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16 旅立ち、そして、別れ

 待ち合わせの場所、町の出入り口で柄池は愛川と合流していた。

 すぐに出発の予定であったが、今回嬉しい誤算があったので出発は延期となっている。


「まさか道具を含めてこんなにもらえるとは……」


「町のみんながただで渡してくれたの。これから応援のためってことでね」


 袋の中を見て柄池は驚くと、愛川がその袋の中についてを話す。

 食料とポーションや解毒剤などのアイテムをたくさんもらっていて、袋の中に入っていたのだ。

 その誤算があって、延期をしていた。


 消耗品のアイテムが多いが、ただそれだけではない。


「この治療魔法セットなんて、かなりの貴重品じゃないのかな? ここまでもらって逆に悪い気もしてきたよ」


「あ、これはカイゼルさんからなの。今回の報酬としてってことで」


「報酬にしても貴重すぎる気もするしな、ありがたく貰うけど……これは一日三回魔力がなくても治癒魔法が使えるのか、説明書によると」


 愛川はカイゼルからの報酬と語り、それについていた説明書を柄池は読む。

 説明書から読み解くには治癒魔法の知識、それどころか魔力がなくても毎日怪我を治せるものであった。

 ただし、一回の使用はかなり時間がかかるので、戦闘中での使用は向いてないとも書かれている。


 現状、魔法が使えない柄池達には戦闘で使えないだけでも十分有り難い代物だ。


「すごく便利だね」


「そうだよね。悪い気もすると俺は言ったけど、これからのことを考えるとやっぱり返せないくらいだ」


 愛川の話に、小さいステッキ状の治癒魔法セットを持ちながら柄池はありがたみを語る。

 これからのけがを考えれば、返したことを絶対後悔するだろう。

 返してしまえば、これから傷の数だけ悔やむと予想できる。


 ここで石垣からの言葉が入る。


「あと、おらは悪いけど、救済者様とここで別れたいだが……いいか?」


 石垣の別の道を進むとの言葉。

 その言葉に答えたのは愛川だ。


「えー……せっかくいっしょに旅が出来るとおもったのに」


「申し訳ねえだ。ポーションを渡したゴブリンも気になっからな」


「うーん……」


 石垣は謝りながら分かれる理由を話すと、愛川は不満と納得が混合した様子を言葉でも見せる。

 彼がずっとついて行くと明言していなかった以上、柄池はこうなることも予想していた。

 こちらのわがままだけで拘束をするのも忍びないことだ。


 フォローが必要かと、柄池がその話に混ざろうとする。


「しょうがないさ、ここまで付き合ってくれただけでもありがたいし、石垣さんもやりたいことはあるさ」


「でも、おらは楽しかったし、また旅について行きたいだよ。また同行できっときは同行すっからな」


「そう言ってくれて嬉しいよ。またどこかで会うまで、一時の別れだ」


 また同行する意思を石垣が伝えて、柄池もその時は歓迎と言葉を返す。


「あと、救済者様の柄池さんに一つ聞きてえんだけどいいか?」


「何かな?」


「ライオロスさんに戻る前にデュラハンから切られそうになった時あるべ? それで、なんで真っ直ぐ見れたかってことなんだ。おらはぜってえ出来なかったことだから」


 柄池が何かと聞くと、石垣はデュラハンに切られそうな時になぜ避けなかったかそれについての真意を聞く。

 あの時の柄池には明確な理由があってそうしたのだ。


「それは会話って普通は目を見て話すものだろ? だから言葉が通じないくらいなら、せめて意思を伝えるときに相手をしっかり見ておくことはしないとって思ってね。絶対に人間の時のことを思い出すんだって」


「なるほどな、そいつはすげえだ」


 柄池の語った言葉に石垣は納得をした。

 続けて石垣は語る。


「やっぱり、柄池さんは正真正銘の救済者様だっておら思っただ。これからもきっとうまくやっていけっからな」


「ありがとう。嬉しい言葉だ」


 笑顔で石垣はすごいと話すと、柄池は感謝した。


「それと、にゅるじも元気でな。救済者様をしっかり守ってあげんだぞ」


「しっかりお守りするにゅす、だって。それと、そっちもまた会えたら会おうにゅすっても」


「ああ、また会えるように元気にすっからな」


 愛川経由でにゅるじは意思を伝えて石垣はその言葉を返す。

 彼は柄池の行く道とは別の方へと歩き出した。

 ライオロスは石垣の方へ言葉を向けようとする。


「それでは短い間でしたが、お元気で」


「んだ、また会えるよう、お互い頑張んべな」


 ライオロスが別れの挨拶を言って、石垣もそれを返す。


「じゃあね! 石垣さん!」


「また、きっと会えるはずだから! その日まで!」


 愛川、柄池の順に別れの言葉で見送り、手も振る。

 石垣は手を振って柄池達から離れていった。




「あ、柄池君。そういえば、どっこい侍って言う職もあるんだってね。私、就けるんだったらついてみたいね」


「そ、そっか。まあ、別れて落ち込んでないならそれでいいよ」


 柄池達は会話も交えて、旅をしていく。

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