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13 ハリセンは愛川なりの慈悲

「な? ですが、あなたの力で私の動きを封じれると考えるようでは」


「ええ、少なくとも私だけでは無理ね。私だけだったら」


 ロカリア王女は無理だと言って、愛川はそれに同じ意見と話す。

 それはライオロスがいなければの話だが。


 ライオロスは愛川の体から光玉として飛び出た。

 方向はロカリア王女の顔。


「あ! しまっ……た! こんな方法で目くらましなんて!」


 ロカリア王女は失態を言葉にする。

 このライオロスを彼女に近づける方法ならば、彼女の目がどこに向いていようと目がくらむのだ。


 そして、愛川は下がって爪を引き抜き、すぐさま彼女へと向かう。

 それを見たライオロスは彼女の頭を通過し、光源としての自分と彼女の距離を離す。

 愛川は目のくらんだロカリア王女の顔を手の中に収めた。


「さあ、今度こそ私があなたの中に入る番よ」


 愛川は告げて、ロカリア王女の瞼を開ける。

 自身は透明になって、無意識へと潜入したのだ。




 愛川が潜入し、ロカリア王女の無意識の世界へと降り立つ。

 降り立った先は何も建物のない辺り一面平原の世界だ。

 その平原に彼女は仰向けになって拘束をされていた。

 彼女の下には十字の板が取り付けられ腕と手足は紐で拘束される。


「さ、ここまでくれば、もう私の自由よ」


「くっ! この程度の拘束、いつもの私であればすぐに壊せますのに!」


「私があなたに潜入したからね。壊れない拘束もお手軽に用意することも可能なの」


 ロカリア王女は拘束された中で暴れまわるも、愛川は壊せないと話す。

 無意識の世界では愛川が全てを支配するのだ。


「何を、何をしようというのかしら!?」


「このままというのも面白いけど、これだけでは気絶してくれないしー」


「あ、あなたは何を企んで……?」


「死なない程度に痛めつけちゃおっと」


「な……!?」


「ふふん、怖がらないで。あなたにどんなことがあっても、現実では気絶だけで済むから、というわけでー」


 この状況にロカリア王女は恐れを抱き、愛川は死ぬことはないと補足をくわえる。

 愛川の言葉の後に他の人間が周りから現れてくる。

 否、人間ではなく羽と尾を生やした女性である。


「はいはーい、呼びましたー?」

「この偉そうな人ボコるの?」

「ねえねえ、食べちゃってもいいの、この人?」

「のどかわいたー」


 次々に現れた女性は声を出しつつ、ロカリア王女へと集まる。

 その女性達は一つの漏れなく、サキュバスとしての愛川と全く同じ外見であった。


「こんなことまでも出来るというの……?」


「そうよ。この世界は私が自由に支配しているから、こんなことも簡単なの」


 ロカリア王女の驚きの言葉に、愛川は上半身をまげて視線を合わせる。

 さらに愛川は話す。


「というわけで、今からあなたを痛めつけちゃいます。この武器で」


 愛川は手で空間を叩くように動かすと、ある武器が愛川の手に収まる。


「そ、それって……ハリセン!?」


「おー、この武器を知っているなら早いね。このハリセンの威力はお世辞にもいいとは言えないけれど……」


「ハリセンごときで私をどうしようなんて、甘い考えですわね!」


「うんうん。でもね、私がいっぱいいる状況、忘れてない?」


 ハリセン一つだけでと考えるロカリア王女に、愛川はハリセンを持ってこの状況を知らせる。

 彼女が見渡すと、他の愛川たちも全員がハリセンを持っていた。


「私達も持ってまーす」

「ボコボコ、ボコボコ、ボコボーコー」

「食べないのー? ちょっと残念」

「牛乳どこー?」


 他の愛川達も攻撃の準備が出来ていると話す。


「う、うう……」


「それじゃ、準備は出来たようだし」


 ロカリア王女がうめく中、愛川は準備が出来たことを確認した。

 続けて愛川はハリセンを上に掲げて、開始を告げる。


「ハリセンアタック! 開始ー!」

「「「「「開始ー!!!」」」」」


 そして多くの愛川がハリセンを振り下ろし始めた。

 しばらく、軽快な炸裂音がこの世界に響き続けるのであった。

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