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15 ロカリア王女への罰

愛川は疑問を投げかける、その柄池の言葉の真意に。


「好意を、利用?」


「そう。俺たちもこのまま旅を続けるのは心もとないからね。だから、その好意にあやかろうという訳だ」


「利用……ねー。うーん……」


柄池の説明に愛川は話を理解した。

ただ、理解は出来ても納得の部分はいまいちではある。

柄池は罰についてロカリア王女へと話し始める。


「食料も欲しいですし、それとお金の方も実際に一文無しです。お金を増やす手段は考えてますが、すぐに懐に入るならば嬉しいことです」


「え? ……あ、はい」


「愛川さんの傷は……おそらく、今日で何とかなると思いますので、何かしらの補償を考えてはいます」


小さく口を開けて了解するロカリア王女。

それに対して柄池は愛川についても補償をしてもらうと話す。

まさかこんな罰になるとは、とロカリア王女の表情は語っているようだ。


「好意を利用するというひどい罰ですが、受けてもらえますか? まあ、ダメならその時は別なことを」


「いえ! それくらいならば、私は喜んで罰を受けますわ。物での補償も考えてはいますので、要請してください!」


「そうですか。ならばそれで、細かい要求は後でお話しします」


「あ、あと、私のもう一つの姿ですが、それについては」


細かい要求は後でと柄池は話し、ロカリア王女はモンスターの姿について、ここで話を出す。


「ああ、それは特に何も考えていませんので、その件では何をしようとか考えていませんよ」


「え……?」


「正体は隠した方がいいでしょう? 元の世界でも別の正体はバレたくない人もいまして」


「……あ、ありがとうございます」


柄池の対応にロカリア王女は頭を下げて礼を言う。

その様子を愛川は不満げで見ていた。


「むー、なんか納得いかない気が」


「傷については愛川さんも一緒に交渉しよう。そうすれば納得いくように出来るはずだし」


「んー、そういう問題じゃない気もする。よく分かんないけど」


「えっと、そっかー……」


愛川はよく分からない別のところで不満があると話すと、柄池は納得を話した。

二人の話にずれてしまった、そんな気もしていた。


では、愛川自身もどうすればいいか、それは分からない。

そのおかげで愛川は不満があっても、口にはできなかった。


その横で、ロカリア王女は別の話をここで出そうとする。


「あと、もう一つよろしいでしょうか?」


「何かな?」


「できればなのですが……私もあなたたちと同行をしたいのですが、構いませんか?」


「え? 王女という立場でそれを?」


同行したいと提案したロカリア王女に、柄池は驚いて王女の立場を口に出す。

愛川もその同行はまさかの感想が出る。


「はい、これも罪滅ぼしとして、柄池さん達の役に立てると思いまして、考えましたわ」


「味方として心強いのは確かですが、やはり、王女である以上はここにいた方が」


「ご心配はありませんわ。国のことはいざというときの優秀な代行もおりますので、その人に任せれば問題はありませんわよ」


ロカリア王女はここにいた方がと話す柄池だが、彼女は問題への対応策を出してきた。

愛川はその話を聞いて、頬を膨らませる。


「なに、この。同行は納得いかないのだけどー」


「国のことを考えると問題はあるけど、確かに一緒に戦ってくれる味方としては加わってもらいたいってのもあるんだよね」


「えー……ま、まあ分からなくもないんだけど、あいつ強かったし」


柄池の話に一部は納得するも、それでもと愛川は不満を言葉にした。

ロカリア王女は強く、これからの戦闘でもいた方がぐっと戦いやすくなるのは愛川が身をもって分かっている。

先ほどの戦いは強い説得力がある。


ここで柄池は耳打ちするように愛川の耳に近寄って言葉を出そうとする。


「で、ここで一つ思い出したことがあってね」


「ん? なになに?」


「今回改良されたスマホだけどさ、なんだかモンスターがどうのこうの言ってたんだよ」


「何を言っていたの?」


「それが分からないけど、モンスターが入るかもしれないんだ。というか話自体が専門用語ばかりで、説明を求めても何言っているかさっぱりで」


「じゃあ、スマホであいつを自由に呼び出せる可能性も?」


「可能性はあるから提案してみる。ただ、かなり理想的な形で、神頼みに近い展開。しかも、どうやって呼び出せるようになるかも分からない」


愛川は提案について聞くと、柄池はロカリア王女を自由に呼び出せるとの提案に可能性を掛けていた。

彼が話を聞いても分からないということは、よほどコミュ力が低い人間なのだろう。

この柄池の提案ならば、必要以上に彼女を近くに置かないので、愛川は妥協できる。


柄池はロカリア王女へと顔を向ける。


「ロカリア王女。同行についてですが、一つ試したいことがあって、よろしいでしょうか?」


「ええ、構いませんわよ」


「このスマホ、っと、アイテムですが、自由にロカリア王女を召喚できる可能性があります」


「あら、それをどこで手に入れたのかは存じませんが、凄いことですわね」


「なので、召喚できるようになるか試したいのですが、構いませんか?」


「ええ、ぜひ」


柄池は試したいことを提案すると、ロカリア王女はそれを受け入れる。

その許しを得てから、柄池は彼女へスマホを手にして近寄る。


「では、失礼をします」


柄池はスマホをロカリア王女に近づけた。

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