11 「私、サキュバスだけど、強い騎士が体にいます」このラノベって行けそうですか?
愛川はライオロスに体を預けて、攻め込む。
その攻め込みにロカリア王女はハンマーを横薙ぎにして立ち向かう。
先ほどまでの愛川であれば、避けるだけで精いっぱいであった。
「む!?」
愛川の対応にロカリア王女は驚く。
ハンマーに対して愛川は避ける動作をとることもなく、そのまま向かっていったのだ。
ハンマーがこちらにぶつかる時にナイフの腹をハンマーへと突き出し、受け止めようとする。
するとどうだ。
ナイフの腹が傾き、ハンマーの軌道は斜め下へと変わる。
愛川はさらに一飛びしてハンマーを避けるとともに、ロカリア王女との距離を詰めた。
「はあ!」
愛川は肘をロカリア王女へと向ける。
ハンマーの軌道が変わったこともあって、彼女は回避にやや鈍さが生まれる。
「先ほどとは、やはり動きが違いますわね……」
動きが違うと、ロカリア王女。
それでも彼女は横へと体をずらして肘を回避出来た。
「避けられた! けど!」
攻撃は終わらずと愛川は声を出す。
浮いた状態の体を横回転させ、遠心力に任せて足を投げ出す。
蹴りがロカリア王女の上体へと向かった。
「くっ!」
蹴りがロカリア王女に命中し、顔を歪める。
その蹴りは当たったが、片手に防がれた状態で、だ。
それでも、愛川が今回の戦闘で初めて命中させた攻撃と言える。
ロカリア王女は片手で押し返し、愛川との距離を離した。
「やった! 当たった!」
(少しこの体にも慣れてきましたね。次は攻撃を当てていきます、防がれずに)
「じゃあ、次も任せるから!」
(ええ、お任せください。それと、次の行動ですが)
愛川が再度ライオロスに体を預けると話し、彼から次の動きについて話が出てくる。
自身は言葉に出さず、頷いて了解をする。
その後、再び愛川はロカリア王女へ向かっていった。
彼女は最初にハンマーで突きを放つ。
その攻撃を自身は軽やかに横へとかわして、彼女との距離を詰めた。
「かわしただけでは……ん?」
ロカリア王女はこちらを見て疑問を覚える。
愛川が横にぶれたと思えば、突いたハンマーを軸とした反対側へと超えていたのだ。
「どうかしら? この動き?」
捕らえられるかと愛川の言葉。
超えたかと思えば、すぐに元の位置へとこちらは戻る。
「ん? これは一体?」
不可解な出来事にロカリア王女は戸惑いを感じる。
直後、愛川はハンマーの反対側へと瞬時にまた飛び越えていく。
こうしている間にも距離を詰められてしまった。
(元々の技はこうではありませんでしたが、男性以上に身軽な愛川殿ならこういう風にできます)
「こんな凄いことができるとは思わなかったよ」
(さしずめ、ファントムステップとも言いましょうか)
愛川の話にライオロスはこの技に名前をつける。
この技は瞬時に移動することもあるが、ほとんどが移動したと見せかけるように移動しているのだ。
ロカリア王女が左右に顔を振って戸惑う中、こちらは横にぶれつつ一気に距離を詰めていく。
そしてナイフを彼女に向けて、突きを放つ。
その突きはロカリア王女の肩へと当たる。
「ああっ!!」
刺された肩を抑えつつロカリア王女は声を上げる。
「どう? 今回は私が簡単に接近できたけど、まだやるの?」
「まだ、私が負けたと決まった訳では……な!?」
続けるかと聞かれロカリア王女は続ける意志を貫く。
「ふーん、そっかあ。だったら……」
愛川の言葉の後、にゅるじが再びロカリア王女へと飛びかかって来て、腕を拘束する。
短い拘束の時間で好機を逃すわけにいかない。
「またスライムですか? こんな時に……」
にゅるじに拘束されてもすぐに解こうとロカリア王女は腕に力を籠める。
その隙を逃さんとばかりに愛川は接近を試みた。
「だったら、こっちはこうするまで!」
「な、なんてことを! まず……」
「もうあなたの目を見ることは出来るのよ!」
ロカリア王女も不味いと話すも、すぐに愛川は肩を掴んで顔を近づける。
愛川の目は彼女の目を見ていて、自身の目が怪しく光る。
「あ、頭が……」
ロカリア王女のめまいを引き送すことには成功するも、彼女は目を閉じている。
その悪あがきに対し、すぐさま愛川の指で瞼を開けて、再度彼女の目を見ることになった。
「後は潜入だけ! これで私の勝ち!」
愛川は護衛にやったようにロカリア王女の無意識に潜入した
かったのだが。
「こうなれば、この姿を晒すしかないようですわね」
ふとロカリア王女は呟く。
すると、彼女の周りの空気が刃をまとった様に鋭さを帯びる。
その瞬間、刺激が空気を伝って愛川に流れた。
「きゃあ!!」
愛川は悲鳴と共に後ろへ下がる
下がるというよりも、衝撃で飛ばされたとも言えるか。
「この姿は部外者の誰にも見せるつもりはありませんでしたが。もっともあなたなんかにも」
ロカリア王女は佇みつつ、愛川に怒りを含んだ言葉を投げる。
だが、その彼女の姿は人間の姿ではない。
手から鋭利な爪、そして体も獣のような体毛に覆われて肌も見えなかった。
「あなた……人間に化けるモンスターだったの?」
愛川はロカリア王女の姿に感じたことを言葉に出す。
彼女の姿は青みがかかった銀に近い色の体毛で、顔の骨格も人間とは異なり、獣のような牙を生やしていたのだ。
それは、元の世界で言うマングースに近いだろうか。
*ロカリア王女のステータスを設定場所に公開します
もう一つの形態については後程




