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19 スマホの性能確認と女神の踊り

 そして、時間が経ち、夜が来た。

 今柄池は、雷の都市の城内の部屋に愛川といた。


 午前中にアイゼへのメールで質問の応対をする予定であった。

 が、しかし、その質問は予想以上に増えてしまい予定が押してしまうほどであった。

 質問一つ一つに解答を得られるための時間もかかってはいたが。


 手で頭を抑えた柄池が先に口を開く。


「で、結局、夜までかかっちゃったと……ロカリア王女が泊めてくれて助かったけど」


「んー……まあ、ともかく泊めてくれて助かったよね」


 柄池が助かったと呟くと愛川も同じく呟く。

 予定であれば、午後から城を出発する予定であったが、ここから水の都市まで今日中につくかは分からなかったので、割とありがたいことではある。


「スマホについての機能は確かに収穫はあったね。あの時聞いた召喚して時間が経ったら戻ってもらう一時召喚と、召喚しても帰ることなく残る恒久召喚の二つがある」


「召喚の種類は二つあるんだね」


「そう。それで契約したモンスターにつき、召喚は一日に一回。ただ、一時召喚した後に恒久召喚ということは可能で、種類につき一回って感じだね」


 愛川は説明を噛み砕いて話し、柄池は召喚について語る。

 更にと柄池は召喚についても言葉を続ける。


「それで、今日聞いた中で一番収穫があったのが、召喚契約したモンスターは上限がないってこと」


「おお! 何人でも召喚できるってことだね!」


「そういうこと。それで、ライオロス、にゅるじ、めぬえもんも契約を済ませたわけだ」


 愛川は驚きと喜びを伝えて、契約したモンスターについても柄池は話す。

 また、契約すると、肉体から一時的に精神体が切り離されるようで、にゅるじもめぬえもんの肉体も気絶することとなったのだ。

 ライオロスに至っては元から肉体がないので、そのまま霊体が消滅することとなったわけである。


「それだったら、石垣さんやトラベドンも契約すればよかったなあ」


「石垣さんについてはまあ同意だね。ただ、契約に関しては心から許してくれたモンスターでないとダメだから、トラベドンは出来なかったかもしれないよ」


「うーん、難しいところなのね。そこは」


 モンスターの契約について柄池が話すと、愛川はトラベドンのことで残念がる。

 何でもかんでも契約という訳にはいかないが、そこはやむを無いとも考えていた。

 言葉が通じないモンスターが同じ場所に入れば無駄に同士討ちということもあり得る。


「あと、愛川さんも契約できるし、俺が契約したモンスターを愛川さんが召喚も出来る。例としてにゅるじやめぬえもんを愛川さんが召喚ってこともできるからね」


「出来るないことや出来ることも、柄池君と共有ってわけね?」


「そういうこと。あと、細かいこともいろいろ聞いてはいるから、それについてはこれから話そう」


 愛川はスマホの機能について共有するかと聞くと、柄池は肯定する。

 それから柄池は彼女に細かいことも話してから寝ることになった。




 夜が明けて、柄池は朝の支度を整える。

 それから出発の準備をして、今は雷の都市の出入り口にいたのだ。


「しかし申し訳ありません、ロカリア王女。急遽、もう一泊してしまって」


「構いませんわよ。それくらい大したことはありません」


「本当にお世話になりました。ありがとうございます」


 ロカリア王女も出迎えに参加していて、柄池が世話になったと礼をする。

 その他にも、城にいる人たちも都市の市民たちも救済者が出ると知って、多くの人が駆けつけている。

 見送りは予想に反して賑やかなものになっていた。

 駆けつけた人々からの騒ぎ声もあってだ。


「何をおっしゃいますか。これからは同行する仲間ですわよ、私たちは」


「まあ、そうですがね。今回は城の皆さんに世話をかけたとも言えますから。その意味も含めて、今言っておきたいと」


「そういうことでしたら、受け取っておきますわね」


 柄池からの説明に、ロカリア王女はそれならばと言葉を受け取る。

 ここで柄池は一つ浮かんだことがあって、呟く。


「そういえば、昨日寝ていた時に女神様と会ってさ。結局お互いに聞こえずで、今回も踊ることになったんだけど」


「え? そうなんだ。私は気持ちよく寝てた」


「うーん、そっか。愛川さんは会えなかったのか……」


 呟きに対して愛川は会えないと答えて、柄池は理解を話す。


「ちなみに、どんな感じで踊ったの?」


「えっとね。実際にやった方が早いね、これ」


 愛川の質問に答えるならばと、柄池は行動に移す。


 手を真横に広げて立ち、広げた手を頭上に移動させる。

 その後に手を真上にギリギリ伸ばすことを二度伸ばして、次に握った両手を胸に持っていき、頷く。

 そして最後に真正面へと人差し指を向けるのであった。

 これが女神がやった踊りである。


「へへー、そんな踊りをやっていたんだ」


「なんだかね、いまいちよく分からないんだ。こうやって踊りは覚えているのに……ん?」


 愛川が感心する中で、柄池は気付く。

 雷の都市の人たちが柄池のやっていたことをまねしていたのだ。


「こう、さっきのはこうだったか」

「何をやっている。ここは真上に手を伸ばしてだな」

「きっと傷をいやすための踊りなのだろう」

「いやいや、救済者たちで通じる言葉の一種だ、きっと」


 騒がれる声で柄池が聞く言葉はこういった声であった。

 どうも、変な解釈をされているらしい。


「えっと、皆さん。さっきの踊りは深い意味はありません。そこには気を付けて」


 柄池は注意をする。


「あ、そうなのですか?」

「いやいや、照れ隠しだ。あの反応は間違いない」

「絶対特別な踊りだよ、あれ」

「救済者様、ツンデレ説、ここに爆誕」


 だが、その注意も都市の人々には効果が薄い。


「特別な意味はないです! 意味はないですから!」


「え? 治癒能力のありそうな踊りだったけど、特別な力ないの!? 柄池君!」


「ないよ! 変な期待持たないで!」


 愛川が変な期待を寄せていてため、そこにも柄池は注意をする。


「ここは特別な意味はないと理解する……というふりをすればいいな?」

「それで大丈夫、私はもうあの踊りを覚えたから」


 都市の人々は確信に近いもので勘違いをしていたことが分かった。


「うう……もう俺から言ってもダメか」


「柄池君、どんまい、どんまい」


 気持ちが落ち込む柄池に愛川は肩を叩いて、励ましていた。

 ここでロカリア王女から言葉が出た。


「ともかくですわ、時間は大丈夫でしょうか?」


「ああ、そうだ。焦るのは良くないけど、のんびりしすぎも良くないんだよね」


「では、またいらしてください。私はいつでも呼び出せますので、必要な時は遠慮せずに、ですわ」


 柄池はそろそろ出た方がいいと話して、ロカリア王女は再度歓迎するとも話す。


「はい、では少しの間ですが、お別れを。それでは」


「じゃあねー」


 柄池は別れの挨拶を話して、愛川はめぬえもんに乗って手を振る。

 こうして、柄池達は皆に出迎えされつつ、雷の都市を発ったのであった。


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