつ、静かに投げられたオークを地面に寝かせる。
その後に両者は構えて、視線をぶつけ合う。
前触れない瞬間、両者は一斉に駆けだした。
ロカリアは剣を振り、オークは肘あてに覆われた肘を突き出し。
その攻撃はお互いにぶつかって、その場に停止する。
「そういえば、名前がまだだったな。俺はレグトスだ、お前を負かす名として覚えておけ」
「礼儀としてなっていませんわね。その名前はあなたが負けたときに名乗ってもらう予定なのですが」
オークのレグトスという名乗りに、ロカリアは礼儀としてのおかしさを話した。
ロカリアはこの勝負に負けるつもりもなかったからだ。
両者は再度攻撃をし、ロカリアの剣とレグトスの肘当てがぶつかることで、両者は距離を開けた。
「ミスカさん。この勝負手出しは無用ですわよ。あなたは勝負の邪魔が入らないように見張って頂きますわよ」
「私はあんなことを言われて手出しする気も失せているです」
ロカリアはミスカへと視線を送って言葉の釘をさすと、そんなつもりがないと返した。
距離を開けたレグトスは深く腰を落とす。
すると、大きく上に飛んだのだ。
「オークの割に身軽なのですわね」
ロカリアの評価の言葉をだすと、レグトスは腹を突き出してから落下を始めた。
その落下を後ろに回避する。
相手は腹を突き出したまま地面に着地して、轟音を出した。
そのまま間を置くことなく、レグトスは跳ねてロカリアへと落下しに来た。
「ぬどぅん!」
「ボールのような攻撃をしてきますか」
声とともに来た素早いレグトスの攻撃、それにロカリアはこう言葉を出す。
まさに巨大なボールを相手にしているようであった。




